94 にゃんしー氏のはなし

 なんというか、ようやくともいえるし、いまさらともいえるのであるが、そういうわけで書き手編の4本めは、幅広い世界で活躍されている、にゃんしー氏についてのはなしである。


 にゃんしー氏は様々な顔をもつ。様々な小説の書き手であり、詩人でもあり、パフォーマーでもあり、またイベント主催者としての顔をも持つ。もともと「にゃんしー」という特徴的なペンネームはパフォーマーとしてのはじまりに端を発しているとかいないとか。地元の新聞には文学愛好家とも呼ばれている。ひとたび小説を書けば、すさまじい速度でおそろしい分量を書き上げていき(しかしこの世界では往々にして、それでも決して速い方ではないだろうし、現に氏自身も特に速いとは認識しておられないであろう)、そのジャンルもあらゆるところに位置しながら、芯にある「にゃんしーらしさ」をはずさない絶妙な筆致である。書けば書くほどその実力は顕著に磨かれ、名のある新人賞でも選考の最後のほうに名前を見ることも増えてきた。おそらく、猛烈なトライアンドエラーを繰り返しながら、おそるべき勢いで経験値を積みつづける強靱さがそこにあるのだろう。
 氏のちからはどちらかといえば長編によく出てくると思われる。ぼくはあまり長編自体を読むことがないので、たとえば代表作である「キャンディと王様」はまだ読めていないが、ここまで様々な小説を読んできた中で、にゃんしー氏が長編にアドバンテージがあることは明白なので、代表作としていっとう良い出来になっていることは明らかで、氏の主軸ということができるだろう。また、氏は純文学にもその強みを見いだすことができる。なかでも「GIRLOVER」は非常に鋭い純文学小説が二篇入っていて、キュートな表紙からは想像もつかないほどの攻撃力を有している。
 氏の出すイベントは「文学イベント」と時折みずから表現することがあるほど、「文学」というものに芯から寄り添っているイメージがある。ぼくら書き手から紡ぎ出されるなにかを可能な限りすくい取ろうとする氏の意思が随所に感じられ、その「気配り」がぼくの尊敬する理由のひとつでもある。
 そういった背景から、ぼくは氏のサークルに自身の「遺作」になりうるであろう純文学中篇小説集「平成バッドエンド」を委託することに決め、現在は氏のサークル「デスポリンキー食堂」を中心に、氏の作品に混じって頒布を行っていただいている。
 また、近日開催される委託頒布イベント「Text Revolutions Extra」には、泉由良氏の主催する「白昼社」に吸収合併される形で「白昼社ex」として出展し、その頒布物の中に前述した「平成バッドエンド」もまぜてもらえることになった。そのため、「平成バッドエンド」は今回テキレボに悲願の初上陸を果たすこととなる。はっきり言ってしまえばテキレボの需要の主軸からは大きく離れてしまう小説集ではあるものの、ぼくの「遺作」になりうる出来ではあることは間違いないため、気になる方がいればぜひともお手にとっていただければ幸いである。

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