
Microsoft Build 2020 KeySegment Sessions感想 (Windows Package Manager発表等)
今年の Microsoft Build はオンラインのみでの開催となりました。開催者側は大変な苦労があったのではないかと思いますが、毎年オンラインでライブ配信視聴している身としては特になにも変わる事はなく、いつもどおり楽しめました。
以下、例年で言う基調講演に相当するKeySegmentセッションを視聴して個人的に気になった所の感想になります。ちゃんとした発表内容まとめは、公式記事やちゃんとしたブログを読んでください。
Windows Package Manager
Windows Package Manager発表。プレビュー版が今日から利用可能 #MSBuild pic.twitter.com/7bz2nlroii
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
本日発表された製品の中にも Windows Package Manager で導入可能な物があるので、最初に紹介しておきます。
ChromeやFirefoxといった普通のGUIアプリケーションも、RubyやNode.js、AWS CLIといったCLIアプリケーションなども、このwinget CLIからインストール・管理できるようになります。
現時点ではプレビュー版であり、Windows 10 の Insider Program に参加していればMicrosoft Storeから入手可能なようで、現時点ではこの導入方法が公式にも推奨されているようです。ですが Insider build でなくても、GitHubのreleasesから入手して普通にインストールできます。執筆時点ではv0.1.41331です。
例えば、今回のセッションで印象的な使われ方をしていたPowerToysをインストールするには
> winget install powertoys
こんな感じでインストールできます。
個人的には、Windowsには昔からこういった類似した物がいくつかあるものの、どれもうまく使えなかったりしていたので、この winget がデファクトになってくれると良いなと思います。
Windows Terminal 正式リリース
Windows Terminal が正式リリースされ、Microsoft Store から入手できるようになりました。先述の winget でもインストールできるようです。
Microsoft が最近取り組んでいる Fluent Design を取り入れており、専用のCascadia Code フォントも相まって見た目も中身もモダンになっています。またコマンドプロンプト・PowerShell・WSLなどを使い分ける必要があるWindows上の開発事情に応えるためタブごとにシェルを切り替える前提の設計になっているのも嬉しい所です。
Windows Subsystems for Linux 2 (WSL2) 正式リリース
WindowsTerminalとWSL2が正式リリース!
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
急にプレゼンらしいプレゼン始まったけど、この画面配置のまま行くのかw #MSBuild pic.twitter.com/rb9Pw8wKWr
WSL2 が正式リリースとなり、5月のWindows Updateで利用可能となることが発表されました。
Dockerを使った開発が快適になることを期待しているので非常に楽しみなのですが、今回はGCPによるハードウェアアクセラレーションも発表されていてGUIアプリケーションの対応も強化していくようです。
下記手順から導入できると思います(Windows Updateが必要なのでまだ試してない)。
Azure Synapse Link 発表
Azure Synapse Linkの話。「No ETL Required」ってどういう事だろう #MSBuild pic.twitter.com/L9adOZV0Gg
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
CosmosDB上で「Synapse Link」を有効にすると、(ETL無しで)Synapse上のNotebookとかで分析できて、そのままPowerBIでレポートできたり、機械学習の機能も使える。 #MSBuild pic.twitter.com/0QjQpv5SZj
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
そのままAutomated MLに噛ましてモデルを構築できる。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
GCP BigQuery+AutoMLをかなり意識していそうだ。比べると得手不得手がありそうだ #MSBuild pic.twitter.com/uP7L8htVJR
Azure上の分析・レポート・MLの一連のデータフローが「Azure Analytics」として紹介されました(これ自体は特定の製品を指す名称ではなさそう)。中でも Azure Synapse Link というのを使うとデータ変換などのETLを用意する必要無く、データベースのデータを使って Synapse 上で分析のクエリを発行でき、さらに PowerBI でレポーティングしたり、Automated ML で機械学習したり、といった事にリアルタイムで利用できるようです。
このあたりは GCP の BigQuery や AutoML を強く意識しているように見受けられました。GoogleAnalytics をはじめとしたマーケティングプラットフォームとの統合ができる Google に対し、CosmosDB や PowerBI が Azure の強みでしょうか。
デモは Azure CosmosDB からのデータを取り扱っていましたが、よく見てみるとオンプレミスDBのデータやデバイス上のデータも取り扱えるとあるので、気になる所です。
Azure Cognitive Service Personalizer — Apprentice mode
Cognitive ServiceのPersonalizer Apprentice Mode、何なのか分からなかったので後で調べよう #MSBuild pic.twitter.com/6rQrviQ4qt
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
AutoML系サービスのアップデートは気になるのですが、これは公式発表を読んでもいまいちよく分からない。
enables businesses to skip the initial learning curve
とあるので、学習曲線をスキップできる?
