【憤怒】マギロギの蔵書について考える会6

本noteは「著:河嶋陶一朗/冒険企画局、新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の蔵書に触れるnoteです。

事の起こりは初回のnoteを参照ください。

乱数表の中に経歴魔法を入れきったので、そろそろ経歴魔法にぶち当たるかな、と思ったのですが。
やっぱりまだ汎用魔法のターンが続きます。
前回から続いて蒐集日記出身の魔法ですが、前回とは違った意味で「なんだこれ」と思っています。……強くない?



【憤怒】について

分類:汎用・呪文魔法
効果:自分に追加ダメージ1。その状態でダメージを受けた時、判定を行い、成功するとダメージ-1。

メリット

・魔法戦中持続するダメージリソース
・防御にも使える
・防御の効果に関しては何故か「ラウンド中1回」などの文言がない なんで?
・1点未満にもできそう なんで???

デメリット

・コストが重いため、基本的に初期作成では使えない
・それぞれの効果のみで見た場合、手軽な方法は他にもある
・累積不可 そりゃそう


詳細な話

まず【憤怒】そのものの話に入るより先に蒐集日記のお話をします。
というのも、【憤怒】やそれ以外の蒐集日記出身蔵書の中にはとある初出の特徴を持った蔵書が存在するからです(前回の【媚薬】はそれに当てはまりません)。

蒐集日記から、「コストが4以上」の蔵書が登場しました。
厳密には初登場ではなく、哲学戦線から追加された蔵書群である「遺失魔法」の中の、黄昏選書追加分にコストが4以上の蔵書が存在したのですが、この遺失魔法というものは通常入手できません。
遺失魔法持ちのエネミーと戦って、初めて得られるものでした。

しかし、蒐集日記で出た「コスト4以上の蔵書」はそうではありません。汎用魔法です。
つまり、「誰でも取れる魔法」として初めて「コスト4以上の蔵書」が登場したということになります。

なのですが、初期作成では修得は出来ても基本的に使用はできない、という形になります。
ということで、今回は珍しくそのデメリットから見ていくことにします。

マギカロギアというものを知るためにここまで来てくださった方のために説明させていただくと、コストとしてかかる魔素をチャージできるのはステータスの一つである根源力までです。
この根源力というのは初期作成時点では基本的に3です。稀にそうでないときもありますが、基本的には3だと思っていただいて大丈夫です。
つまり根源力3の初期作成魔法使いは、チャージできる魔素が3つまで、ということですね。
わかりやすくいうとMP上限が30、みたいな。

そしてそうなってくると、「チャージ上限を超える魔法は使えない」ことがわかると思います。
MP上限が30のキャラクターはMP40消費する魔法を使えない、といった感じですね。

なので、基本的には初期作成では使えません。
誰でも持てるし使えることになっている蔵書ではありますが、実際に扱えるのは功績点(経験値のようなもの)を稼いで成長した魔法使い、ということになります。
この辺りは【憤怒】だけでなく、同じように蒐集日記で追加されたコスト4以上の蔵書全てに言えることです。

それでも初期作成で使いたい!
という場合には、「功績点をあらかじめ配布してくれてるシナリオ」で魔法使いを作成するか、
異端者魔法の一つである【魔族】を取って根源力を上げる必要があります。
詳しくは【魔族】の回で話しますが、根源力が上がって困ることは基本的にないので、そういう手段ももちろんありです。

ただしコストが重いことに変わりはありません。
デメリットの2つ目に触れていきましょう。

デメリットの2つ目として「各々の効果を見た場合、手軽な方法は多い」ことをあげさせていただきました。
たとえば「自分に追加ダメージを付与する」だけならプロットの読み合いが必要にはなりますが手軽な手段として【武勇】があります。プロットの読み合い問題も断章戦なら気になりません。ランダムプロット且つ経歴魔法にはなりますが【無心】や、元型を使役しない状況下を想定するなら【孤剣】があります(それぞれ各回で説明します)。
「ダメージを軽減する」だけなら真の姿の「防御強化」、呪文に限れば経歴魔法の【要語】、他にも禁書魔法の【妖革】など枚挙に暇がありません。

