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結婚したいわけじゃなかった

10代の頃は、なぜか自分は23歳ぐらいで結婚すると信じてやまなかった。

専門学校の卒業記念DVDで、10年後の私へメッセージを撮った。
そこで19歳の私は29歳の私に向かって、「結婚もして子供も1人はいるはず」と言っていた。

まさか33歳になっても独身だなんて、微塵も想像していなかった。

周りは半数以上が結婚し、子供を産んだ。
遊べる友達はどんどん減っていく。

彼氏すらいない20代後半の私はとにかく焦っていて、
合コン、街コン、紹介、お見合い、マッチングアプリ、
いろんなものにとにかく手を出して出会いを求めた。

だけどそこでお付き合いに至った人は一人もいなかった。

結婚相談所も、31歳の時に入会前のカウンセリングは受けた。

だけどそこで
「登録は若ければ若いほどいい」
「今ならまだ間に合う」
「30代でも前半ならまだギリギリなんとかなる」
と連呼され、私はどうしても違和感が拭えなかった。

ハワイで「年齢なんてただの数字にしかすぎない」と学んだ私は、
そこまで年齢で左右される世界で戦う気になれなかった。

だって、誕生日をまたいで歳をとったとき、
昨日までは「29歳」だったプロフィールが、
今日から「30歳」と明確に違いが出てしまう。
20代と30代では、大きな差があると言う。
昨日と今日で、私は何も変わってないのに。
30回目の誕生日を迎えた、ただそれだけなのに。
そこがどうしても納得できなかった。


私はずっと、親に「25過ぎても独身だったら有無を言わさず家を出てもらう」と言われてきた。

割と早くに結婚した母親からは、
何かにつけて
「あんたの歳の時ママはもう結婚してた」
「あんたの歳の時ママはお姉ちゃん産んで育ててた」
と言われていた。

結婚こそ全て、結婚してこそ一人前、と言わんばかりの教育を受けてきた。


祖母には、会うたびに
「ハワイなんて行かずに結婚しなさい」
「仕事よりも早く結婚しなさい」
と懇々と言われ続けていた。
ある時には「おばあちゃんもう限界よ、待てない」とまで言われた。しらねーよ。

そんな感じの環境だったし、
祖母も両親も早く結婚しろと言う割には
人の肩書きや条件にうるさい人だったので、
「あなたが選んだ人なら…」とか言ってくれるタイプではなかった。


そのこともあって、私は20代の頃付き合った彼氏はみな、
「別にこの人と結婚するわけじゃないし」
と思って付き合っていた。
結婚と恋愛は別だと思っていた。
付き合うだけなら自分で選んだ人とすればいいけど、
結婚は親や祖母が認めてくれる人じゃないといけなかった。

そうやって「結婚するわけじゃないし」と思って適当に付き合ってきたせいで、本当に好きだったと思える元彼は一人もいない。
付き合ってて楽しかった人はもちろんいるけど、全員私から振った。

だから未だに本当の「好き」がわからない感覚があるし、
愛する人に愛されるってどういう感覚だろうとも思う。


私はずっと30代過ぎて結婚できていない自分は欠陥人間だと思っていた。
「人を愛すること」を知らないということに強烈な劣等感を抱いていた。

「選ばれなかった」人間なのだと。
「結婚できなかった」人間なのだと。

だけど今、私は自分のいる環境を変えたので
周りには独身がたくさんいる。
そして、みんなそれなりに楽しくやっている。
だからすごく安心できる。
劣等感が刺激されることがない。


今の場所にいて気付いた。

私、本当は結婚したいわけじゃない。


周りが結婚して子供ができて、遊べる友達がどんどん減って
楽しいことが減っていったことが寂しかった。
みんなが「結婚」「出産」という私の知らない世界へ行ってしまったことが寂しかった。

取り残されたことが悲しくて、
親や祖母からの圧から逃れたくて、
「結婚したい」と思っていただけだった。


とはいえ一生独身でいたいわけではない。
いつかは子供だって欲しい。

だけど、苦手なマッチングアプリに登録したり
年齢のことをごちゃごちゃと言われながら結婚相談所に入ったりしてまで、
私は結婚したいと思えなかった。


本当に好きな人とお付き合いしていたら、
結婚を思い描けるようになるのかもしれないけど
愛する人に愛された経験のない私は他人と一緒に生活し、子を持ち、生涯を共にすることが全く想像ができない。

私はとにかく今は自分のために生きていたくて、
自分を愛して大切にしたい。
誰よりも、たくさん傷つけてきてしまった自分を愛してあげたい。


子供を産みたいとなると、やはり年齢は気にせざるを得ないしむずかしい問題ではある。



だけど私は、
今年は「彼氏ができますように」とは願わない。

「結婚すること」や「彼氏をつくること」はゴールではない。

ゴールは、幸せになることだ。
楽しく生きることだ。


結婚するためではなく、
楽しく幸せに生きていくために、
本当に必要だと思える相手ができたら結婚したい。

今年の目標は、「毎日楽しく過ごす」


これ一択。

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