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これぞ、謝罪のテクニック!?

最近、経営陣や政治家などの謝罪会見をよく見かけるようになりました。かくいう私も市長時代に、何度か、いや何度も謝罪会見に臨んだことがあります。その様子を見ながら、不謹慎かもしれませんが、「よく訓練されているなぁ」と感じます。少し前には『謝罪の王様』という阿部サダヲ主演映画も上映されましたが、最近では謝罪の仕方を指南するコンサルなどもあり、危機管理の一環としてかなり一般化してきたようです。お辞儀の仕方や想定問答集をもとにシミュレーションするなど、きっとかなりの訓練を積んで臨んでいるのでしょうね。

そんな謝罪にはいくつかのNGワードがあるとのこと。例えば、
「すみません」
この言葉は謝罪の意味だけでなく、「すみませーん」と誰かを呼ぶ場合や、「あのー、すみませんけど…」と喋り始めに使う場合もあり、色んな場面でよく使われる言葉です。それだけに、軽く聞こえるのでしょう。

同じ言葉を繰り返す
「すみません、すみません」「ごめんなさい、ごめんなさい」と、繰り返せば繰り返すほど、本人はそのつもりがなくても、「とりあえず謝っておけ」との印象を与えてしまいかねない言葉です。

「誤解を与えたのであれば……」
この言葉は最悪だと思います。自分は悪くはないのだけれど、相手の理解が足らないと言わんばかり。政治家の謝罪の際によく聞かれるワードですが、上から目線と受け取られかねません。

「悪気はなかったのだけれど、つい……」
悪気があろうが無かろうが、謝罪が必要な事態を引き起こしたのであれば、全くもって余計な言葉。逆に相手の怒りを買うことにもなりかねません。

このような言葉使いに気をつけながらも、最大のポイントはやはりお辞儀なのでしょう。背筋を伸ばして、90度近く曲げる。複数名で謝罪するときには、上げ下げのタイミングを合わせるのがこつ。そろっているだけでも、相手に与える印象が違ってきます。報道のカメラマンにとっては、その瞬間はシャッターチャンスであり、頭を下げた瞬間に一斉にフラッシュがたかれます。一人だけ下げ遅れたら格好がつかないですものね。個人的には土下座は嫌いです。お詫びの気持ちが伝わるというよりも、土下座された側に不快感を与えることになると思っています。

他にも
「不徳の致すところ……」
「弁解の余地もございません」
等々、謝罪ワードは数多くあります。同じ言葉を何度も繰り返すわけにはいきませんので、これらの言葉を組み合わせながら乗り切ろうとします。

つい最近、このNGワードを乱発する記者会見を久しぶりに見かけました。案の定、火に油を注ぐような状態となり、しばらくは収まりそうにもありません。それは、言葉づかいやテクニックの問題ではなく、「本当に申し訳ないことをした」との気持ちが、紙面や映像を通して伝わっていないことにあるようです。

本人が悪いことをしたと思っていない謝罪は、見ていても決していい気持ちはしません。人は誰だって過ちをおかし、失敗もするのですから、謝るときは心を込めて誤りたいものです。

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