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アウトプットのカルチャー

正直アウトプットが大事と言っていますが、これまで私自身のアウトプットは少ないし、筆が遅いという認識はあります。エモい話は性に合わず、かといって、テクニカルな話を深堀してできるわけでもない、このnoteの他の方の文章をみて、こんな文章書けないよ、と「やれない理由」はすぐに思い浮かんでしまう、アウトプットできない側の人間の側面を十分に持っています。

でも、アウトプットはやっぱり大切なんです。

アウトプットしないのは知的な便秘

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JAWS-UG (Japan AWS User Group) 界隈ではアウトプットが大事だ!という話は、AWSマンガ 第11話「いざ行かん、AWSユーザーコミュニティ JAWS-UGへ!」の中で「アウトプットしないのは知的な便秘」のssmjp格言とともに紹介され、コミュニティの勉強会に参加されている方にとってはよく聞く話だと思います。

(以下は、AWS Samurai 2019/2018でX-Tech JAWSやSecurity JAWSの運営メンバーの吉江さんの発表スライド)

ただ、自分もこの「アウトプットが大事」という意味の深さを意識するようになったのはJAWS-UGに関わるようになってからだと思います。

情報を発信することの大切さは、コミュニティにかかわっていなくてもある程度は理解できます。情報発信することで自分の興味対象を公開し、同じ興味を持つ他のユーザーと「新しく」知り合う可能性が高まり、さらに、その情報を見た人からのフィードバックにより、時に自分の理解が間違っていることに気づいたり、これまで知りえなかった新しい情報を教えてくれる人が現れたりします。(もちろんマサカリが怖いのもわかります)

思うに、自己成長をたった一人で実現できる人は稀なんです。

JAWS-UGの勉強会では #jawsug のハッシュタグを使ったツイートを推奨します。アウトプットが大事!ツイートしよう!と。もしハッシュタグなしでツイートしても、フォロワーが多くなければ反応してくれる人も少ないでしょう。でも、フォロワーがいなくてもハッシュタグをつけることで、フォロワーじゃない人の目にも留まります。そこでツイートに対してお気に入り(ふぁぼ [favorite])の反応をもらったり、リツイートしてもらったり、フォローしてもらったりとつながりが広がります。
このちょっとしたレスポンスやフィードバックを簡単に実体験できるのが、ハッシュタグ付きのツィートであり、そこからライトニングトーク登壇や、ブログの投稿へステップアップする気になれます。

アウトプットするにも、見てくれる人がいなければ、孤独なつらい修行になります。コミュニティの仲間が身近にいるということは、修行を楽しいアクティビティに変えてくれるのです。

ベンダーにとってのアウトプット

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JAWS-UGの各支部の勉強会で #jawsug のハッシュタグをつけたツイートがTwitterに投稿され、勉強会のLTやセッションで登壇した登壇者は slideshare や slidedeck などのサービスを使ってスライドを一般公開・共有し、勉強会参加者はその経験をブログという形でアウトプットする。これはすでに「JAWS-UGのカルチャー」として根付いているものであり、AWSのコミュニティマネージャーが「AWS関連のコンテンツを書いてください、つぶやいてください」とお願いすることは一切ないのです。アウトプットが最終的に自分たちのためになることを見て、聞いて、経験しているのです。

このアウトプットのカルチャーがあるからこそ、AWSのユーザーコミュニティ「JAWS-UG」はベンダーとユーザーをつなげる従来の顧客ロイヤルティ施策の「コミュニティプログラム」から、マーケティングの1施策としての役割や機能をもつ「コミュニティマーケティング」になっていることに気が付きました。

ただ、このコミュニティマーケティングの施策は商品やサービスが新しく、市場が未成熟な場合に有効であって、いわゆる「キャズム」を越えて、マジョリティ層からの参加が多くなり、ベンダー側の体制も整って公式のドキュメントやコンテンツが増えると、ユーザーによるアウトプットそのものの価値が相対的に低くなり、継続が難しくなるのでは?と思ったこともありました。

しかし、クラウドの利用がかなり進んできた現在でも、JAWS-UGの大規模な勉強会には「これからAWSを勉強したい」「JAWS-UGにはじめて参加した」というユーザーが半数近くに達し、ユーザーのすそ野が広がっています。AWS公式の日本語ドキュメントも数多く出るようになりましたが、結果、すそ野が広がったユーザーに対して、さまざまなレベルのコンテンツ、アウトプットが求められ、JAWS-UG勉強会への参加も増加しています。

メディアの役割や、ソーシャルの普及といった外部環境の要因は大きいですが、CGMと呼ばれるユーザーによるコンテンツ、アウトプットの重要性が下がることはありませんでした。

アウトプットしてもらいたいなら自分たちも

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ユーザー、ユーザーコミュニティによるアウトプットは、ベンダーのマーケターや社員にとってはとても魅力的です。もちろん、時としてご批判をいただくこともあり、心地よい話ばかりではありませんが、会社として目の前のお客様に誠心誠意向き合っていれば、事情をご理解いただき、会社側のミスであっても、ポジティブにとらえていただけることもあります。

顧客に誠心誠意向き合う具体的な方法は、ユーザー同様にベンダーの社員も積極的にアウトプットすることでしょう。幸いAWSも「Amazonカルチャー」があり、社員個人が顧客のために何をすべきかを自分で考えようとします。広報部門や管理職の承認がなければ何もできない、という後ろ向きなものはなく、社外向けの登壇/スピーカー認定を取ることで、AWSの社員として、社員行動指針のもとで、かなり自由に情報発信や登壇が可能になります。JAWS-UG各支部の勉強会での登壇なども、コミュニティマネージャーの私との「連携」はあっても、私を通さないと登壇できない、支援できない、などということはありませんし、出張を伴わないのであれば、コミュニティの勉強会やイベントに登壇したり、そこで使ったコンテンツを公開するのにマネジメントの承認が必要だ、という話もあまり聞いたことがありません。どんどんお客様との接点をもってください、その体験・経験を他の社員やお客様と共有してください、というのが基本姿勢です。

アウトプットをしないのは、ユーザーコミュニティだけではなく、ベンダーにとっても便秘になりかねない良くない状態ということを痛感します。

アウトプットしてますか? 私も、もうちょっとがんばってみたいと思います。

トップのアイキャッチ画像は Gerd Altmann による Pixabayからお借りしました。

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