つまり、「個々の効果自体はありふれたもの」です。
なんなら上記の魔法の方がコストも軽く、効果も強かったりします(追加ダメージが2だったり、他とのシナジーが見込めたり等)。
なのでそれぞれの効果のみを求めるのであれば、【憤怒】を起用するよりも遥かに簡単に使えるものばかりです。
【憤怒】はコストも重いですから、メインに1回、禁書戦に1回使えたら良いだろうってくらいですが、【武勇】なんかは多分毎魔法戦余裕で使えますからね。

あと累積不可です。
当たり前ですこんなん累積可にしたら後述しますが環境壊れます。一応デメリットとして上げましたがそらそうやろがいって話ではあります。

じゃあ何故、この蔵書はこのようなコストの重さなのだろうというところを考えていきます。ここからは殆どメリット列挙ゾーンみたいな感じです。
コストが重い蔵書は基本的にコストが重いだけの理由があるのですね、みたいな。


まず1つ目、メリットを上げる際にお約束になってきた「持続時間」ですね。
だいたい追加ダメージを自分に付与する魔法って「ラウンド中」とか「条件を満たしている間」とかです。
【無心】はラウンド中ですし【孤剣】は条件を満たしている間、【武勇】は両方共、という感じ。

ですが【憤怒】は魔法戦中に一度発動してしまえば、その魔法戦中は再度発動することを考えなくてもいいです。条件を気にする必要もありません。
これは結構大きな利点で、【無心】や【武勇】なんかは各ラウンド1回枠の呪文回数をそれに使うか、キャストなどの代替手段を使わなければならないのですが、【憤怒】はそれを用意する必要がまずない。
始動がやや遅いということに目を瞑るなら、2つ目の呪文を採用することも比較的簡単です。
特に【憤怒】が普通に採用できる第四階梯以上になると蔵書枠にも余裕が出てきますから、この利点は大きいと思います。

しかも魔法戦中持続する魔法は解除する手段が少ない。
ぱっと思いついたのは【解放】くらいでしょうか。探せばまだある気はしますが、とにかく一度発動さえできれば無効化されにくいというのもひとつ利点ですね。
書籍卿が【解放】持ってくることはあるかもですが、禁書や断章が採用してるのはあんまり見たことないです。フレーバーとして持ってることはありますが、だいたい強い魔法とセットなので二者択一を迫れるのもポイントです(禁書は1ラウンドに二回呪文を打てますが、そこはそれ)。

2つ目のメリットとしてあげたのは「防御系列の魔法でもある」ことです。
攻撃と防御を同時にこなせる魔法はそう多くありません。【頁人】、というかブーストは「攻撃にも防御にも使える」ものですが、基本的にラウンド中どちらか、という形になります。
防御と回復やリソース確保を兼ねた【捕縛】、攻撃か防御を実質的に追加できる【強化】など、付与効果のついた魔法はそこそこあれど、
【憤怒】のように「ダメージソースにもなりつつ防御にも使える」という「ラウンド中にどちらの効果も使い続けられる魔法」というのは……ぱっとは思いつかないですね。
遺失魔法や学派魔法とかを探れば出てきそうですが、少なくともすぐには出てきません。というかそういうのを探すのがこのnoteの目的ですので、前半も前半のこの時点では思い出せないです。

攻撃特化した魔法使いの弱点ってだいたい「継戦能力が低い」ことだと思います。
やられる前にやれ、で速攻をかけて沈める事ができるのならもちろんめちゃくちゃ強いのですが、第四階梯以上のシナリオにもなってくるとエネミーたちも趣向を凝らして生き残ろうとしてきます。そうすることがPCへの圧になりますからね。
というか第四階梯以上のシナリオほどシナリオ側が「なんとかPCといい戦いしないと……」って【防壁】とか【魔盾】とか持ってくるイメージあります。ない? 私だけ?
とにかくそういうわけで、耐久戦に持ち込まれると、攻撃特化魔法使いは段々ジリ貧に陥ることがあります。魔力事故を起こしていたら尚更ですね。
特に少人数卓でアタッカーの構成がエネミーの構成と噛み合ってなさすぎる場合とか地獄を見ます。見ました。

