読了　不可逆少年

久々の本の話。
いや。なんだかんだで読んでいるのだが、
読了と書ける本に巡り合えていないのかも。
個人的にはまた姫川玲子シリーズを読んだので、
色々と読み返すのとまだ買っていないものを
そろそろ買って読み始めようかなと。

さて今回読んだのは不可逆少年。
本の帯やネットでの説明が、
「狐の面をつけた少女が、監禁した大人を次々に殺害する事件が発生した。
凶器はナイフ、トンカチ、ロープ、注射器。
常軌を逸した犯行は、ネット上で中継された。
彼女は13歳の「刑事未成年」で、法では裁かれない。
「だから、今しかないの」――。」
そして映画化で話題の『法廷遊戯』の作者の書いたものだという事で
読んでみた。

帯からすると狐の面を付けた１３歳の少女詩緒が主人公で
大人を徐々に換金して次々殺害して最終的には捕まるとか
主人公が何らかの形で死ぬとかという展開なのかなと思っていたら
騙されました。

あまりネタバレしない程度に。

まず連続殺人事件は最初に完結しており
殺されたのが男性三人でそのうちの二人が詩緒の姉の同級生の
茉莉の父親と獏の父親。
刑事未成年の13歳のうちに人を殺してみたい、
そしてそれをネットで中継した。
ここまでが前書き。
茉莉も獏も両方とも父親や家庭に問題を抱えていた。
この二人に獏の兄の砂と詩緒に殺されかけた姉奏乃
家庭裁判所の調査官で過去に家庭に問題を抱えていた瀬良が
主な登場人物でこの５人を中心に物語が語られる。
覚せい剤、放火、女子高生への髪切り、監禁といった
犯罪がちりばめられ、それに対してどう向き合っていくのか？
不可逆もとに戻らない状態。
あの時こう選択したので今があり、
あの時別の選択をしていればこの結果にはという事は
日常的にあることで、世の中は理不尽である。
今後の人生で背負う十字架は重いのだろうなと。

聞いた話によると作者五十嵐律人氏は弁護士作家だそうで

五十嵐律人 - Wikipedia

得てして専門家の作家だと専門用語だらけで
読むのに一苦労する場合が多いのですが、
法廷遊戯などもそうであるが
法律に詳しいうえに非常に読みやすい文体で
ついつい引き込まれてしまいました。

小説としてはある程度の希望が見える形で終わっていますが、
詩緒やその他の子がその後がどうなったのかが知りたくなる話でした。