【花兜】マギロギの蔵書について考える会7

本noteは「著:河嶋陶一朗/冒険企画局、新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の蔵書に触れるnoteです。

事の起こりは初回のnoteを参照ください。

初めての装備魔法です。
装備魔法は発動の際に判定が要らないという特徴を持っている蔵書たちで、取りたい呪文がいっぱい過ぎる! とか召喚型で装備を入れてる枠がない! とかそういう特殊な状況じゃなければ誰もがひとつは持っているのではないでしょうか。
というか召喚型だと装備は欲しくなりますよね。

そんな装備魔法ですが、今回取り上げる蔵書は癖が強いというか……君、出てくるシステム間違えてない?



【花兜】について

【花兜】
分類:汎用・装備魔法
効果:呪文にスペシャルを出した場合、抵抗もスペシャルでなければ成功しない。

メリット

・相手にスペシャルを強要できる
・そのスペシャルを天涯特記、【幸運】などで潰せばほぼ確実に呪文を通せる

デメリット

・こちらがスペシャルを出さないと意味がない
・そんな出目強はこの蔵書持たなくても強い


詳細な話

シノビガミに出るべき蔵書だったんじゃないかな。

シノビガミがわからない方もいらっしゃると思うので簡易に説明をさせていただくのですが、シノビガミはマギカロギアと同じ「サイコロ・フィクション」シリーズの一つであり先輩です。
マギカロギアが魔法使いになって悪(禁書や書籍卿)と戦うシステムならば、シノビガミは忍者になっていろんなもの(妖魔や忍者同士、また世界の悪など)と戦うシステムです。PvPもあるよ。
マギカロギアに出てくる越境者(魔法使い以外の不思議な力を持つ敵)のなかに存在する「忍者」はこちらのシステムとのクロスオーバーになっており、
また、公式リプレイや公式シナリオに出てくる「六分儀市」はシノビガミを含むサイコロ・フィクションシリーズ共通の舞台となっています。

何故マギカロギアの蔵書を考える会でシノビガミの話をしたのかというと、この【花兜】という蔵書をうまく使えるのはおそらくマギカロギアではなくシノビガミだから……と、筆者が認識しているためです。詳しくは後述。


では【花兜】の話に戻ります。
【花兜】は「呪文でスペシャルを出した時、その抵抗にスペシャルを出さなければ抵抗できない」という効果を持っています。
字面だけを見れば強いです。こちらのスペシャルのあと、相手もスペシャルを出さなければ相手はこちらの呪文を避けることが出来ませんからね。
ですから例えば、一撃もコストも重い【核撃】を当てやすくなります。たとえ向こうがスペシャルを出したとしても、【幸運】や天涯特記事項で振り直しさせてしまえば連続でスペシャルが出る確率はそう高くありません。
自分のスペシャル(2.78%)から相手のスペシャルが連続で出る確率は……多分、0.08%。正直自信はないですが多分そう。三連続となると0.002%らしいです。知らん。わからん。確率の計算なんて学生時代においてきました。ごめんなさい詳しくは自分で計算してください。

0.08%なんておや、ほとんど失敗じゃないですか。成功するなんてこと、まずなさそうですね(シノビガミ基本53pの注釈に擬えて)。
なんて言いますがまあ、出る時は出ます。ファンブルしたから【幸運】使ってファンブルした筆者みたいなのもいます。
ちなみにそのファンブルに【幸運】使ってファンブルしたので、0.002%が真であっても出る時は出ます。
なのでその時は素直に相手の出目を褒めましょう。TRPGにおいて出目が良いことはいいことですからね。

さて、確率的に見れば激強蔵書な【花兜】ですが、欠点ももちろん存在します。
こちらがスペシャルを出さねば無用の長物となることです。

いくら装備にちゃんと魔素を貯めていても、
どれだけ清めの塩を撒いていても、
たくさんの神社にお祓いにいっても、
その日のダイスの女神様が「今日はスペシャルの気分じゃない」と言ってしまえばそれまでです。

そもそもスペシャルの確率は素で2.78%です。100回振って3回出たら良い方です(確率論なので実際には振れ幅があり、もっとふらないと収束はしていきませんが、まあだいたいそんなものだと思ってください)。
マギカロギアは多分1セッション全員分のダイス回数を足しても100回になるかどうかだと思います。1セッションでスペシャルが1度も出ないなんてのはよくあることです(逆にファンブルは1セッションに何度も見ることもあります。なんでかなあ……)。

【花兜】が作用するのは「自分が判定でスペシャルを出せた時」に限ります。つまり自分がスペシャルを出せないと意味がなくなってしまうのです。

「じゃあスペシャルを出す確率を上げればいいのでは?」となりますね。もちろんそうなります。
でもこのマギカロギアというシステム、「スペシャルを出しやすくする」方法がとても乏しいのです。

代表的なのが【怪腕】。
詳しくはいつもどおり当該蔵書の回でお話しますが、簡単に説明すると、「2d6の判定を行う時ダイスを3つ振って、好きな出目を採用する」というものになります。
つまり「1,6,6」の出目が出たら「6,6」を選択してスペシャルを出せば【花兜】が発動します。
また天涯魔法にはなりますが【予知】もありますね。あれも「出目を好きな順番に並び替える」魔法ですから、スペシャルを意図的に出しやすくなります。ただ、【予知】で決めた順番は絶対ですので、うまく呪文のときに使えるかどうかは別問題、要調整ですが。

