あなたになりたかった / 平井堅

堅子　実に5年ぶりの新作。
…ってことで、結構楽しみにして買って聞いてみたんですけど…
なんだか、ずいぶん腑抜けた感じになっちゃったなぁ、ってのが最初の感想。
てか、前作The Still Life と今回の間に「歌バカ2」を出したけど、その時に「コンセプトアルバムって考え方はこれまでなくって、歌バカ2のボーナスディスクで、全曲を第3者からみた平井堅に歌わせたい歌を提供してもらったのが初めてのコンセプトアルバム」という発言に、結構失望したもんなんだよね。
確かに、アルバム1個1個の間隔は結構開いてしまう人ではあったけど、それは制作に入念に時間をかけているから、ではなくて、テキトーにオファーに合わせてポツポツシングル発表して、それが溜まったらアルバムにまとめて稼ぐだけ、みたいなことだったの？っていう疑念が出てしまったから。

仮にそれまでもそうだったとしても、Changing Same で一気に売れて、その後もコンスタントにヒットを飛ばして、瞳を閉じてがミリオンとなり、その後もPop Star の弾け方、哀歌での切々と、だけど熱くほとばしる情熱を歌い上げるあの姿とか、オーラを放つ圧倒的なものを感じたのに、結局それ以降、なんか小さくまとまっている印象になってしまっていて。そして、その傾向がより一層このアルバムで出てしまった、ってのを感じずにはいられなかった。
雑多な作品を並べて、だけど一つ一つの作品はインパクトに欠けていて、歌は相変わらずお上手なんだけど、「お上手」ってレベルを超えた、インパクトや訴えかけるものを何も感じることができず、気がついたら、ああ、終わりですか？っていう感じ。
堅子同様、なにかと噂になりやすいKiiこと氷川くんの方が、これからは全てのしがらみから解き放たれて自由に生きて自由に歌う宣言とともに、全く違うアプローチの新作を発表して大きく進化したことと考えると、なんか、対照的。
いや、堅子本人が、もう、あとは余生を過ごすつもりでいるんだったら、それはそれでいいんだけどさ。でも、まだ、そういうことをいって、ひっそりテキトーに過ごしてりゃいいっていうのとは違うぞ。むしろまだまだバリバリ突き進んでいく魂が欲しいぞ。
由実やみゆきさんをみなさい。アプローチやサウンドは違えど、基本的な姿勢は、ロックを崩していないぞ。