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副業先生をもっと教育現場へ

5月31日付のnote「 もう一度『ゆとり教育』を」では、『ゆとり教育』の再考を提案する中で、慢性的な教員の志願者不足を指摘していました。過酷な労働環境として敬遠されつつあるのは、全国共通の課題になっています。
https://note.com/s_kohyama/n/naa61670d4265

『副業先生』をテーマとした討論番組を観ました。『副業先生』とは、大学で養成教育を受けていなくても,都道府県教育委員会の行う教育職員検定により『特別免許状』(*)を得た先生のことを指し、本業の傍ら、副業として教壇に立つ人が増えていることが紹介されていました。

同制度は、1988年に『教育職員免許法』の改正により制度化されたもので、これまでは特別非常勤講師ほどは活用されてこなかったものの、免許状授与要件の緩和や有効期限の撤廃、社会人特別選考の実施など、制度面・運用面での改善が行われたこともあり、ここにきて『副業先生』は急増しています。

その番組で紹介されていたのは、大手外資系企業の社員が『プレゼンテーション』を担当。実践で培われたスキルは、具体的でわかりやすい指導となり、生徒たちにもとても好評な様子でした。本業にも影響のない範囲で、授業は月に1~2回、土曜日に開講しているとのこと。情報化や国際化への対応だけでなく、多彩な経験を、教育現場に活かす取り組みは、これからますます重要になってくるものと思われます。

もちろん、副業とはいえ、教壇に立つからには、専門的なスキルだけではなく、人格なども慎重に見極める必要があるのは言うまでもないでしょう。『副業先生』の中には、お金を稼ぐことを目的とするのではなく、人材育成といういわば究極の社会貢献に直接携われることに誇りを感じている人も少なくありません。『副業先生』は大いに活用すべきと思いました。

ただ、その番組でも指摘されていましたが、『副業教員』の目的が「教員不足を補う」ためなのであれば、違和感を覚えますし、根本的に間違っていると指摘せざるを得ません。諸外国と比べて「日本は教員が尊敬されない社会」であることも指摘されていました。比較の難しいところではありますが、かなりの時代のギャップがあるとはいえ、私の子どもの頃に比べれば、明らかな違いを感じます。尊敬される職業ランキングをいくつか見ましたが、大学教授はランクインしていても、教員はほとんどがランク外でした。

いきなり今日から「先生を尊敬しなさい」と言っても無理な話で、そこはやはり教育は『国家100年の計』、当面は『副業先生』等の力を借りながらも、人格・識見ともに優れた『本業先生』を教育現場に増やすための努力と工夫を、中長期的なスパンで取り組んでいくことが大事なのだと思います。

*特別免許状制度
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020202/020202e.htm


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