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2024.07.14 七月大歌舞伎夜の部 裏表太閤記

先代猿之助が初演してから実に43年ぶりの再演。
初演は明治座で、昼夜通しの8時間公演だったとのことだが、今回は3時間に構成を見直しての再演。キャスト見た時に、秀吉の天下取りのストーリーになぜ孫悟空が?と思ったが、実際に見てみると、なるほど…と。
全ては天下統一を成し遂げた秀吉が、転寝の最中に見た白日夢、という設定、そして、孫悟空は秀吉の猿に准えた、自由自在に権力を操る象徴、というところか。

最初から最後まで見どころたくさん。
信長役彦三郎は本当に響く低音がいいね。
イチオシ巳之助丈演じる信長嫡男信忠。ボンクラらしいおとぼけぶりから明智軍に攻められてからの一変した立ち回りはお見事、そして、その妻である光秀妹、お通の方の尾上右近もますます美しい。
明智光秀松也。見るのはお久しぶりのはずだが、しばらく見てなかった間に、ガタイも絞り込んで芝居も良くなって男を上げた。
主役たる幸四郎はまあいつも通りだが、それよりも、團子ちゃんにメラメラしているだろう、染五郎が、6月の里見八犬伝の時よりも見違えるほど良くなった。
夢から覚めた後の三番叟での、幸四郎、染五郎、巳之助、右近、松也の揃い踏みはこれ以上ない夢を見ているような美しさ。クライマックスの大滝の場の大胆な演出。
ヤマトタケルを2バージョン見た時にも思ったけど、やっぱり歌舞伎はこういうスペクタクルを目の前で見られる醍醐味は何物にも変え難い。心地よい時間を過ごせました。

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