そういう時に【憤怒】はその事故を少しでも抑えてくれます。
ダメージを受けたときに判定を行い、成功するとそのダメージを1点軽減してくれる、という効果になります。
この効果がやたら無法に感じます。

そもそもダメージを受けたときダメージを1点軽減してくれるという効果は、魔法使いの切り札的存在である真の姿の効果のうち「防御強化」に近いものです。
なんでセッション中一回制限のある効果を魔法で乱発できるんですか(もちろんそれだけを見るとコストは重いですし、真の姿は魔素要らないので棲み分けはできてます)。

しかもこの「ダメージを受けたとき」表記が曲者……というか強くて、
まず第一に「ラウンド中一回」とか「攻撃によって」とか「呪文によって」とかの条件指定が一切ありません。
これを文字通りそのまま受け取るならめちゃくちゃ強くて、
攻撃によるダメージでも呪文によるダメージでもこの効果は発揮できるし、1ラウンド中にどっちでダメージを受けてもどちらにも適用することができます(GM裁定にもよるとは思いますが……)。
もちろん、呪文の中には変調を与えたりする効果もあります。あくまで【憤怒】は「ダメージを減点する」効果なので、そういう変調などを防ぐことはできないですが……。
マギカロギアにおける1点ダメージはめちゃくちゃ大きいので、そんなシステムの中で1点減点する効果が弱いわけないんですよね。

しかもこの効果、「防御強化」の方にはある「1未満にはならない」という文言がありません。なんでだよ。
これらを照らし合わせて考えたとき、私が真っ先に考えたのは「これダメージ0にできるのでは?」でした。だって1未満にならないときはご丁寧に書いてくれるんだもん。

これが本当に、文字(に書いてない)通り、0に出来てしまうと、ですね。
結構な蔵書が泣きを見ることになります。

例えば抵抗できないことで有名な【魔弾】、
とりあえずサポート型が持ってれば最低限の火力に出来る【火花】、
ブロックを使えない【貫撃】、
召喚魔法から攻撃を行える【奈落門】、etc.
このあたりの1点ダメージ魔法が、判定に成功すれば無力化されます。

流石にエラッタ、もしくはQ&Aで解説されるよねぇ!? と思いながらこのnoteを書いていますが、この文章を書いている2024/09/10時点ではその表記はありません。なんてこと。

もちろん【解放】で無力化されてる、
判定に成功しないように【悪臭】なり【動揺】なり【魅了】なりを使われている、
失敗すればデメリットが大きくなるように【悪戯】【凶兆】【地雷】あたりが組み込まれてる、
など、効果自体を無効化、もしくは厳しくさせられている状況下では、判定のいらない防御強化や【要語】などのほうが安定します。というか多分そこが差別化要素です。

でもやっぱり差別化があるとしても、判定に成功さえすれば0ダメージにできる可能性があり、1ラウンド中制限のない【憤怒】は強い。
そしてこれがあるので、長い魔法戦ほどこの魔法の強みが出てくるものだと思います。
【停滞】とか、どうですかね……(どうとは)。

あとこれ多分いけるかなー? という疑問なのでメリットには上げなかったんですけど、
多分【護力】で庇ってダメージを受けるときも使えますよね……? 無法では?

そういう諸々もあって累積不可です。当たり前だ。


終わりに

こんな魔法があっていいんですか!? いいんですね。
コストが重くなればなるほど強くなるのは道理ですが、書けば書くほど「強いなあ……」という感想ばっかり出てきました。コスト6汎用魔法とかどうなっちゃうの。

ただ、私がこの蔵書……というかシステムへの理解が甘くて、「これは無理です」ってなる場合もあると思います。
その場合はお教えいただけますと幸いです。

あと各々の卓のGMさんがだめ、っていう場合もあると思います。
その時は素直に従いましょう。GMさんがその卓のマスターですからね。

では本日はこのあたりで。
よきセッションの一助となれば幸いです。


ライセンス表記

(C)冒険企画局/新紀元社/河嶋陶一朗 「魔道書大戦RPGマギカロギア」


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