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司法試験に独学で合格するためにおすすめの基本書【憲法編】


今回は私が司法試験を受験する際に使用してテキストを紹介しようと思います。
私が司法試験に合格したのは今から5年前ですが,まだ現役受験生も利用しているテキストも多数残っているのではないでしょうか。

テキストを紹介する前にローでの私の勉強スタイルを参考までに挙げておこうと思います。

なぜなら,ご自身と異なるスタイルだった場合には,私の経験はあなたには役に立たない可能性があるからです。
私のスタイルに親近感がある方は是非参考にしてみてください。


1.私の勉強スタイル

私の勉強スタイル
・原則,基本書と条文で勉強。
・学部時代は図書館の個室ブース,ロースクールでは自習室の平和な場所で勉強していた。(机や椅子はしょぼいが誰も欲しがらないのでトラブルも避けられた)
・ほとんど自習室で勉強していた。家で勉強した記憶は無し。
・学部時代には自分のまとめノートを通学時間に見直していた。(個人的にここが一番勉強できた気がする。所要時間30分)
・ロー進学時に大学のすぐ隣に引っ越して移動時間ゼロにした。
・日曜日は完全オフ。
・完全にロースクールの授業準拠型の勉強法
・授業内容に合わせて「まとめノート」を在学2年間で作成した感じ。
・「まとめノート」は「条文の文言」・「定義」・「解釈論」・「考慮要素」などをまとめ,答案作成に役立つカンニングペーパー目的に絞って作成。
・予備校本はほとんど利用しなかった(授業ガチ勢のため該当の基本書や判例に目を通すだけで手一杯だったのが本音)
・ローの在学生と自主ゼミを組んで土曜日の午前中だけ講評を実施。
・予備校は試験1年前の9月から伊藤塾の論文添削講座を利用。(2週間に1度予備校に通い時間内に起案して提出するやつ)
・「大事なのは復習」と割り切って,授業中にかっこよく答えられた記憶は皆無。当てられたら毎回恥ずかしい思いをしてた気。

ローの授業だけで合格できるの?

ロー生からよく寄せられる質問が
「ローの授業だけで司法試験受かるんですか?」
というものです。


結論から言うと,可能だと思っています
「授業だけ」というのは,授業を聞いてさえいれば合格できるという意味ではないことは当然です。
強調しておきたいことは「授業だけ」利用でも「予備校本」利用でも必要なインプットは変わらないのだろう,ということです。

授業の前後では授業範囲の「条文を確認」して,曖昧な「文言の定義と解釈論」を基本書で確認して,その条文に関する「判例解釈」を抑える,
これができれば司法試験の問題には十分対応可能だということです。

私が予備校本を利用しなかったのは記述にミスがある場合に出典を探し出すのが面倒くさいと思ったからです(実際にミスを見つけたわけではありません)。

使用したテキスト【憲法編】

憲法に関して使用したテキストは,『憲法Ⅰ(第5版)』です。俗に「四人本」と呼ばれたりしている基本書です。
使用の理由はその厚さです。実際に書店・図書館で手に取ってみてください。ここに記載のない内容なら解けなくても仕方ないと思える厚さです。

しかし,実際は憲法のテキストは授業の該当箇所だけを読み進めてたので殺人級のページ量にはなりません。
その一方で憲法の学習で一番重要なのは判例を読み込むことだとも思っています。

判例を網羅的に勉強するには判例百選は必携でしょう。全科目百選は持っておくべきですが,憲法については「Ⅰ」と「Ⅱ」は解説も含めて(解説部分にも判旨引用があります)理解しましょう。
憲法の判例は,他の科目の判例にも増して,「裁判所の判断」,「原告の主張」,「被告の反論」がダイレクトに答案に利用できるケースが多いです。

私が使用していた版には「猿払事件」第一審まで掲載されていたのが印象的でした。


「憲法Ⅱ」は択一試験の学習をした際によく利用していました。統治はどうしても手薄になりがちですが,この基本書以上の内容は問われないくらいに割り切って択一の訓練時に合わせて通読していました。


法律系のテキストで当時最も衝撃を受けたのが「憲法ガール」です。

トウコら本書の登場人物のように憲法を駆使するのは難易度が高いですが,「実務家とは何か?」「判例を使うとはどういうことか?」これをガツンと教えられたテキストだと思っています。
こんなロースクール生活を送りたいと思えるほど読み物としても面白いですので,夏休み等長期休みを利用して読んでみてもいいかもしれません。


(以降はそれほどメインに活躍しなかったテキストです)

「芦部憲法」に関しては学部時代に指定教科書でした。ロー時代に新版が出ましたが買い替えはしませんでした。これだけを利用して司法試験答案を作成するのはなかなか難しいと思います。

「憲法学読本」は,学部時代に一度読んだだけですが,非常に読みやすかった印象です。まず,そこまで厚くないことで「これなら読めるかも」と当時思った記憶があります。しかし,厚くないということは行間を読む必要がありますから読みやすい反面初学者が読んでどこまで試験対策として有効かは難しいところです。一通り学習した後に読めば行間を埋めることができますがその場合このテキストに戻ってくる時間的余裕があるかというのは問題になるかもしれません。

あまり利用されている印象のない「リーガルクエスト憲法」ですが,表現の自由に関しては非常にわかりやすく,答案にも利用できるような内容で書かれていると思いますので当該箇所だけでも確認してみることをおすすめします。

私自身は「判例プラクティス」を持っていませんでしたが,これを使用して判例の学習をしていた同期も複数名いました。私は百選の量で手一杯でした。

以上いかがだったでしょうか。
ご自身が使用している基本書はありましたか?ここに挙がっていなくてもロースクールで推奨されているものであれば基本的には問題ないと思います。

憲法に関しては,私のローの授業で判例の印刷物が配布されたりして授業が実施されていました。授業のプリント等は膨大になるので持ち歩くこともままなりません。
そこで,まとめノートに使える部分だけまとめておいたり,授業の内容をお持ちの判例集に反映させたり等してできるだけ情報を集約化していきましょう。
司法試験会場に持っていく教材作りを意識することが重要だと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございました。



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