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成年後見制度は市民も後見人の時代へ

自宅で送る夫婦二人だけの生活に不安を覚えておられる高校の大先輩から、今後の住まいについての相談を受けていることを6月26日のnoteに書きました。そのことを知り合いの社会福祉士さんに話したら、「『成年後見人』を立てる必要があるかもしれませんね」とのアドバイスをいただくことに。
https://note.com/s_kohyama/n/n59c33f4d8a3d

そこで『成年後見制度』についてあらためて調べてみました。同制度は、認知症や知的障がいなどにより、判断能力が不十分と判断された人が、不利益を被らないように支援する制度で、家庭裁判所に後見人を選任してもらう『法定後見』と、本人が成年後見人を指名し契約する『任意後見』とがあり、『法定後見』では、支援を受ける人の判断能力の程度ごとに『後見』『保佐』『補助』と細かく3つに分類されます。

この制度ができる以前は、判断能力が不十分な人を『禁治産者』として財産の管理や契約などの法律行為を制限する『禁治産・準禁治産者宣告制度』があり、『禁治産者』になると、その事実が公示されるだけでなく、本人の戸籍に記載されます。そのため、社会的な偏見や差別の要因となってしまうという問題を抱えていました。そこで、2000(平成12)年に、障がいのある方や高齢の方でも特別な扱いはせず、従来の生活を送れるようにしようというノーマライゼーションや、自己決定の尊重の考えをもとに開始されたのが『成年後見制度』です。

血縁関係ではない私が、大先輩から相談を受けた際も、「どこまで対応してよいものやら」と、悩ましい点が多々あっただけに、認知症への不安をお持ちの方や、身寄りの無い方などにとっては必要な制度ではないかと感じました。ところが、制度化されて20年以上が過ぎても、見込み対象者約1000万人に対して、実際に利用している人はわずか2%ほどに留まり、なかなか思うように進んでいません。制度スタート時、後見人等は家族がほとんどだったものの、今では弁護士や司法書士などの専門職が大勢を占め、その専門職には限りがあるため、『市民後見人』の育成に力を入れることで、国は制度を普及させようと懸命です。

一般の市民があえて他人の後見人となる理由とは一体何なのか。そのことを、親族後見人が「家族愛」、専門職後見人が「職業倫理」とするならば、市民後見人は「地域的共助の精神」と表現されていました。7月3日のnoteに書いた共生社会の実現のために、できること、やらなければならないことは、まだまだたくさんあることを実感した次第です。
https://note.com/s_kohyama/n/n83b25aca4de3

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