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インフレにどう向き合う

堰を切ったように国内の物価高騰が始まりました。最近のニュースは、「GOTOキャンペーン再開」といった観光の話題と物価高騰の二本立ての様相であり、それらを複雑な思いで眺めています。

私自身がもっとも物価の高騰を感じるのは車の給油時でしょうか。昨日は1リットルあたり159円、前回給油時よりも5円以上は上がっていました。おおよそ週に1回のペースで給油していますが、じわじわと上がってきていることを実感しています。ロシアのウクライナ侵攻も終息の気配はなく、この状況はしばらく続くのでしょう。

円安も止まりません。ついに1ドル135円を突破しました。20年4ヶ月ぶりだそうです。先日公表された5月米国消費者物価は8.6%の上昇。こちらは約40年ぶりの水準を更新しました。米国でのインフレ終息の気配は一気に吹き飛んだようで、利上げのスピードは加速しそうです。

先日は日銀の黒田総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」との発言に波紋が広がり、撤回に追い込まれるという事態が生じました。「『仕方がない』と諦めても、決して受け容れているわけではない」そんな批判の声が高まるのも、実質賃金が上がっていない現状では当然な反応かと思います。その発言を蒸し返すわけではありませんが、「今後も国内の金利は上げずに円安を容認する」とも受け取られることから、円安に伴う物価の高騰はしばらく続くことが見込まれ、深刻な問題です。日銀としては、現在の国内の経済情勢では利上げできる状況にはなく、「打つ手なし」といった方が適当かもしれません。日本はこれまでインフレターゲット2%を達成しようと、あらゆる金融政策が講じられてきたものの、10年ほど未達のまま。それが皮肉なことに円安によってあっさりと達成してしまいました。

先日の骨太の方針では所得ではなく金融所得倍増の目標が立てられました。言うまでもなく、資産運用できる人は限られるので、これから本格化するインフレにそれぞれで自衛策を講じていかなければならないようです。例えば、ガソリン代を節約しようと公共交通機関を利用しようとしても、地方の場合その料金自体がもともと高く、定期券でも利用しない限り支出は逆に増加してしまいます。燃料費高騰のあおりを受けて、その料金もこれから引き上げられることになるのでしょう。

世界的な金融緩和の流れに乗って、国内でも異次元の金融緩和を続けてきました。我が国だけ効果が上がらないままに、欧米諸国が金利を引き上げ始めるという、難しい局面を突きつけられています。私は「政治家とは財政支出の優先順位を決めるのが仕事」そう認識してきました。現代貨幣理論(MMT)、その全てを否定するつもりはありませんが、あの理論が一定程度浸透してからは、優先順位付けを避ける政治家の責任回避の姿勢が鮮明になってきており、一抹の恐怖を感じざるを得ません。

昨日、街なかを車で通ると、人だかりができていました。なんだろうとよく見ると、参議院選挙に向けた街頭演説でした。某党の党首が来ていたらしく、人だかりのほとんどがマスコミで、周囲を歩く人たちは立ち止まるでも、振り返るわけでもなく素通りしていました。政治家とその周囲の絶望的な温度差が伝わってくるように感じたものです。仕方ないと諦めるのは物価だけではないような、そんな空気感でした。

「厳しい時期だからこそ諦めない」そう自らに言い聞かせる日々です。

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