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2021.12.01 十二月大歌舞伎第一部 新版伊達の十役

オミクロンなんちゃらがどうなるか知らんが、世の中少しは明るさも見えてきて、私の芝居熱も少し復活してきた。ほんとはね、座席を大幅に絞っていいから幕見席を開けてほしいとこなんだが、まあこれは致し方ない。
伊達の十役。
事前に筋書きを少し読んだら、あら、これ、先代萩じゃねーの、それを早変わり?と思って観に行ったのだが…

一言でいえば先代萩名場面 and レビュータイム てな感じ。明治座とかコマ劇場(あ、なくなったか)で、演歌歌手がよくやる、お芝居プラス歌謡ショーみたいな感じ。
前半は先代萩の名場面中の名場面、御殿の場と床下の場。そして後半の二幕目はレビュータイム的なおまけ。一応、続き物という扱いだが、後半は全く別物の、早変わりを楽しむレビューショーだと割り切った方が良いかなと思った。

で、猿之助十役のうち、三役が御殿の場と床下の場。そしてこの十役の中でおそらく1番難しいのはやはり乳母政岡。4年前の菊之助、映像で見た玉三郎とはまた違う感じだが、まあ、外さないよね。お世継ぎ殺害and御家乗っ取りを企む仁木弾正とその妹で意地悪ババアの八汐の毒牙からお世継ぎを守るため、我が子が毒饅頭食らわされても微動だにしない強さと、全てが終わって1人残されたシーンでの、愛息を亡くした母の悲しみの対比。これは流石ね。むしろ仁木弾正に役代わりした時の方がちょと違和感、つうか、いいんだけど、もっと巨悪の迫力が欲しい感じ。
そして、今回八汐を演じたのは、私のイチオシ己之助丈。これがね、まあ贔屓目も入ってるけどね、素晴らしかったのだよ。八汐の太々しい意地悪巨悪ぶりを見事に演じ切って、政岡に堂々と対峙していた。御殿の場の最後で政岡の返り討ちに敗れるのだけど、見せ場たっぷり素晴らしかったです。
レビュータイムでは玉太郎のネズミが可愛らしさで秀逸。と言っても彼も21歳なのね…。

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