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「サンライズ・サンセット」の"新田一郎さんver."と"堀江美都子さんver."と"ラジオっ娘(Lady oh!)ver."の比較

今回は新田一郎さんの「サンライズ・サンセット」についての記事になります。

この曲は、作詞が宮下康仁さん作編曲が新田一郎さんという布陣で制作されており、
1982年半ば頃という同じ時期に、3アーティストそれぞれが、"タイトルとアレンジ違い"のバージョンをリリース」して、"競作"という形で発表された珍しい曲になります。

ですが、全バージョンの作編曲は新田一郎さんが手掛けており、各アーティストのプロデュースまで行っているので、当記事では新田一郎さんver.である「サンライズ・サンセット」を"オリジン"として扱おうと思います。

※ Lady oh! の「茅ヶ崎サンライズPart2」のみ後藤次利さんが編曲されています。

ということで今回の記事では、
・「サンライズ・サンセット」のバージョン違い、計4バージョン全てを解説
していきたいと思います!

・「サンライズ・サンセット」のバージョン違い、4バージョン全てを解説

まず「サンライズ・サンセット」という楽曲は、「茅ヶ崎の海岸での恋模様をポップに描いた楽曲」になっていて、"海の波のようにサビが2回くるような爽やかな楽曲展開"が特徴の楽曲です。
コードが新田さん全開ですよね。

それでもアレンジ次第で雰囲気や曲のジャンルがガラッと変わります。

ただ「♪サンライズ〜」のところは全バージョン新田さんの声です。

・新田一郎さん 「サンライズ・サンセット」

この曲の"オリジン"かつ唯一の"男性ボーカルver."です。
1982年6月に発売された新田さんの1stアルバム「クールが熱い」に収録されていて、後にシングルカットされています。

新田さんver.の最大の特徴は、"ブラスが他のバージョンより強調されており、フレーズも複雑になっている"ことですね。
それによって「ブラス・ロック」に仕上がっています。

リズムセクションはかなりファンク系のフレーズが使用されています。
ギターはずっとカッティングで、ドラムはずっとハイハットを鳴らしていて、ベースは物凄いメロディアスなスラップですね。

それでいて、エレピがかなり強調されているので、それが爽やかさを演出しています

あと、一番音を詰め込んでいるのも新田さんver.です。

更に新田さんが全編ファルセットで歌唱されているので、柔らかい暖かさがあって海を感じますね。

・堀江美都子さん 「茅ヶ崎メモリー」

堀江美都子さんver.は1982年6月に「茅ヶ崎メモリー」のタイトルでシングルとしてリリースされました。

一番の特徴は堀江さんの力強くパワフルな歌声で歌われている分曲が明るく、聴いている人に「暑く情熱的な、夏の茅ヶ崎の海」をイメージさせます。
その分歌詞もはっきり聴き取れますね。

また、エレキギターとアコピ中心のアレンジになっているので、「AOR」なアレンジになっています。AORファンはこっちの方が好きかもです。

イントロからギターがフューチャーされていて、ギターソロやシンセが要所要所に入ってくる形になっているので、ブラスはサビ以外ほとんど使われていません
オリジンでは、ブラスで吹いていたフレーズをギターで弾いていたりします。

多分新田さんはAメロでワンフレーズ終わるごとに差し込まれる連符のアコピのフレーズを気に入られていますね。
サビでもブラスで多用されています。

③ラジオっ娘 「茅ヶ崎サンライズ」

ラジオっ娘 ver.は1982年8月に「茅ヶ崎サンライズ」のタイトルでシングルとしてリリースされました。

ラジオっ娘 ver.はコーラスやセリフ、更にハンドクラップをこれでもかと入れまくって
アイドルソングっぽい元気でフレッシュなアレンジ」に仕上げています。

ラジオっ娘の歌声は「フレッシュな昭和の夏」を感じますね。

勿論メインはブラスとギターとアコピを使ったサウンドになっていて、「サンライズ・サンセット」のブラスのフレーズや「茅ヶ崎メモリー」のアコピのフレーズを入れるなど、少し遅れてリリースされた分"2バージョンを足した感じの構成"になっています。

キーは他のバージョンよりやや低めで制作されていますね。
恐らく"フレッシュさ、アイドルっぽさ"を追い求めたことや、「新田さんと堀江さんはプロの歌手ですが、ラジオっ娘はアイドルなので歌いやすいようにキーを下げた」のだと思われます。

④ Lady oh! 「茅ヶ崎サンライズPart2」

③のラジオっ娘がLady oh!に改名後にリリースされたアルバム「Lady oh! First」に収録されている「茅ヶ崎サンライズ」のリアレンジver.です。

というより、タイトル通り「茅ヶ崎サンライズの続編でアンサーソング」という表現が正しいですね。
歌詞も少し変わっていて「元の茅ヶ崎サンライズから少し経った後の2人」のことを歌っています。

後藤次利さんアレンジなので、新田さんとは"展開の作り方"や"音色の使い方"などが大分異なります。

次利さんは
・シンセストリングスを主体で使用する
・ギターの音色を思いっきりクリーン系にし、ソロギターやカッティングを曲に多用
・間奏を切なく渋い雰囲気にする
・ブラスのフレーズを変更
・メロディアスなスラップだったベースのリフをロック系のリフに変更
・2サビの前にテクノっぽいブレイクを追加
・テクノ系のシンセの音色をかなり追加し、サビではカチンコの音を足す
・セリフやクラップなどをオミット
などのアレンジを施し、もはや別物の「茅ヶ崎サンライズ」にしています。

ちょっと「大人っぽいアレンジ」になっていますね。それでも歌声がアイドルなのでしっかりアイドルソングです。


まとめ

・「サンライズ・サンセット」は、アレンジによってジャンルや雰囲気が全く変わる!

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