昏想反思 4
「死に勝、なんだよな」
シニカチ、何だ? と彼に聞き直した。
「あー。いや。死んだ者勝ち、か」
こちらを見ることなく言い直した。
視線の先には彼が若き友人たちと呼ぶゼミナール生が思い思いの飲み物を片手に集っている。
流行病のせいで延期が繰り返されていた集中合宿の最終日。ゲストで呼ばれた。
ー飲酒はNGです。
建前は、と思っていたが彼の若き友人たちは世話役のOB・OGに素直に従った。
「そんでもって、生き延びた者勝ちでもあるんだ。アイツらの爺婆は」
なるほど、彼らの爺婆の年代ならば。
でも、と彼は続ける。
「死んだ者勝ちはアイツらにも当てはまるんだ」
「うん、そうだね……。でもそれは正反対の意味だろう」
返す言葉に引っ張られ、こちらを向いた彼は泣くように嗤った。
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