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「宇宙刑事シリーズ」のオープニング主題歌における"ギターという楽器の使い方"について考える+曲の解説

今回の記事は東映の特撮ドラマ「宇宙刑事シリーズ」のオープニング主題歌に関する記事です。

先日僕の妹が超英雄祭を見に行きまして、帰ってきた妹に「串田アキラさんの宇宙刑事メドレー生で聴いたよ!!」と言われたのが本当に羨ましくてしょうがなくて…

それを「どうにか宇宙刑事シリーズについての記事を書くことで何とか落ち着かせられないかなー」と思い、今こうして記事を書いている次第です。。

・そもそも宇宙刑事シリーズとは

まず、そもそも「宇宙刑事シリーズ」というのは、東映特撮の"メタルヒーローシリーズ"のくくりの中にありまして、
・1作目 「宇宙刑事ギャバン」 (1982年)
・2作目 「宇宙刑事シャリバン」 (1983年)
・3作目 「宇宙刑事シャイダー」 (1984年)
という風に世界観を共有して3つの作品が繋がっています。

左から、シャリバン、ギャバン、シャイダー

シリーズで続いていることもあり、「宇宙刑事シリーズ」の主題歌は全て
作詞 山川啓介さん
作曲 渡辺宙明先生
歌唱 串田アキラさん
という布陣で制作されているんですね。

なので、同じ布陣で制作されている分、"それぞれの作品の主題歌にどのような特徴があるか"っていう解説が可能なのですが、多分普通に解説しても面白くないと思うので、今回は、

宇宙刑事シリーズのオープニング主題歌を"その楽曲でギターがどのように使われているか"という部分に着目して解説していきたいと思います!

・宇宙刑事シリーズの3作品それぞれのオープニング主題歌の解説

①宇宙刑事ギャバン

EPのジャケット

※まず、最初に触れておきますが、「シャリバン」と「シャイダー」は編曲まで宙明先生が担当されているのですが、「ギャバン」の編曲は宙明先生ではなく、馬飼野康二さんが担当されています。

これは当時宙明先生が「大戦隊ゴーグルV」の音楽も担当されていたため、「ゴーグルV」との差別化を図るために「ギャバン」は作曲と編曲を違う人が担当することになって、馬飼野さんが編曲で起用されたとのことです。

そのため、「ギャバン」は馬飼野さんの編曲を解説することになりますね。

まず歌詞に関しては、3シリーズの中で一番"無骨な熱さ"みたいなものを感じますね。「シャリバン」と「シャイダー」の歌詞は少し子供に寄り添ってる感じがするのですが、「ギャバン」は"完全なる熱いメッセージソング"です。
しかも"口答えを許さない感じの押しつけ系の熱いメッセージソング"な印象があります。

次に歌メロに関しては、ワンコーラスが短い分、王道のヒーローソングっていう感じのメロディですね。宙明先生らしいです。
サビの前の「♪ビーム!ビーム!ビーム!」というフレーズは絶対叫んじゃいますよね。

サウンドに関して言うと、結構スター・ウォーズみたいな"宇宙の壮大さ"をイメージして編曲されたのか、畳み掛けるようなホーンのフレーズが主体になっていますね。
実際"1フレーズ歌うごとにホーンが1フレーズ入る"みたいなサウンドです。イントロのギターソロともユニゾンでホーンが鳴っているくらいです。

リズムセクションに関してですが、ドラムはリズムは一定なのですが、度々パターンを変えてきたりということがあったりします。
ベースは控えめなのですが、その分キーボードのコード弾きがガッツリ入っていて、サウンドを支えている感じはしますね。シンセはどんよりした音色が入っています。

結論、"物凄いブラスロック調の楽曲"なのですが、串田さんの熱い歌声が更に曲を引き立てていますよね。

・"ギャバン"におけるギターの使い方

「ギャバン」のギターといえば、やはり"イントロの印象的なロックギターのフレーズ"だと思われがちなのですが、実は"Aメロ、Bメロでずっとコード弾き"していたり、極めつけは"8分ストロークのギターがサビでずっと鳴っている"んですね。
多分サビは馬飼野さんの趣味です。

しかもロックギターのフレーズはイントロだけじゃなくて、間奏にもあって、間奏のギターソロがめちゃめちゃカッコイイんですね。

あと、他の「シャリバン」と「シャイダー」は結構カッティングギターが入ってたりするのですが、ギャバンには入ってないので、そこが"宙明先生の編曲"と"馬飼野さんの編曲"の大きな違いですね。

