渇望

絶対、必ず、約束、初めて、の4語を使ってひたすらに翻弄して根こそぎ骨の髄まで食らい尽くしたい。骨と皮になるまで君の姿をまぶたの裏へ映し続ければ、いつか同じ味を感じることが出来るだろうか、かつてのきみが味わった苦い記憶を

きみになりたかった、きみの才能がほしくて、少しでも回路を繋ぎ合わせたくて、きみを追随してしまう。きみの人格を渇望してしまう。

きみをわたしが飲み込んでいたとしたら、わたしは美しく、華麗にこの世界のど真ん中に躍り出ていたかもしれない。きみの足りないほんの少しをわたしがぴたりと埋め合わせられたなら、高い空が落ちて深い海と混ざりあって、だれもみたことのない純粋な青を見せることが出来たかもしれない。

きみの目が、耳が、指が、脳がほしくて、頭の中できみが谺響する。きみが笑い、歌い爪弾く。一定の間隔で目の前を横切る黄色の鉄塊を眺めながら、悲壮を濃縮して窮愁を滲ませながら、わたしは突風をかき分けて進む。鉄塊が素通りする、睫毛が散っていく、走り去る黄色の鉄塊を一瞬にして青に染めたならば、それはわたしという人間を証明したことになる。寂寞が強く手を握っている、頭の中できみが笑いかける。きみの声が、きみの言葉が延々とループして脳に根を張る。なあ、きみよ好く聴いてくれ。きみよどうか刮目してくれ。

わたしの憧憬が、きみが見蕩れていたこの世でいちばん純粋な青を、つくりだしてあげるよ

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