Azure Static Web Apps が public preview
Azure Static WebApps気になる。これ系のサービスはAzure内でも複数あった気がするし、MicrosoftはGitHub買っちゃったからGitHub Pagesもあると思うんだけど、その辺と何が違うのかなhttps://t.co/LWwwNDIjWx
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
NetlifyとかVercel(Zeit now)とかその辺に並ぶサービスって認識で良いのかな。どういう違いがあるんだろう。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
そもそもNetlifyとVercelの違いもよく分かってないけど......
静的サイトをデプロイできる Azure Static Web Apps がパブリックプレビューになりました。Azure 内でも Azure App Services で似たような事は簡単にできたと思うのですが、サーバレスで静的サイト特化しているのが特徴でしょうか。Netlify とか Vercel(旧称 Zeit now) 等の似たようなサービスが最近は流行っていると思うのですが、それらとどう差別化されているのか気になります。
Microsoft Teams の活用
Teamsの利用者数がこの3月4月で急増したという話 #MSBuild pic.twitter.com/xbrAHxdAET
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
ここ数年、Microsoft Teams というビジネスチャットツールにかなり力を入れているという印象でした。昨今の世界状況によるリモートワーク・在宅勤務の急速な普及に伴い Teams の利用者数も爆発的に増えていることはニュースなどでも報じられています。
特に Scott Hanselman 氏のキーセッションは、オンライン開催であることを逆手に取って常に Windows のデスクトップ画面を映しながら、ゲストは Teams でビデオチャットしたり、そのまま Teams 上でシームレスにペアプロに移ったりしたりしながら進めていました。製品デモになっていて良いですね。PowerPoint すら活用しない(一応起動はするが全画面化してのプレゼンはしない)という独特のプレゼンスタイルで、なぜか起動音や壁紙が Windows XP である等の小ネタも多く(あまり理解できなかったけど)、非常に面白かったです。
なんか基調講演で「PC起動してパワポ立ち上げたりして基調講演の準備をする所から放映する」という高度なジョークをしてるっぽい。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
こういうコンテキストは私の英語レベルではまったく理解出来ないので、どこからが真面目なセッションなのかよくわからない。。。 pic.twitter.com/uRwmxiO8Xe
え、Teams上でコード書いて実行してる?
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
(それともそういうジョークなのかは、私の英語スキルでは理解できない) #MSBuild pic.twitter.com/HHLb5wRBGZ
#MSBuild リモート開催を逆手に取って、ずっと普通のWindowsデスクトップ画面を映しながら全部Teamsでデモするってのは面白かったし製品デモとしても良かったな。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
Teams上でシェアされたVSCodeを共同編集でペアプロしてるのとか、もう当たり前の事のように見えてしまったけど相当すごい事だよな
Microsoft Teams上のネイティブアプリをPowerAppsで簡単に構築できるよ、みたいなデモ。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
なるほど、こういう風にTeamsをプラットフォームにしたくてずっと注力してたのかな。なんで急にチャットツールこんなに力入れてるんだろうと数年前から疑問だったけど、今日のBuildみて分かった #MSBuild pic.twitter.com/if9SWRH0cG
あと個人的には、音大の事例がフィーチャーされていたのがちょっとうれしかったです。
なんか回線が途切れちゃったけど、音楽の話が出た。SFCM(サンフランシスコ音楽大学?)の、ライブストリーミングパフォーマンスみたいな事例を紹介している #MSBuild pic.twitter.com/1PnIOy2zGK
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
Microsoft365を使って、音大のオンライン授業やコンサートセッションのストリーム配信をしているよという話 #MSBuild pic.twitter.com/Uz0g8UpQHT
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
オンラインでアンサンブルするにはレイテンシとか同期取るのがものすごく大変で、有名なビデオ会議ツールの中でも物によってかなりの得意不得意の差があるらしいんだけど、Microsoft Teamsはどうなのかな。その辺の技術的な要素には触れられていなかったように見えた。
— s2terminal (@suzukiterminal) May 19, 2020
参考
昨年の Build の感想
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