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言葉に出来ない思いの保存方法は…

嬉しい気持ち、楽しい気持ち、幸せな気持ち、悲しいけれど美しい気持ち、愛しい気持ち、なぜか説明できないけれど忘れたくない気持ち…そんな気持ちを感じたままに、瓶に詰めて保存できたらいいのにって思うことがある。
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私は時々、映画のレビューをしてみたりすることがある。主にインスタグラムに載せているのだが、映画好きな仲間と感想や思いを共有している。
いや、共有?…ただの自己満足かなぁ笑

良い作品を見ると、誰かに話したくなるし、話しあいたくなる。あれ良かったよ~、この映画はこんなところが最高だよ~等々。

でも、映画のレビューに限らずだが、時折、感じた気持ちを、言葉だけではうまく表現できないことがあってとてももどかしい思いをすることがある。

そんな時、ミュージシャンなら音楽にするのかな?
料理家なら、映画にあわせた料理でも作る?
カメラマンなら写真を撮りたくなるかも?
歌手なら歌っちゃうよね、きっと。
小説家のように美しい言葉で、気持ちを綴れたら、爽快だろうな…。

私は画家でもイラストレーターでもないし、そんなにうまくもないけれど、絵を描くことが、今のところ言葉に出来ない思いの表現方法として自分にあっている気がする。絵を描くことで、溢れた思いがちょっと昇華される気がしている。
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いつだったか、友人と旅をした時に、早朝の移動でホテルからタクシーに乗り込んだ時のこと。
背中から追いかけるように、とてもとても美しい朝日が登りはじめた。私達がステイしていた町は、正直、汚い町だった。でもその朝日は涙が出そうなくらい本当に美しかった。
隣に座る友人をみたら、友人も同じような顔をしていた。

「うわぁ、写真撮りたい」
と、小さく声をもらすから、
「写真、撮れば?待つよ。」
と促すと、友人は、
「ん、目に焼き付けておくからいい。」
と、さらりと答えてまた朝日をじっと見つめていた。

きっと言葉に出来ない思いや瞬間に見たものは、アウトプットすると、やっぱり少し変化してしまうから。
その少しの変化をも拒むように、彼はまっすぐ見つめて焼き付けていた。
旅の間中、そんなことがしばしあった。その物憂げな姿を、ちょっと羨ましく感じていた。
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私は忘れっぽい性格である。
だから、彼のように目に焼き付けていたとしても、時間がたてば、きっと大きな虫食いのように、ぽろぽろと忘れてしまうだろう。

だから、少しくらいの変化は恐れずに、アウトプットして、震えた感情のはしっこを忘れないように必死に掴まえておくのだ。アウトプットの方法は、これからも色々変化するだろうけれど。そうしておくことで、それは感情の玉手箱になり、時を越えて自分自身を支える糧になると思っている。

みんなは忘れたくない感情を、言葉に出来ない思いを、どうやって掴まえておくのだろう。頭の中身をこっそりのぞいてみたいなぁ。

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