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不妊治療のはなし⑦~採卵後の受精卵の成長の具合はいかに~

こんにちは、ながつまさゆみです。
前回の記事で採卵までのお話をしましたので、今回はその続きです。

前回のお話はこちら↓

採卵した5つの卵子のその後

私は初めての採卵で5つの卵子を採取することが出来ました。
翌日、採精した精子の質と受精の状況をクリニックに電話で確認します。

精子の質はやはり芳しくなく、5つ全てが体外受精ではなく顕微授精での受精となりました。

こちらの記事をご覧になられている方はご存じの方も多いと思いますが、体外受精と顕微授精は別物です。

体外受精では卵子の周囲に選別された一定数の精子をふりかけて、精子が自分の力で卵子の中に入ることを期待します。
一方、顕微授精ではなるべく形がよく運動性も良好な厳選した一匹の精子を顕微鏡下で卵子の細胞質の中に注入します。

採精した精子を洗浄濃縮した段階で、ある程度質が良ければ体外受精で受精しますが、あいにく私たちの場合は体外受精推奨のレベルであると医師に判断されました。
まぁ、これは予想の範囲内です。なんせ人工授精すら実施不可だったので…

5つのうち、1つは未成熟の卵子だったため受精出来なかったもののそれ以外の4つが無事受精しました。
第一段階としてはまずまずの成績です。

次は1週間後に、その受精卵が胚盤胞まで成長したかどうかを確認します。

クリニックによって、受精卵をどの段階まで成長させて移植するかは異なります。
受精後2~3日の培養後の初期胚を移植することもあれば、受精後5日間培養した胚盤胞を移植することもあります。

私の通うクリニックは基本的に全て胚盤胞まで培養してから一度凍結し、
次のサイクルで融解した胚を移植するという方法を取っていました。
胚盤胞まで育った胚の方が、着床率が高いからです。

4つの受精卵のうち、果たしていくつが胚盤胞まで成長してくれるか…
この1週間は毎日検索魔になっていました(笑)

ママリなどのアプリで不妊治療経験者の体験談や質問を見まくったり、
自分と同じようなパターンのカップルがどの程度顕微授精に成功しているか調べたり、
色々なクリニックの顕微授精に関する記事を読んだり、

1週間が本当に長かったです。

胚盤胞まで育ったのは…

そして運命の1週間後。
クリニックへ電話し、電話口の培養士の方から聞かされたことは…
「4日目までは全ての胚が上手く分割していたのですが、その後に分割が止まってしまうものが多く、最終的に胚盤胞になったのは1つだけでした」

「…一つだけですか…。グレードというものがクリニックによってあると聞いたのですが、グレードはいくつなのでしょうか?」

「(言いづらそうに)グレードはABC3段階で評価しており、今回胚盤胞まで育った胚のグレードはあいにくCです」

受精までは想定以上の結果が続いていたので、4つ受精していれば2つくらいは胚盤胞まで育つかな?と期待していたのですが、その期待は見事に裏切られたのでした。

受精卵の成長は、初期胚(4~8分割卵)までは卵子の力、それ以降は受精卵の力と言われています。
4~8分割卵になり、それ以降の分割の進みが遅いということであれば、受精卵の力が弱いということ。
男性不妊の場合は後半失速することが多いそうです。
私たちの場合も恐らくそういうことだったのだと思います。

悔しいですが、胚盤胞まで育たない原因は結局のところ追及することが出来ません。ただ、受精卵に育つ力がなかったということ。

不妊治療をしていると食生活や生活習慣を見直すとか、サプリメントや漢方を飲むとか…
色々出来る対処法はあると言えばあるのですが、でも結局気休めでしかありません。
なかなか自分次第でどうこうコントロールできることではないのではないかと思っています。

仕事は努力すれば少なからず結果が出るのに、自分の努力では何とも出来ない不妊治療は残酷だな~
なんてことを考えていました。

私はこの結果を培養士から聞いて、顕微授精までチャレンジした友人3人に連絡をしました。(3人とも既に治療に成功し、妊娠・出産しています。)
自身の採卵・培養の結果を伝えた上で、彼ら彼女らの時はどうだったか体験談を聞きたいと思ったからです。
すると、なんとそのうち2組は1回目では一つも胚盤胞まで育たず、移植はキャンセルになってしまったと言われました。
他人と比べて安心してどうする、って話なのですが、
たった一つでも移植できる胚盤胞があることを恵まれていると思おうと気持ちを切り替えました。

誰かのせいにして楽になるなら、誰かのせいにしても良い

今こうして治療を振り返ってみると、私がそこまで精神をすり減らさずに不妊治療に臨めたのは
正直、原因の多くが夫側にあり、自分だけを責めずに治療に取り組めたからだと思っています。
夫には申し訳ないですが…

逆に誰のせいにも出来ず、自分が悪いんだ…と抱え込む治療は本当に苦しいものです。

もし今治療に苦しんでいる方がいたら、少しでも自分の気持ちを楽にするために時には誰かのせいにしても良いと思います。

仕事がキツく、ストレスの多い環境だから。
夫が協力してくれないから。
クリニックの先生が実力不足だから。

時にはそんな風に思うことで、救われることもあるんじゃないかなと思いました。

今日はここまでにしたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は唯一胚盤胞まで育った胚を移植した時のお話です。

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