大学での学び

はじめに


 はじめまして。12月よりこちらの執筆を担当いたします学部3年のオカヤマと申します。よろしくお願いいたします。
 私は幼少期から博物館に行くのが好きでした。精巧な絵画や像、鎧など夢中になって観ていた覚えがあり、いま東日美で実際に作品に近づいて学ぶ機会があることを非常に幸運に思っています。
 これから美術史の魅力を皆さんにお伝えできればと思います!

今回の話題


 今回は私が大学で美術史を勉強するなかで重要性を強く感じている「批判的精神」について、そして美術史の勉強を通して日々感じていることをお話ししたいと思います。
 

「批判的精神」について

 義務教育と高校までの勉強はとにかく教科書の内容を真理として扱い、それを覚えるというものでした。私はそこに特に疑問を持たず過ごしていました。しかし大学に入学して美術史を勉強する中でその考えが大きく覆りました。まず、博物館に展示してある国宝や重要文化財が本物と言えないこともあると知りました。これには大変びっくりしました。ガラスケースの向こうの立派な作品の数々が本物でないかもしれないとは!そしてよく自分の目で作品を観察すると、確かに思っていたよりも粗があったり、教科書や本の記述とは異なる点が見つかるものでした。これは私にとってとても新鮮な経験でした。
 知識を増やすことも大切ですが、時にそれは先入観による視野狭窄に陥ってしまう危険性があるなと感じました。実際に自分の目で観察して情報を得ていく作業が学問に取り組むうえで非常に大切だと日々痛感しています。
 

 比較の授業


 さて、私はいま美術作品を比較観察する授業を受けています。授業の進み方としては
・授業前に同じ画題の二つの作品を観察、分析をする
※この際予備知識が全くない状態で臨みます
・授業で分析した特徴を挙げていく
・杉本先生による解説

といった流れになります。



授業前提示された二つの作品を見ると、はじめはほとんど同じものに見えます。しかしじっくりと時間をかけて観察すると二つの作品の違いがはっきりと見えてくることにとても驚きました。そして丁寧に作品を比較分析したのちに改めて作品を眺めると、見え方が全く違い、さらにはどちらがより良い作品かということについても考えることができるようになりました。
それまで美術史を学ぶ中で作品の良し悪しや真贋について考える場面がありましたが、正直自分がそれを見極められる自信がありませんでした。作品比較の講義をうけて、確かに自分が作品を観る実感が持てるようになっており、いま美術史の魅力をさらに感じております。
 そして授業で作品についての解説を聴くと、あまり出来が良くないと感じた作品が重要文化財とされていたり、作者が著名な人物であったりすることが多くありました。それらの情報を知ったうえで作品を観察していた場合、作品の印象は変わっていたのではないかと感じています。もしそのような価値づけがなされていると知っていたら、無意識に「良い物」という先入観が入り、なかなか疑問を持ち辛いと思います。
 私は比較の授業を通して、真実を見極めるために「批判的精神」がいかに大切であるか実感しました。そして「批判的精神」を養うためには、実際に本物に触れて自分の力で情報を得ることが必要不可欠だと思います。その点実際に物を扱う美術史は「批判的精神」を養うのに適していると感じている今日この頃です。
 私たちはこれから社会で生きていく中で、多くの情報を取捨選択していかなければなりません。ニュースやネットを見ていると日々様々な意見が飛び交っていますが、振り返ってみると私はまだまだ高名な人や多数派の意見に流されてしまいがちだと感じています。日常においても「批判的精神」をもって生活したいものです。日々精進ですね・・・。

さいごに


 今回は私が大学で学ぶ中で大切だと感じた「批判的精神」についておもにお話ししました。記事の執筆は初めてのことで拙い部分が多々ありますが、これからよろしくお願いします。これから寒い日が続きますが、皆さまお体に気を付けてお過ごしください!

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