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今更に『暗黒竜と光の剣』をやってみた

 どうも、S(h)inと申します。

 noteではゲーム音楽のお話をしていることが多いのですが、今回は割と純粋な「ゲームのプレイ感想」についてはお話できればと思います。

1.事の経緯

 話は少しさかのぼって2020年1月、『幻影異聞録♯FE Encore』がNintendo Switchのソフトとして発売されました。アトラスとインテリジェントシステムズがタッグを組んで生み出された異色のRPGです。

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『幻影異聞録♯FE Encore』のタイトル画面

 この作品はもともとWiiUで発売された『幻影異聞録♯FE』の移植版となっており、追加要素などを含めた少し豪華な仕様となっています。

 私はこのゲームの音楽面含めた評価について聞き及んでいたため、発売日翌日に突発的に購入してしまいました。実際にプレイしてみるとシミュレーションじゃないファイアーエムブレム(以降、FE)という不思議さはあれど、戦闘やストーリーなどの面白さに大満足の内容でした。

 そんな『♯FE』の特徴の1つとして、日本が舞台でありながらFEシリーズでおなじみのキャラクターが何人も登場することが挙げられます。ただ、主人公たちと接触するキャラクターの多くは原作のデザインにアトラス的な再解釈がされています。

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画面中央の「異形の男」と紹介されているのはクロムさん
『覚醒』の主人公ですが、だいぶ雰囲気が違いますね…

 そして、本作に出てくるFEキャラクターの出典となる作品は『暗黒竜と光の剣』と『覚醒』の2本です。私の場合、『覚醒』はプレイしていたのでストーリー中の小ネタなどが結構楽しめました。

 そして、無事エンディングを迎えることができたところで、ふと思うことがありました。

「そういえば初代FEやったことないな」

 初代FEとはもう1つの出典である『暗黒竜と光の剣』を指します。『スマブラ』ですっかりおなじみのマルスが主人公で、彼を中心とした騎士や傭兵などのキャラクターを操作し、敵を倒していくシミュレーションRPGです。

 プレイ中にはこの『暗黒竜と光の剣』のストーリーやキャラクターが重要な鍵とする場面があったりします。そういう所を考えると、やはり元となる作品に触れていないことが少しもったいない気がしてきたのです。そこで、この機会に『暗黒竜と光の剣』をやってみることにしました。


2.今までのFEプレイ歴

 そんな感じで初代FEをプレイすることになった私ですが、今までのFEプレイ歴は以下のようになっています。

・覚醒(ノーマル2回、ハード1回)
・if 白夜(ノーマル1回)
・Echoes(ノーマル1回)
・ヒーローズ(配信初日からプレイ)

 いわゆる本編作品を3つ触っているのでシミュレーションにはある程度慣れていますし、FEお馴染みの要素にも多く触れています。「今回のジェイガン枠は…」とか「このキャラの成長率は…」みたいな話も多少出来ます。

 また、基本的なプレイスタイルは「クラシックにて全員生存を目指す」感じです。割りと一般的なタイプなんじゃないでしょうか。いつも仲間が他界するたびリセットすることで可能な限り最良のクリアを目指しています。

 あと、スマホ向け作品であるヒーローズのプレイ経験から、初代FEのキャラクターに関しても事前知識があります。ただ実装されているキャラクターも限られているため、万全というわけではありません。


3.どの『暗黒竜』をプレイしたか

 そんな私がいざ『暗黒竜と光の剣』をプレイしようとした際に「どの暗黒竜をプレイするか」が問題になりました。

 初代FEの発売ハードはファミリーコンピュータです。正直、今の一般家庭にソフトのカセットがあるわけもない…はずだったのですが、うちの実家にはありました。

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年季の入ったパッケージだなぁ…

 話を聞いてみれば、父親がプレイしていたものだそうです。こうなると「実機でプレイを開始しよう」とも考えたのですが、ここで私はひとつの事実に気づきます。

そういえばスイッチにファミコンのゲーム遊べるソフトなかったっけ?

