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2021.1.26 壽新春大歌舞伎 第1部

壽浅草柱建
猿翁十種の内 悪太郎



実にお久しぶりの歌舞伎座だったのだが、驚いたことばかりだった。
座席は50%の利用制限がかかっているため、1人おきの配置になっていてスカスカ。飲食の対面販売は全停止になっていて、客席での飲食は完全に禁止。大向こうも禁止。そして、ほんの少しでも会話をすると場内係員から厳重注意を受けるという物々しさ。いったいこんな状況にしたのは誰だ。絶対に許さない。

演目と演者を見たときに、まず、壽浅草柱建。これは…本当は、無事なら浅草歌舞伎でやる演目だったんだろうなぁ。演者さんだけ見てると、まさにそう。松也、巳之助丈、米吉、新吾、などなど。ストーリーというよりも、まずは開幕を飾る舞踏劇という感じだが、巳之助丈は本当に踊りは上手で、しばらく見ない間にきっとまた稽古を積んでこられたんだろうなというのはよくわかった。だけど、今回のこの芝居で1番良いと思ったのは、米吉。艶やかな女方の舞踏は一つ一つが美しかった。

ただ、それよりも、この部は2幕目の悪太郎が面白かった。酒癖の悪いおっさんが、旅の途上の坊さんを散々困らせ、同じ質問を何度も繰り返し、気に入らないと暴れるつうような、どうしようもない酒癖の悪いヤカラはいまもたまに見るけど、そのヤカラ役を猿之助がユーモラスに演じてて、このご時世声を出して笑えないんだが、思わず笑いが出てしまった。策略にかかって、強制的に出家させられたと思ったら、突然改心して仏道に目覚め、最後は念仏踊りで締める、と、んな展開あるか、と思うところだけど、猿弥、猿之助、鷹之資、福之助4人の念仏踊りの楽しそうな様は気持ちがほっこりした。猿之助がさらにでぶになってるのはいただけなかったが。

ところで、今回は2幕とも、長唄連中がステージにいたわけだが、マスクをするわけにはいかんが、ずーっと長唄を歌い続ける彼らは、楽器の皆様共々、着物の柄と同じスカーフを模した巻物で口元を覆っていた。見た目に違和感はなく、自然に衣装と見せるような工夫はよいとおもったけど、演者さんとしてはかなりやりづらそうなのが目についた。

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