しかもこの蔵書、ちゃんとコストが必要です。
もちろんコストが必要なのは「作用した時の効果が絶大だから」にほかならないのですが、「作用しなくても作用した時のために準備しておかなければならない」んです。作用するかもわからないのに。
しかも絶妙に「ちょっと重いような気がする……でも作用した時の効果を考えたら妥当な気もする……」というコスト量。
1だと気軽だったのですがそうではないのですよね。「作用するかわからない蔵書のためにこのコストを溜め込むのはどうか」、という凄まじいバランス。

もしかしたら遺失魔法なんかにスペシャルにしやすくなる蔵書があるのかな、とか考えたり。
ちゃんと遺失魔法にも触れていきたいですね、この会で。

そして前述の通り、筆者はこの蔵書を「シノビガミならうまく使えた(どころか多分嫌な顔をされた)だろうなあ」と思っています。
なぜなら「シノビガミには『スペシャル値』をいじる手段が豊富にある」からです。

※以下はシノビガミにも触れる余談のような話です。マギカロギアの話にも触れますが、興味のない方は最後まで読み飛ばしてください。シノビガミに興味のある方はぜひ読んで買ってください。


筆者がシノビガミに積極的に触れていたのは5年ほど前で、現在はちょっとおやすみ状態です。やりたいんですけどシノビガミを一緒にできるお仲間さんが忙しい、みたいな状況でやれてない状態です。

なのでここでの話は「シノビガミ 基本ルールブック 改訂版」環境下での話になります。
「忍秘伝・改」とか「正忍記・認」、「流派ブック」の忍法(マギロギでいう蔵書)の話は出来ませんのでご了承ください。

まあその「シノビガミ 基本ルールブック」の時点で「スペシャル値」をいじる手段が、すごくありました。めちゃくちゃ。
当時使っていたキャラシがあるのですが

【雀蜂】
【凶手】
【沈黙】
【水晶眼】 ※背景:末裔、黒脛巾組

筆者のキャラシートの一枚より

という構成のものがありました。
これを上から順番に説明すると

「スペシャルでダメージ2追加。スペシャル値が11になる」
「次の判定のスペシャル値が-2される」
「(今回の話に関係のない忍法なので割愛)」
「体力を減らしてシーン中、戦闘中のあらゆる判定のスペシャル値を-2する」

という効果を持っています。
なのでこれ【凶手】【水晶眼】適用化で【雀蜂】を使うと「スペシャル値7」で判定を行うことが出来ます。
期待値でスペシャルです。判定の半分がスペシャルになります。PvPで持ってってたので真っ先に狙われました。まあ期待値なんて出ないんですけどね。

これに【花兜】を混ぜるとあら不思議。こっちは期待値でスペシャルを出しつつ相手には12でスペシャルを出さないと避けられない攻撃の出来上がりです。
シノビガミで出せ。いややっぱり出したらめちゃくちゃバランスブレイクだからいい。
けどもしかしたら流派ブックとか忍秘伝・改とかで既に出てたりするのかな……。

マギカロギアでもこういう風にスペシャル値をいじる手段が豊富にあれば【花兜】も採用しやすかったのですが……、
マギカロギアでのスペシャルはシノビガミのスペシャルより恩恵が大きいので、あんまり存在しないのだと思います。具体的には魔力の回復ですね。シノビガミは1点回復のみですが(その1点がかなり大きいのですが)、マギカロギアでは1d6点回復できるのでばんばかスペシャルを出すと分科会、NPCともに魔力回復しまくって終わらなくなってしまうので。

というかマギカロギアは「出目」を参照するスペシャルでシノビガミは「値」を参照するスペシャルっぽいんですよね書き方。
今後これが関わってくる蔵書とかも出てきます。多分。具体的には【支援】とかです。

……マギカロギアにもスペシャルを出しやすくする蔵書増えないかなあ……(自分の出目が信じられない筆者の嘆き)。


終わりに

採用してる人見たことないので採用している方いらっしゃいましたらぜひお教えください。そして私にキャラシートをみせてください。
セッションしましょう。【花兜】がどれほど活躍するのか見せてください……。
とはいえ、字面は可愛いし呪句も可愛いのでいつかフレーバーでもいいので持ってみたいなと思います。女子中学生くらいのPCにもたせてゆめみるおとめちゃんしてみたいなって。

今回の蔵書語りは嘆きと懇願がいっしょくたになった、語りとも呼べないほどのものにしかなりませんでしたが……、
よかったらシノビガミもよろしくお願いします(販促?)。そしてマギカロギアもよかったら「経歴ブック」みたいなの出してください(お願い?)。

では本日はこのあたりで。
よきセッションの一助となれば幸いです。
……一助にならないよ今回のnote!!


ライセンス表記

(C)冒険企画局/新紀元社/河嶋陶一朗 「魔道書大戦RPGマギカロギア」


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