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死で堕ちたオタクがようやくマーキューシオに会えた話 ー後編ー

前回の記事の続きになります。
ここでは後編として二幕のお話を!話自体が暗くなってくる上に個人的解釈が入りまくりますがお付き合いください…!

スカステその他諸々、みなさんの役作りのお話が聞けるようなツールを持ち合わせていないので、ご本人が仰っていたことと同じことを言っていたり、逆にめちゃくちゃ見当違いな解釈をしているかもしれません。見つけた時はこそっと見過ごしてください…

・狂気の沙汰〜街に噂が

狂気の沙汰の終わりに出てくるベンヴォーリオとマーキューシオ。あかベンは怒っている、というよりも突然すぎて呆然としている感じで、ぴーマキュは悲しいとか辛いとか、感情全てが怒りとなって身体から溢れている気がしました。彼はそういう負の感情を全て怒りにしてしまうところがあるのかもしれません。

街に噂がの歌詞も、マキュは「お前の気が狂った」っていう強めの言葉なのに対して、ベンは「本当ならばもう友達じゃない」と悲しみを滲ませているように思える。
でも2人とも「天使のような微笑み浮かべ」なんて言っているわけで、口では気が狂っただの友達じゃないだの言いながらロミオのことが大好きなんですよね。
大好きだから信じたくなくて、なんて言っていいか分からずあろうことかロミオにナイフを向けてしまうマキュ。咄嗟に止めに入るベンがこれまたさらに傷ついた顔をしていて倍苦しいシーンでした。

あと目についたモンタギューボーイが1名。天飛華音さん。
彼女もまたキリッとしたお顔立ちなので、「ジュリエットを愛している」と言い放ったロミオをギロッと睨んだ顔が印象的でした。悲しみや動揺より怒りが強そうな目だったような気がします。

・今日こそその日

対するキャピュレットチーム。モンタギューが常にさんこいちなのに対してこちらはティボルトという絶対的存在がたった1人だから孤独さがより色濃く見える。
色気もすごいのだけど、瀬央さんの目力がティボルトの血の気そのままで、触れたら火傷しそうな熱さ、危うさが全面に出ていて胸が痛かった。前回ちらっと書きましたが、憎しみに満ちた彼をなんとか人間らしく保っていたジュリエットへの愛が粉々に打ち砕かれたことで、本当じゃない方の俺に飲み込まれ始めた瞬間だと思います。

・決闘

辛い。もう本当に辛い。
辛いからマキュさんの犬の鳴き真似から入りましょう、あれはどっちかっていうと狼じゃない?笑 犬で通すならちょっと声の低いイ○ンの○AON。もう1人のマキュがもはや犬そのものっていうのはありますけどね……声帯に犬飼ってるでしょう、ねえ極美さん…?

話を戻しますね。
「ティボルト ティボルト 息の根を」でティボルトを指差した瞬間のマキュの顔が別人みたいになっていて。先ほど「彼は負の感情を全て怒りにしてしまう」と書きましたが、まさに彼の抱える悲しみや辛さが全て目の前のティボルトに向いてしまった。相手がティボルトだったのがさらに最悪。

「人間のクズ」「自惚れたその態度」
2人とも、何かあると怒りに任せてすぐ暴力的な手段に出る。そして、女に手を出しまくっている。
ティボルトを見ていると、自分の悪いところが鏡のように映し出されているようで苦しいのでしょう。その苦しみがまた怒りとなって、彼をどんどん変えていってしまう。
これはティボルトにも言えることで、ただでさえヒートアップしている中そんな相手に挑発されて乗らないわけがないんですよね。彼もまた煽り返して、決闘が始まります。

「奴は俺を昔から蔑み憎んでる かっこつけた臆病者 残忍な人でなしだ」
「減らず口を叩くなよ 臆病なのはお前だろ」
これまた、2人ともが相手の言葉にも自分の言葉にも傷つきイラッと来ているように思います。

そしてついにナイフを振り上げ、咄嗟に間に入ったロミオに半ば押さえつけられ身じろぎひとつできないまま刺されるマーキューシオ。刺された瞬間の「あれ…?」みたいな顔から、なんとなく痛いと感じるところを触ってみたら手に血がついていて急に怯えた顔になるのがもう辛くて辛くて、この辺りからひたすら号泣。家族ドン引き。