 そのソフト、正式な名称は「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」と言います。Nintendo Switch Online加入者なら無料でダウンロードでき、好きな場所でファミコンのゲームを気軽にプレイできることが特徴で、そのラインナップの1つに『暗黒竜と光の剣』もあるのです。

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いろんなゲームが実質無料で遊べます

 そして、実機にない利点として「どこでもセーブ」と「巻き戻し」の機能が存在することが挙げられます。

 「どこでもセーブ」は名前の通りどんなタイミングでもセーブできる機能ですので、危ない行動の前に保険が欲しいと常々思わされるFEのゲーム性と相性がいいです。

 また、「巻き戻し」は現在から少し前の時間までゲームを戻すことができるため、「ユニットで相手を殴ったら回避された上、相手の必殺が出てユニットをロスト」みたいな悲惨な事故も、とりあえず巻き戻した後に違う行動を取ってから試行しなおすことで回避できたりします。

 これらの理由から今回プレイするのは「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」の『暗黒竜と光の剣』とし、前述の機能もほどほどのに使うことでクリアを目指しました。


4.実際にプレイした感想

 で、実際にプレイして無事にエンディングまで迎えました。総プレイ時間は約30時間で、個人的には「満足できる内容」でした。

 ただ、いかんせん古いゲームですし、シリーズを重ねて洗練されてきた現在の仕様などに慣れていると大分つらく感じる面もあったりしました。

 そんな「楽しかった点」と「つらかった点」について、いくつかの章に分けてご紹介します。

4.1.「様々な仕様が私に立ちはだかった」

 まずは前述の通り、初代の仕様は「今となってはめんどくさい」、「プレイしていて困る」と感じてしまう部分も多いです。以下に気になった仕様を挙げていきます。

〇移動・攻撃範囲が表示されない
 純粋にめんどくさかったです。いちいち敵の歩数と武器を確認して「1、2、3、4…」とマスを数えた後にユニットを配置することになります。今では行動範囲はマップ上に表記されますし、それに慣れていた分、「難しい」ではなく「めんどくさい」が先立ちましたね。ただ、プレイしているうちに慣れてしまう要素ではありました。

〇増援即行動
 敵ターンに出てきた増援がすぐ動いて殴りかかってくるという、普通にきつい要素ですね。これのせいで何回事故ったか分かりません。幸い敵の増援位置は砦などのわかりやすい場所ばかりなので、とにかく制圧する(ユニットを増援マスに乗せる)ことが重要でした。

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制圧しづらい海上に砦があって手が付けられなくなった例

〇所持可能アイテムが4個
 1ユニットが持てるアイテムが4個はきついです。いや、『Echoes』は1個でしたが、それを前提にして武器が壊れなかったりするのでいいんですが。道具の取捨選択も本作の醍醐味と言ってしまえばそうかもしれません。
 しかし、手持ちいっぱいのユニットが敵からアイテムを取得した際に、「持ちきれないから預り所行きね」といって預り所利用料10ゴールドを持っていかれるのは釈然としませんでした。預り所、儲かってますねぇ???

〇出撃前にアイテムの整理ができない
 上記の所持数制限に加えてかなりめんどくさい仕様です。これのせいで「直前のマップで盗賊が入手したレアアイテムを受け渡すため、宝箱も何もないマップに盗賊を出撃させ、マップ上でアイテムの受け渡しを行う」という地獄を何度か味わいまあした。ちなみに、マップ上で選べるコマンドはアイテムを「わたす」しかないため、アイテムを4個ずつもったユニット同士は何も受け渡せません。「こうかん」のコマンドをください…

〇アイテムの説明がない
 そもそもアイテム欄にてカーソルを合わせてもアイテムの説明がありません。ただ、重要なアイテムは民家や村の訪問で説明をもらえます。でも、説明がないアイテムはとことん「効果不明」なのでつらいです。初めて「オリオンのや」というアイテムを見たとき「ドーピングアイテムかな?」と思って重装兵のドーガに使うというミスをやらかしました。実際は「アーチャーがスナイパーに転職するアイテム」なので無意味に消失するだけでした。(もちろんリセットしました)
 特につらいのは武器の各種パラメータが分からないことです。威力、命中率、重さの数値が書いていないため、「この武器の実力を実践で試すぞ!」ということになりがちです。持つ武器によって重さの影響で追撃が出ないこともあるため、計算ミスを何回も起こしました。

〇戦闘予測がない
 すさまじく困った要素です。敵といざ戦う画面になって、殴られて、そして減った体力を見てようやく相手の攻撃力が分かります。これはとにかく兵を進めるうえで困る要素で、相手の攻撃を受けきれるかどうかさっぱりわからないので不安まみれです。
 そして、強敵との戦いともなると厳しくなってきます。特に20章で対峙するカミュは神器グラディウスを投げる遠近両用攻撃をしますが、「何ダメージ受けるのか」、「追撃が発生するのか」などが分からないまま戦うのは本当にきつかったです。

