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パピーミル

まろんとぷりん

犬2頭との生活が
始まりました

その頃私は

勤務していたペットショップが
業態縮小のため
閉店する事になり
繁殖場に移動することになりました

職場が移動になり

繁殖場で働く事に
当時はあまり深く
考えていませんでした
単純に移動命令に
従うままでした

しかし

その現実はすぐに
悪夢へと変わります

ペットショップ勤務から

繁殖場へ勤務移動になり
テナントの引越し作業から
手伝っていました

よく動く私に

社長はよく褒めて下さいました
これからも期待していると
声もかけて下さいました

引越し作業を手伝う事で
はじめて犬舎に入る事に

山のてっぺんに突如現れたのは
コンクリート塀で囲まれた
たくさんの犬の鳴き声がする施設

多種多様の犬を扱うその会社は

推定200頭もの犬達を
抱えていました

犬舎の中へ入ると

それはゲージのタワーマンション
45×60×50ほどの網ケージが
4つまで積み重なり
20畳ほどの部屋を
びっしりと埋め尽くしていました

とても可愛いとは言い難い光景

アンモニア臭
獣臭、悲鳴のような鳴き声
揺れるケージタワー
歯茎を剥き出し威嚇する犬
何もかもを諦めたようなおとなしい犬
狂ったようにクルクル高速回転する犬

そう

そこはパピーミルだったのです
ショックが大きかった

当時

ペットショップブームが
始まった頃で
犬は安い値で次々と売れてしまうような
時代でした
とにかく数を産ませる時代

しかし
とても景気がいいとは言えない
施設の管理状態

従業員も
ほぼ住込の人もいれば
週6勤務10時間労働当たり前
残業代なし

今で言ったら
とんでもないブラックです

週1で休みがあれば良い方では?
と誰も問題視することはありませんでした

環境は最悪でしたが

それでもこれだけたくさんの
犬達に触れられることが
嬉しかった私は
繁殖場勤務へと移動するのでした

ちなみにお給料は
手取り15万円でした

繁殖場へ移動してから
3ヶ月経った頃
ふと将来を考える事がありました

このままここで一生働くのか

ペットショップ勤務の時
店長だった方は
トリマーの資格を持っていました

それまでトリマーという職業を
私は知りませんでした

私は犬の毛はカットをするということを
ペットショップに勤務して
はじめて知る事になりました

それまでは

プードルは図鑑のような
毛の生え方を自然とする
種類なのだとも思っていました

そこではじめて

犬の美容師さんがいる
ということを知りました

それからというもの

トリマーについて
トリマーになるために
必要な事など
とにかく情報を
集めました

調べるうちに

トリマーさんの専門学校がある事を
知る事ができました

当時インターネットは

今程情報も多くなく
専門学校のホームページを梯子しては
資料請求するをくりかえしました

そして

私は専門学校に
入る事を決意しました

そして職場の方にもその話しをし

その頃に退社をする事も
相談しました

このままここで一生働くのか

という思いも
今できる事へ気持ちを切り替え
専門学校への資金を貯めるために
仕事に打ち込みました

その時の気持ちの中で

犬舎の子達の生涯を
分かっていたようで
現実を目の当たりにし
本当にこれで良いのか
という疑念も抱くように
なっていました

暗いケージの中で犬生の大半を過ごし

コンクリートの上かゲージの中の
往復ルーティン
決まった量の決まった餌が配られ
時期が来ればメスはお腹を痛め
出産

この子達のお陰で
私たちの元に可愛い仔犬が?

いや違う
これは認めちゃいけないのでは
ないだろうか
ここで働く人がいる限り
この子達は来世もここに居続けなければ
ならなくなるのでは?

これは魔のサイクルなのではないか

仔犬が生まれる
仔犬と繁殖犬を世話する人間がいる
仔犬が売れる
世話する人間の生活費になる
その生活費で人間が仔犬を買う
繁殖犬の飼育費になる
人間が仔犬を産ませる

世に出られた仔犬は
まだ良いのかもしれない

繁殖のために飼育された犬たちは
生涯をここで暮らし
外の世界を知らないまま
老いていき終焉を迎えます

日々の仕事の中で感じた現実に

せめてこの子達が
命がけで世に送り出した仔犬は
絶対に幸せになってほしい

私は
トリマーになる決意をし
強く思いました

犬の事を教えてもらい
お世話になった場所でもあるので
ここに居る犬たちのためにも
学校へ行きながら
働き続ける事も考えていました

学校の資金を貯めるため
夜のバイトも始めました

繁殖場で働くと
体臭までもが動物臭に
変わっていきました

それでも帰宅をすれば
可愛い我が犬が
元気よく出迎えてくれる

ぷりんはいずみの子
いずみはパピーミルの子
と、複雑な思いにもなりながら
ぷりんと出会えた事に喜びを感じ
一緒に寝るのが楽しみでした

専門学校も目星が付き
いよいよ夢に向かって
準備を始める頃

そして事件は起こります


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