血を見て初めて自分が怪我したことを知り、2人に抱えられて「血が出ている」と言われてからその重大さが現実味を帯びてきて、一気に痛みとともに意識が遠のく。熱っぽいなーと思って一応熱測ってみたら結構高くて急にしんどくなる、あれです。

傷は痛いし苦しいし辛いし、死期を悟ったわけなのでもうすぐこの2人の元から離れることへの寂しさだってあるのに、全てを押し殺してのあの微笑みで「俺は先に行ってお前を待ってる」と言うわけなんですが、その「お前」の言い方が2日経っても耳に残って離れない。彼らの関係性を少し覗いただけの私でこんななのだから、20年近く一緒に育ってきたロミオからしたら、もう苦しくて仕方ないはずなんです。

「謝るのはガキだけだぜ」「ジュリエットを愛し抜け」「愛する友よ 別れの時だ」
なーーーーーにが気が狂っただ、なーーーーーにがもう友達じゃないだよ。
本当に好きな人にしか出さない声だったじゃない。そんな優しい声出せたんだ、って思う声だった。

ロミオが見たマーキューシオの最期の顔は穏やかな微笑みなのに、マーキューシオが最期に見たものは絶望しているロミオの顔なんですよ。最後の最後までマーキューシオは大好きな人を安心させるために笑い続けていて、やっぱり根っこはとても心優しい子なんだよね……

あー、ここ書くの辛かったー。辛かったのでひとつだけ。

死に顔が綺麗すぎるー!!!!!!!!!!!!

あと、マキュを抱えるロミオたちを見下ろす死が抜かれた瞬間に愛さんが瞬きをしたんですけど、なんていうのかな…まつ毛がスンッってしてて美しかった。

・僕は怖い rep

闇の中1人放り出されてしまったマーキューシオ。生きているときには絶対に見せなかった不安を全面に押し出した表情で地面をぺたぺた触ったり、あたりをきょろきょろ見回したり。「ロミオ、ベンヴォーリオ、みんな、どこなの」と言っているようにしか見えなくて、いつもロミベンと一緒にいるから隠れていただけの孤独が初めて見えました。
そして天華さんの踊りが綺麗。美しい。

対するティボルトはと言うと、こちらは死してもなお自分を殺したロミオへの憎悪の念を燃やしているように思えた。
暗がりの中でも怖い顔をしているのが分かって、やはり最後の最後までロミオに対してナイフを振りかざしていたことを考えるとロミオへの憎しみの中に死んでいったのだなあと。

彼だけは救われてほしい。マキュは天国でロミジュリカップルに会えれば救われる(ジュリエットを愛し抜けと言えたから)かもしれないけど、ティボルトは失恋した上に自分を殺した相手と一緒になっているわけですからね。どうにかして救われていてほしいものです。

・どうやって伝えよう

少し飛ばして、スーパーベンヴォーリオが辛いタイムに突入します。

観劇時はパリスだったのであまり歌の印象が残っていないのですが…歌が上手い…!どうやって伝えようの前、みんなが復讐だ報復だ倒せ潰せって言ってるときの「狂っている〜↑」がめちゃくちゃ綺麗で鳥肌立ちました。

ジュリエットが亡くなったと聞いた時の絶望感、まさに目の前が真っ暗になるような顔から、曲終盤の「それを伝えるのはこの俺しかいない」という覚悟を決めた顔まで、彼の中にずっとあるのが友情。大好きなロミオへの想い。
だからこそ霊廟で2人が亡くなっているのを見つけた時に、声を出すでも駆け寄るでもなく、その場に立ち尽くしてしまうのだろうなと思います。伝えてしまったからなんだ、と瞬時に悟っているのが見ていて辛い。そんなことないんだよ、全ては薬売りさんが操ってるんだよ……責めないで……(そういうことではない)

そして何と言ってもこの歌のラスト!「ロミオに伝えよう Oh〜」の部分。
どこまで上がって行っちゃうのかと思ったら、綺麗な音でちゃんと帰ってきて(?)安心しました。
もし私の初観劇がBだったら、どうやって伝えようであかさんに落ちていた気するくらいこの曲での表現が好きすぎる。

