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文字と、歴史と、筆順と、日ペン第6回添付課題

ご存じの方には当たり前に過ぎるであろう話を
なるほど、そういう事だったのか。と感心したので、時間を割いて大真面目に書いてみる


ペン字を習っていて気が付いた事がある
"も"、"や"、"よ"、"ら"など
いくつかの平仮名の書き順を間違えていた事だ
書き順、すなわち筆順とは何かというと
その字を綺麗に書くための順序とのこと。なるほどなるほど

今まで字を書く事に真摯に向き合って来なかったので
平仮名を覚えてからの約35年、書き順を間違えたままだったのだ
しかし、いざ漢字の楷書編に突入して
おや?と思う事柄にぶつかったのだ

”王”という字の書き順が、どうも腑に落ちない
調べてみると、日本では2画目が縦画なのに対し
中国では横画なのである。
つまり、日本の"王"は横・縦・横・横
そして、中国の"王"は横・横・縦・横

にもかかわらず、日本でも"金"という字の中にある"王"は後者の書き順なのだ
いやいや、なんでよ?おかしくない?
次の点に繋がるのであれば運筆の通り道が異なるという理屈も解るがそういうわけではないのだ

ちなみにもう一つ例を挙げると"田"という漢字は日中で3画目が異なる

綺麗に書くための順序なのに、国で違うというのはどういう事なのか
これが「日本では餃子を焼いて食べるが、中国は煮て食べるのが主流である」という話なら国柄や事情に応じて最適化されたのだと納得するのだが
それぞれの国で何百年も紡がれた書道という歴史の中で、
たった4、5画の字で綺麗に書くためのルールが異なるのは不思議だ

国が違うならまだしも、先日からいよいよ行書の練習を開始したのだが
"上"という漢字のお手本を真似る際に
知っている書き順では、どうやってもそんな線形にはならないのだ
つまり、日ペンの行書で推奨する"上"の筆順は、横・縦・横なのである
ちなみに学校で習う"上"の筆順は、縦・横・横だ

さてここで、40歳の面倒くさい男はこう思った
「綺麗に書く筆順が、国や書体によって統一されていないとはどういう事なのだ」と
"上"という字の場合、行書の際に2画目の縦画から最後の横画へ連絡する方が綺麗に見えるという理屈はわかる。であるならば、楷書の方も最初から行書と合わせて横・縦・横で良いのではないか?

やはり納得いかないのでもう少し調べてみると
意外と簡単に答えが出たので引用させて頂く

当時の文部省では、この冊子を作るために12名からなる「筆順についての委員会」を設けて、その検討を始めたそうです。しかし、当初、2~3か月でまとめるつもりであった作業が、「第一回会合から荒れに荒れた」というのです。その結果、
ある書道の大家が「私の流派の書き順を認めないなら、切腹する」と、大臣室の前に座り込むという騒ぎにまで発展した
というのです。そして結局、『筆順指導の手びき』が完成するまでには2年もかかってしまったそうです。
(中略)
現在、私たちが「正しい筆順」と思いこんでいるものは、実は、対立する流派同士の妥協によって出来上がったものなのです。

中国と日本では、漢字の筆順が違うようですが、どうしてでしょうか?|漢字文化資料館 (kanjibunka.com)

なるほど、そういう事だったのか。
そうすると、小学生の時分に、筆順で×を頂いたのってどうなんだ?と頭をよぎったが
それは「算数」と「数学」の違いのようなものか、と納得した次第


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