眠い

厚い氷の壁越しにあの子を見た。声は聞こえなかった。笑っていた。瞬きしたらいなくなった。眼下に広がる青に少し波がたったのを見た。あたしにしか聞こえない誰かの声がもうずっと生活の邪魔をして、大事なことすら耳に入らないし口を出ない。意味なんてなくただ無機質に真っ直ぐに続いていく色のない''生活''になんとか色をつけようとぐるぐるかき混ぜているうちに自分の心の内側に囚われて出られなくなった。
例えばの話だけどさ、全部捨てなよって言って無理やり手を引いて連れ出してくれたなら、あたしは

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