②宇宙刑事シャリバン

EPのジャケット

まず、歌詞に関してですが、「ギャバン」が"凄い押し付ける感じの熱いメッセージソング"だったのに比べると、「シャリバン」は"問いかけ系の熱いメッセージソング"みたいなところがある気がします。

次に歌メロに関してですが、「ギャバン」は1コーラスの展開が短いんですが、「シャリバン」はBメロがしっかりした長さで存在したりと、"展開がしっかりしたヒーローソング"という印象ですね。サビの掛け合いのパートはカラオケでは鉄板ですね。

サウンドに関して言うと、ギターの項でも説明するのですが、"宙明先生の得意とするシンセ音楽の要素"とかも入れつつ、
結構"馬飼野さんの「ギャバン」の編曲に影響を受けてる感じ"がするんですよね。

ホーンも「ギャバン」くらい結構入っているのですが、「ギャバン」のホーンセクションに比べて、"音の厚み"みたいなものが少し減っている印象はあります。また、ストリングスも度々差し込まれますね。

リズムセクションの面だとパーカッションがずっと鳴っていて、この曲のサウンドの主体となっていることが一番の特徴だと思います。ドラやシンバルも要所要所で鳴っています
また、宙明先生っぽい宇宙的なシンセの音色がかなり入っていたりしますね。
他にもドラムはずっと一定な感じなのですが、ベースラインはメロディアスになっています。

・"シャリバン"におけるギターの使い方

恐らく、この曲で結構リードギターがフューチャーされている理由としては、
宙明先生が"「ギャバン」の続編感"を出そうとして馬飼野さんのギターが印象的なアレンジに近づけた
ことが理由だと思われます。

あのイントロのギターのフレーズで、子供たちは「あ、ギャバンの続編だ!」と一発で分かりますよね。それが狙いなのだと思います。

なのでイントロや間奏に凄いギターソロがあったり歌が1フレーズが終わる毎に「♪ギュイーン!」とギターが鳴っていたりするのだと思われます。

ただギターの音色はロックというより、"デジタルっぽい音色"なんですね。実際キーボードとユニゾンしたとき凄い相性の良い音色です。

ただ、パーカッションがずっと鳴っていて主体の役割を果たしている分、リード以外の面でのギターは余り使われていない気がします。間奏に少しカッティングギターがあるくらいです。

③宇宙刑事シャイダー

EPのジャケット

まず歌詞に関してですが、「シャイダー」の歌詞は「ヒーローソングであり、優しいメッセージソング」という印象がありますね。
「ギャバン」と「シャリバン」の歌詞から考えると一気に子供に寄り添ってる歌詞になっている気がします。

次の歌メロですが、組み立てがしっかりしているという印象ですね。僕は「サンバルカン」にも同じ印象を感じました。掛け合いのパートや合いの手などはカットされています。

サウンドに関してですが、一番の特徴は"イントロと間奏のスキャット"だと思います。

このスキャットのイントロを聴くと、
「宙明先生が"馬飼野さんに近づけた"とかではなく、"自分の世界観"で編曲している」
ことが読み取れますよね。

しかも曲のテンポが落ち着いている「ギャバン」「シャリバン」に比べて、「シャイダー」は曲の疾走感が凄いので、宙明先生の得意とするストリングスや宇宙的なシンセによるアレンジが映えます。

もっと言うと、アレンジの傾向が同じ宙明先生の「勝利だ!アクマイザー3」と近い気がするんですよね。疾走感のあるストリングスアレンジ系のナンバーなので。

それでいてホーンも全体的に使用しているので、編曲の傾向を変えながらホーンの良さも残しているのが凄いですよね。イントロや間奏でも使って、曲の随所にも差し込んでいる形です。

リズムセクションに関して言うと、ドラムのリズムは一定ですが、ベースはメロディアスな指弾きに加え、サビはスラップがバチバチでカッコイイですね。少し音が軽やかな印象があります。

・"シャイダー"におけるギターの使い方

「シャイダー」は、ギターをリードとしてよりリズム優先で使用している傾向があり、全体にカッティングギターが入っていたりします。

ですが、ベースとキーボードがリズムセクションの要として機能している分、あまりカッティングギターも大幅に目立ってはいない感じがしますね。

また、リードとしては度々ギターのフレーズを曲中に差し込んで引き立てる役割を担っていたりします。


まとめ

・宇宙刑事シリーズのオープニング主題歌において、ギターという楽器は印象的に使われる。というか、印象的なのはギターだが、実はホーンの方がサウンドのメインを担っている。

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