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テーマパークの変遷をたどる

北九州市八幡東区の『スペースワールド』跡地に、今年4月にオープンしたばかりの『ジ・アウトレット北九州』に行ってみました。九州最大級のアウトレットモールとのことで、とにかく広い。隣接する『イオンモール八幡東』と合わせると東京ドーム3個分もあるそう。ショッピングだけでなくアミューズメント、スポーツ施設、西日本最大級のプラネタリウムや国内最大の大型竜巻発生装置が売りの「スペースLABO(ラボ)」などもあり、色んな楽しみ方ができます。私は特別買い物好きというわけではありませんが、中に入るとなんとなくワクワクしてしまう不思議な空間です。

2017年の大晦日のカウントダウンイベントをもって閉園したスペースワールドは、若かりし頃の思い出の場所の一つ。新日本製鐵工場跡地に誕生した宇宙をテーマにしたアミューズメントパークには、好奇心がくすぐられたものです。1990年4月のオープン当時、私は社会人2年目で、福岡市内に勤めていたことから何度か北九州まで足を運びました。オープンしてからしばらくはかなり賑わい、1997年度の216万人をピークに次第に減少。2004年3月期に351億円の累積損失を抱えて経営主体が変わり、地域密着型の方針転換が功を奏し、2008年には来場者数は11年ぶりに増加に転じ、2009年度には営業黒字を達成しました。

その後も来場者数は2011年に159万人、2012年に164万人と順調に回復し、2016年3月期には過去最高益を達成しています。それが突如として閉園を発表。閉園の理由は、少子化の進行、北九州市の人口減少、近年のレジャーの多様化、長崎県佐世保市のハウステンボスとの競合などによる施設の陳腐化などでの経営難といわれましたが、地主と運営者との間で、賃貸借契約の更新交渉が不調に終わったことが原因とも報道され、本当のところはわかりません。

九州にもテーマパークと呼ばれる場所はいくつかありますが、最近ではハウステンボスが話題に。今年8月にはエイチ・アイ・エスなどの株主が、香港の投資会社に売却することが発表されました。今後の運営はどうなっていくのでしょう。ハウステンボスはそれ以前にも色んな動きがあり、栄枯盛衰ではありませんが、大型のテーマパークを持続する上では、そういった変遷をたどるのはやむを得ないことなのかもしれません。

九州のテーマパークで思い出すのは、福岡県大牟田市の『ネイブルランド』と熊本県荒尾市の『アジアパーク』いずれも三井三池炭鉱の跡地を活用したもので、いわゆる第3セクターで運営。アジアパークにはオープン直後に行ってみたのですが、アトラクションは『アジアンクルーズ』たった一つだけ。その後アトラクションの改変などもあったようですが、1993年の開園から7年ほどで閉鎖されてしまいました。『ネイブルランド』は結局行くこともなく、1995年の開園からわずか3年半で閉園されています。

官民出資の第3セクターは、当時よく使われた運営主体でしたが、常に新たな発想と施設の更新、柔軟な経営が求められるテーマパークは、民間ですら難しいのに、そもそも無理があったということなのでしょう。その点、1983年に開園してもうすぐ40年、現在でも多くの人たちを引きつける東京ディズニーランドは本当にすごいと思います。

今後、メタバースなどが普及してくれば、バーチャルがリアルを凌駕する世界が訪れることになり、ますます従来の発想のテーマパークでは通用しなくなっていくのかもしれません。そう考えれば、このアウトレットモールもテーマパークのような位置付けなのかもしれませんね。当時を思い出しながら、それなりに楽しむことができました。

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