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こんな立派なステータスのカミュ相手に予測がないのはつらい

〇僧侶のレベリング方法がつらい
 作中でも説明がありますが、本作のヒーラーである「僧侶」のユニットが経験値を得るには「敵の攻撃を耐える」必要があります。味方に対していくら杖を振っても経験値は得られません。ゆえに、レベリングには低耐久の僧侶をできるだけ回避しやすい地形に置き、敵の攻撃を受け続けるといった行動が必要です。味方を回復するユニットにダメージが発生する危険をわざわざ冒さなければいけないのは何かおかしいですね…
 育成している最中、ここまでする必要があるのか途中で疑問を抱きましたが、最低でもレベルが10はないと上位職の司祭になることができず、結局レベリングを行いました。

〇中立ユニット表示がない
 これ意外と怖かったです。本作でも敵ユニットが仲間に寝返ってくれるイベントはありますが、そもそも設定上的でないユニットも「敵性ユニット表示」が行われます。
 どういう場面で困るかというと、例えばストーリーで仲間になるカチュアが敵ユニットの状態で近づいてくる場面があります。そうか、仲間になってくれるんだな、と思ったのですがマルスでこちらから近づこうにも海上にいて話せません。でも向こうは明確にマルスに近づいてきます。

もう疑心暗鬼ですよ!

 「え?なに?向こうから話しかけてきてくれて仲間になるやつだよね?実は敵対してる?今殴られたら場所的にきついってレベルじゃないよ?」とかすごい考えました。結局、次のターンに向こうから話しかけてきて仲間になりました。杞憂でしたが地味に心臓に悪かったです。

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接触するやいなや会話が始まって安堵したカチュアとの遭遇

4.2.「巻き戻し機能に助けられてのクリア」

 いろいろな仕様に振りまわされる中で、結構な頻度でユニットを失いました。そのたびに「あーリセットしなきゃ」と考えたのですが、ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Onlineの「巻き戻し」機能が私を助けてくれました。

 ですが正直に言いますと、これはなかなか「ずるい」機能です。例えば、命中90%ぐらいの敵の攻撃を食らってしまう場合、巻き戻して乱数を動かしたのちに再チャレンジ、という行為を敵の攻撃が外れるまで繰り返したりできます。しかも、ゲーム外の機能ですから使用制限とかはないですし、自分に都合のいい結果を求めて永遠に再試行が行えます。

 ただ、本作は昔のゲームということもありますし、かなり「死んで覚える要素」が強いです。前述した戦闘予測がないことや、増援が沸くタイミングなどは実際にプレイしてから理解してもらうような作りになっています。

 そんな中で初見でサクサクと進みたいのであればこの機能は大いに役に立つと思いました。言ってしまえば、『Echoes』におけるミラの歯車や『風花雪月』の天刻の拍動のようなシステムと考えて使うと便利だと思います。事故や凡ミスが引き起こす度重なるリセットから精神を守ってくれます。

 ただ、この「巻き戻し」機能ありきでプレイするのは緊張感の喪失につながると思われますので、真剣にプレイしたい場合は使用回数を制限する、そもそも使用しないなどといった工夫が必要になると思います。

4.3.「思っていたよりキャラクター要素が薄い」

 そして、いろいろな仕様を乗り越えて無事にゲームクリアまで通したのですが、思ったよりキャラクター要素が薄かったですね。まぁ昔のゲームですし、テキストに容量を割けない部分もあったかもしれません。

 ただ、せっかく愛着をもって育てるユニットも話に大きく関わるマルスやシーダを除いてほとんど台詞がありません。ユニットロスト時の台詞を探すという業の深い行為すら肯定されるんじゃないかなといったレベルです。

 初期メンバーであるカインとアベルに関してどういう接点があるのかとかの話もないし、サジ・マジ・バーツがオグマが仲間になる場面で気が付いたら軍に加わっていたりとなかなか扱いに驚かされる部分も多かったです。

 今となってはヒーローズなどの外部作品でばっちりキャラ立ちしている様々なユニットも、初代ではそこまで印象に残る要素はないといっていいでしょう。現在の各キャラクターのイメージは後のリメイク作品によるものが強いということを学んだ感じです。