・薬売りさん

どこかでも書いたけど、薬を持つ指の関節の曲げ方が気持ち悪いったらありゃしない。ジョンを追い返し、フードを取ってこっちを向くときのドヤ顔が個人的に好きです。
薬を一度渡して、取り上げてからのダンス、ことあいのデュエダンと私は呼んでいるのですが、とにかくここは目が恐ろしい。ロミオの背後にくっついてロミオを操り、腕をばっと開く振りでロミオが腕を開くと同時に後ろで目を見開く死、本当にこの世のものじゃない。愛さんってやっぱり人間じゃない…?(人間です)
あと、操られているロミオがすごい純粋な表情をしているというか、薬を見つめる顔が「ほへ〜」って表情に見えるんです。死を決意した今、もう完全に死の支配下にいるからあの表情なのかな?

・霊廟

ことさんやなこちゃんのファンの方に殴られる覚悟で言いますが、死のオタクとしては死が一番生き生きしているかつ色んな表情が見られるので好きです。マーキューシオがいない今、私を元気にできるのは死だけなんですよね。

ロミオの魂を本当に他の人の1000倍美味しそうに食べているところを見てうんうんよかったねえ。となる一方で、ジュリエットに対してはどんな風に感じているのかがまだ掴めないんですよね。
ロミオと入れ替わりで起き上がってきたジュリエットを見る目、怖いと言えば怖いんだけど、それこそロミオを見る目には感じられた「何が何でも死んでもらう」みたいな気迫が感じられないというか。ジュリエットは生命力が強そうだから興味があまりないのかな?とも思うんですが、その割にはじーっと見つめて、最後は跪いて魂を頂いているし。
この辺、また掴めたら文字にしたいのでぜひみなさんの思うところも教えてください。

愛に向かってドヤ顔しながらお辞儀をし、絶望する人間たちを端から眺めて高笑いする死さん。これ抜いてくれたカメラさんに金一封。

そろそろ人間たちの話に戻ると、この場面で一番泣けたのは実は天寿パパでして。腰抜けちゃってるんじゃないかってくらい、ふらふらしてるんです。あんなに強気というか、常に厳しいパパなのに。
パパから見ればジュリエットは2度死んだような状態なのだから何が起きてるのかわからないほうが強いのかもしれないけど、仮死状態の時よりも視覚的にダメージが大きいのかな。真っ白なドレスが真っ赤な血で染まっているはずなので。
死でヒィヒィ言っている最中、信じられないものを見ているような表情の天寿パパに泣かされました。

・罪びと

絶望する人間たちを見て高笑いしていた余裕の表情から一転、両家のママが歌い始めるとすっっごく嫌そうに耳を塞ぐ死さん。あんるちゃんとなっちゃんの綺麗な歌を聴きながらあの表情できるのがすごい。私だったら黒板引っ掻いた音じゃないと無理。
高笑いと耳塞ぎは舞台写真にあるっぽいので、今からめちゃくちゃ楽しみにしています。

・フィナーレ

初観劇の時は群舞が本当に誰もわからずあわあわしているうちに終わっていたので、今回がほぼ初見。噂のスーパー愛月タイムや死メイクでのことさんとのガンの飛ばしあい、トップコンビの5倍速デュエットもしっかり見られてよかったです。

パレードでニコニコの天華さんが見られて、銀橋でハモることさんと愛さんが見られて、改めてパレードという存在に感謝しました。なかったらみんな病んじゃう。


というわけで!ここまでお読みくださった方(いるのか)ありがとうございました!無事終演です!
もうすぐAパターンの円盤が来るのでそれも楽しみに、まずは9日の配信を待ちたいと思います。

全てが突然で大変だったはずなのに配信という選択をしてくださった宝塚歌劇団さま、そして何より無観客という環境はご自身が一番辛いはずなのにそれを一つも感じさせずたくさんの勇気を届けてくれた星組の皆さま、本当にありがとうございました。

宝塚が、星組が大好きだ〜!ぱっしょん!!!


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