アウトオブコントロールイマジネイション

 爆発的心拍数。銃弾が飛び交う。血液は沸騰。脂汗が顔中の毛穴から噴き出す。脳髄が腐った低能な連中に、居場所が悟られぬように息を殺す。身体中の穴から何かしらの臓器が飛び出しそうだ。すべてを懺悔したくなる。
 ボルトで締付けられたような緊迫感の中、ふと頭に温かいメロディが流れた。不思議と不安は消え、心は安らぎ、そして……魂が鼓舞した……一体この曲はなんだったか……。
「相棒、こんな状況で言うのもなんだが、頭の中にいやに懐かしい曲が流れている」
「ハッ。お前から話しかけてくるなんて珍しいな。俺の頭の中にも流れているよ相棒」
「ここを墓標にするのも悪くない気分になってくるぜ」
「……馬鹿言うな。俺たちは帰るんだ……絶対にな」

 みたいなイメージの曲を作ってほしいわけよと、迷惑防止条例違反的大音量の演技で曲のイメージを伝えてきた山川だったが、本当はただ演技がしたかっただけなのではと生田は疑念を胸いっぱいに抱えていた。
【続】

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