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好きをやめた

ある会話をきっかけに、彼への恋愛スイッチが完全に切れた。

恋愛のような、親友のような、よくわからない関係が続いていた彼への気持ちが、
ある日を境に完全に変わった。


というのも、あれだけ私に好きと言っていたはずの彼は、「恋愛感情はない」とはっきり言った。「だから早く彼氏つくって」と。

どういうことか全くわからなかった。
すべてが矛盾していた。

あんなにすきすき言っていたのは、なんだったのか。
「ずっと前から好きだった」と言ったのは、嘘だったのか。
私は混乱に混乱を極め、わけがわからなくなっていた。

それについて友達に愚痴を言い、恋愛についていろいろ話した次の日、
ひとりお風呂に入っていた私は突然思った。

「つかれた」と。
「つかれたし、もううんざりだ」と。

一週間後に会う約束をしていた。
今回は彼から私に会いに来た。
会うのをやめようとは思わなかったけど、
前回会ったときのようなワクワクはなかった。

3ヶ月ぶりに会って、変わらず楽しかったし
ご飯やさんのチョイスも私の好みをわかっていたし
さすが付き合い長いだけあるなと思うポイントがたくさんあったけど、
私は以前のようにドキドキしたり気持ちが動くことはなかった。

彼は帰ってくるたびにいつもお土産を渡してくれるのだけど、
今回はなぜか高級チョコレートだった。
私の好きなチョコレートをもらったことは嬉しかったけど、
なぜ「恋愛感情はない」相手に何もない時に
3,000円もするチョコレートをくれるのか、
それも意味がわからなかった。



スイッチが切れたとなると、私の気持ちは一気に冷めた。
人としては相変わらず好きだし、変わらず大切に思ってはいるけれど
恋愛面では全く信じられなくなっていた。
私の中で完全に「ただの」親友へと切り替わっていた。


私が真剣に「付き合ってほしい」と告白していたら変わったのかもしれない。

体感として、彼が「恋愛感情はない」というのは嘘だと思う。
実際に会っていると些細な行動や会話の端々から私への異性としての好意を感じる。
本当にお互い恋愛感情が一切なかった数年前と比べても全然違う。

だけど、仮に本心としては恋愛感情があったとしても、
彼には「恋愛感情はないから、早く彼氏つくりなよ」
と言うだけの事情があるのだろう。
「好き」と言いながらも「付き合って」とは言わない理由が何かあるのだろう。

それならば、私は今の関係を貫き通すために彼の言葉を額面通り受け取り、尊重しようと思う。

いつまでたっても告白できない私は自己防衛しすぎているとも思う。
だけど私の中でも、「告白して関係を変えたい」という気持ちよりも
「勝ち目のない勝負を仕掛けて彼を失うよりも、現状を維持したい」という気持ちが勝っている。
何より今は、恋愛抜きの純粋な友達に戻りたい。

いつも「また遊ぼうね」と送るLINEも、
「しばらく会えないけど、元気でね」と送った。

きっと彼からは変わらず連絡がくるだろうし、
私もそれに応じるだろう。
だけど私が彼に「好き」ということはもうないし、
彼が私に「好き」と言うこともないだろう。

それがいいのか悪いのかはわからない。


だけど、もらったチョコレートを私が食べ切る頃には、
私たちは「ただの親友」になっているんだろう。
かつての私たちが、そうだったように。

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