見出し画像

偏食のこと(その前に・まとめ

その前が続いてしまうのですが、なぜこんなに「その前に」で書くことがあるのかなあ、と自分なりに考えてみました。

偏食に対して何かをするということは、結果として食べる量や食べられるものが増えることが目的だと思うのですが、その目的はあくまでも、食べることそのものの目的が果たされていることが大前提だと思います。ただ、偏食に対する目的(食べる量、食べられるものが増える)にフォーカスを当てすぎると、その前にある食べることの目的が忘れ去られてしまったり、蔑ろにされてしまったりするのではないかと思うのです。だから「その前に」、食べる量は増えてほしいし、たべられるものは増えてほしいし、なんならなんでも美味しいって食べてほしいんだけど、でも「その前に」、当たり前でわざわざ言葉にしなくて、なんなら考えたこともないような食べることの目的を書いておきたいと思ったのです。

では、食べることの目的とは何か。
楽しみやコミュニケーションなど色々ありますが、根底にあるのは生命維持、生きていくための栄養摂取ではないでしょうか。
偏食が強いお子さんの中には、その子に合わない偏食対応を行うと、食べることそのものを拒否してしまうことがあります。何を出しても一口も食べない、飲まないとなると、生命維持は医療の分野になりますから、病院で点滴をして栄養摂取しながら、再び食べられるものを模索していくことになります。どうしても口から食べることが進まない場合は、生命維持を優先して経管栄養や胃ろうなどの栄養摂取に移行していくこともありえます。食べられるものは少ないけれど、摂食や嚥下には機能上問題のないお子さんでもそうなることがあるのです。それは極端で特別な例だと思うかもしれませんが、乳幼児期はその子がどんな子なのかもまだ、はっきりわからない(だからこそ、様子を見ましょうと言われることも多い)時期なので、考えすぎるくらい考えることも必要だと思っています。また、仕事をしている中で、実際にそういうリスクのあるお子さんにお会いすることもあります。自分の意見が子どもの生命維持を脅かしたり、その後の人生の楽しみや生活そのものを変えてしまう可能性があると思うと、少なくとも作業療法士という立場の私が、簡易的に偏食のことを書くのは難しくなって、こういう形になったのです。

偏食の対応を考える私なりの「その前に」をまとめてみたいと思います。

・食べることの目的である、生命維持や栄養摂取がなされていること。
・食事の時間は楽しみであること。
・乳幼児期の食事の目標は、運動・感覚機能や口腔機能の育ちに合わせた食形態で食べたことのある食材や味付けを増やしていくこと。そのために、食材や料理を見たり、聞いたり、触ったり、匂いを嗅いだり、味をみたりする体験を積むこと。

今後書いていく偏食のこと、は上記のことが満たせる、もしくは満たせていることを最優先であることを前提に書いていきたいと思っています。これは口から物を食べる子どもはどんな子であっても、前提になるものだと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?