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2019.12.23 十二月大歌舞伎夜の部 本朝白雪姫譚話

タイトルが示すとおりに、グリム童話の白雪姫。俳優祭では「お遊び演目」として何度か上演されたけど、これはそういうのとは違う玉三郎監修の本格的新作歌舞伎。設定をとある日本の名家とし、白雪姫を虐待するのが実母である、7人の小人の代わりに7人の森の妖精、ということ以外はほぼ童話に忠実。「鏡よ鏡…」の決め台詞、ハイホー、毒リンゴ、もちゃんと登場。

いやこれ、よかった。何がよかったって、やはり、玉三郎さまの「究極なまでにミニマリズムを追求した耽美」と、「表面的な美を追い求めるがために失われゆく精神」との対比が凄まじい。余分な舞台セットは一切廃して、箏部隊、義太夫部隊が美しい劇伴を奏でながら、出演俳優の立ち回り、魅せ方だけでここまで引き込まれるはホントに素晴らしく面白かった。エンディングの一面白の世界…感嘆としか言いようがない。

普段ダイコンだとしか思えない児太郎。新作だと多少は映えるが、実母児太郎を遥かに上回る良さと進歩を見せたのが鏡の精梅枝。多分原作にはないシーンだと思うが、白雪姫が毒リンゴに倒れた後の「鏡よ鏡…」の決め台詞に答える鏡の精の冷淡までな突き放し方が最高に背筋を凍らせる迫力。これは今後も楽しみになりました。

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