 結果、私が実際にプレイしているときに使用したユニットの多くは既存情報が多いキャラクターに偏ってしまいました。途中加入のユニットより初期からいて有名なユニットばかり育てていました。今思うと「もう少し変わったユニットを運用した面白い攻略」を目指してもよかった気がしますが、初見だったというのもあって、そうもいかない感じでしたね。

 しかし、逆に言えば少しでも台詞のあるキャラクターはかなり印象強くなりますので、そこで興味を持てるという面もありますね。そういうキャラクターは数少ない背景設定を握りしめることで「ぜひ活躍してくれ!」と思いながら育成に望めます。

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やたらネタにされるリフですが、人気の理由がわかった気もします

4.4.「FEの楽しさは今も昔も変わらない」

 ただ、いくつかの障害もある中で感じられたことは計画性や戦略性といった「このゲームの楽しさ」は今も昔も変わらなかったということです。

 育成1つを取ってみても

・伸びるユニットを見極めつつ育成対象を絞る
・兵種のバランスを考えてユニットを選ぶ
・育てたいユニットでとどめをさすことを意識する
etc…

といった具合に、いつのFEでもやることは変わらないのです。

自分のユニットの特性を把握し、相手のユニットの行動を予測する。
マップごとの地形や行動目標から自分なりのプランを考えて進軍する。
突然の状況変化も対応して、現存の兵力を有効に利用する。
そして強力な敵将を打ち取って、勝利を収める。

 結局、プレイするうえで私が求めていた「楽しさ」は今の作品と遜色ありませんでした。むしろ、この面白さが人を引き付けたからこそ『ファイアーエムブレムシリーズ』が今日まで続いているのだと思えました。


5.感想のまとめ

 だいぶ長かった感想ですがざっくりまとめるとこんな感じです。

・昔ならではの仕様が、今のFEプレイヤーには面倒かも
・「巻き戻し」機能は適度に使うとストレス軽減になる
・思ったよりもキャラクターの掘り下げはない
・でもFEとしての面白さは変わらないので楽しめた

 総括すれば、「古いゲームであることさえ呑み込めていれば、十二分に楽しめるゲーム」だと思います。あ、加えていくつかのFE作品をやっていると各作品におなじみの要素の原点が分かるので、よりプレイが楽しめるのではないでしょうか。


6.少しだけ音楽の話

 このまま記事を終わりにしてもよかったのですが、ここで「ゲーム音楽好き」を自称する私から、本作の音楽について少し話させていただきたいと思います。

 まず、有名な「ファイアーエムブレムのテーマ」がオープニングから流れるのには感動しましたね。作品の看板となる楽曲がこの時代から完成されていたということが素晴らしいです。

 また、ファミリーコンピュータから鳴る音がいいですね。ピコピコと鳴らしながらもちゃんと曲によって緊張感の描き分けがきっちりされていることに感服しました。個人的には頻繁に聴くこととなった「戦闘マップ1 プレイヤー側の攻撃」が短いながらも飽きさせない曲で気に入りました。

 そして、音源による問題から「同時に流せる音の数」に制限がある時代の楽曲を聴ける、という点も楽しかったです。例えば騎馬を進軍させる際にその効果音を再生するため、BGMのドラムパートが消える場面などがあり面白かったです。(これを面白がれる人って少ないですかね…?)


7.おわりに

 繰り返しのようにはなりますが、初代FEこと『暗黒竜と光の剣』は「今やっても楽しめるゲーム」であることは間違いないです。Nintendo Switch Onlineに加入している人なら誰でも無料で遊べますので、気軽に触っていただきたいです。そしてカミュの強さに震えてください。

 私は今回のプレイで『♯FE』でのストーリーで出てきたキャラクターやイベントなどの理解が一層深まりましたし、そういう面でも面白かったです。『♯FE』に関しても話したいことがいくつかあるのですが、こちらはまたの機会に、ということで。

 そんな話をしていたら『♯FE』の2周目がやりたくなって気もします。どうしよう、と考えているあたりで今回の記事は終わりとさせていただきます。ここまで読んでいただきありがとうございました。


画像出典

(ファミコン版『暗黒竜と光の剣』のパッケージ画像)
作者自らが撮影

(見出し画像含めた残りすべての画像)
本体機能で撮影

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