見出し画像

乳がん患者における身体活動レベルに関連する因子

Factors Associated With Physical Activity Levels in Patients With Breast Cancer
乳がん患者における身体活動レベルに関連する因子

The Oncologist, 2022,
https://doi.org/10.1093/oncolo/oyac159

ミネソタ州にあるメイヨークリニックからの報告です。

はじめに
身体活動(Physical Activity: PA)は乳がん死亡率および再発率低下などと関連する。米国臨床腫瘍学会のガイドラインでは成人には少なくとも週150分の中等度または激しい身体活動を推奨している。乳がんサバイバーのPAガイドラインを満たすための介入策の開発のため、関連する因子を明らかにすることを目的とした。

方法
 メイヨークリニックに受診歴があり、18歳以上の成人で2003年から2015年の間に調査票を郵送。質問紙には人口統計学的情報や疾患と治療に関連する質問と、軽度、中等度、激しい身体活動を行った分数や、週当たりの日数を調査。
 平均して週150分以上の中等度/強度の有酸素運動を行っているものは「ガイドラインを満たしている」とした。「ガイドラインを満たす」ことと、診断時の年齢、性別、BMI,受けた治療や転移の有無等の関連性を評価した。

結果
 4838通のうち3348通が回収(回収率69%)。このうち1228人(41%)がPAガイドラインを満たしていた。
ガイドラインを満たしている人と満たしていない人の平均年齢は54歳と58歳。40歳以下の回答者54%がガイドラインを満たしていたのに対し、70歳以上の回答者では24%だった。ガイドラインを満たす人は、満たしていない人に対し、7~12年前に診断を受けていたこと、病気の再発が無いこと、両側乳房切除を受けていない割合が高かった。診断時に転移病変があった患者の24%がガイドラインを満たしていたのに対し、転移病変がない患者では41%であった。ガイドラインを満たしていた患者の平均BMIは25.9に対し、満たしていなかった患者は28.6であった。満たしていない患者のPA閾値90分でも評価。
 独立した予測因子は年齢、診断から調査完了までの年数、再発状況、手術の種類、転移性疾患、BMIであった。
 
考察
 全体として乳がんサバイバーの41%がPAガイドラインを満たし、一般集団の成人女性では33%であることから、乳がんサバイバーは他の人よりもPAを行っている可能性がある。
 高齢者、転移再発、両側乳房切除、BMI高値は身体的に不活動で、これらのグループを特に対象にした介入の開発を支持するものである。
 
さとうの感想
 大規模の調査で独立した因子がたくさん明らかになったことがすごいです。郵送法の回収率がとても高い。疾患特性に偏った人口統計学的特性だったので、就労形態や職種、婚姻や子育て、収入も気になる。PAの閾値90分にして解析をしているが、その数字がどこから出てきたのかわからない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?