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オリンピック・パラリンピック誘致の裏には?

4年に一度のオリンピック・パラリンピック大会は、アスリートにとって特別な大会です。『東京2020オリンピック・パラリンピック』は、コロナ禍で開催自体が危ぶまれたものの、1年延期でなんとか開催されました。開催には賛否両論あり、正直言って私自身も「今やらなければならない大会なんだろうか」との疑念を抱いていましたが、大会が始まりアスリートたちの感動のパフォーマンスの数々を目の当たりにして、「やってよかったのかもしれない」と思うようになりました。特に高校の後輩にあたる水泳競技のパラアスリート、富田宇宙さんがメダルを獲得し、大会後の感動や感謝の言葉を聞いて、改めてそう思ったものです。

ところが昨日、オリンピック組織委員会の元理事が東京地検特捜部に受託収賄の容疑で逮捕されました。同じく贈賄容疑ですでに逮捕されていたAOKIホールディングスの前会長ら3人から、大会のスポンサー契約やライセンス商品の契約に関して便宜を図ることを求められ、見返りに現金5100万円を受け取った疑いが持たれています。元理事は電通の元専務で、同社では『伝説の人』と呼ばれていたそう。『スポーツビジネスの第一人者』であり、バッハ会長と直接電話でやりとりのできる唯一の日本人として、『東京オリンピック・パラリンピック誘致の立役者』とも呼ばれていました。

その元理事は、逮捕直前に「オリンピックの成功のために必死でやってきたのに、なぜこんなことをするのか」と語っていたとか。おそらく本音なのでしょう。言うまでもなく、大会を誘致するためには何でもありというわけではないのでしょうが、その渦中にいると冷静な判断ができなくなる上、周囲には自分を利用しようとする人たちが集まってくる。多少レールを踏み外しても招致が成功すればかまわないし、その功績として大会の運営に口を出すのは当たり前……おそらくそんなところでしょう。そして逮捕されるのは自分だけ。思わず出た本音なのだと思いました。

今回の逮捕を受けて、日本オリンピック委員会の会長は「事実であれば極めて残念」札幌市が進める2030年冬期五輪開催招致について「影響が出ないように全力を尽くす」とのコメントを出しました。

疑惑も含め『肥大化する商業五輪』については、これまでさまざまな指摘がなされてきました。『東京2020オリンピック・パラリンピック』の大会経費総額1兆4238億円についても[組織委6404億円(45%)、(都5965億円(42%))(国1869億円(13%)]組織委分に関しては、公益財団法人のため情報公開制度の対象外で、経費の全体像が解明できない仕組みとなっています。

今、日本オリンピック委員会のやるべきことは、影響の出ないように全力を尽くすのではなく、資金の流れを含めて事実関係を明らかにし、膿を出し切ることに尽きます。オリンピック・パラリンピック大会が、いつまでもアスリートたちの憧れの舞台であり続けることを願うばかりです。

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