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小論文を書いたら「文章が上手すぎる」と言われた話


長い夏休みももう終わりですね。

私は学生ですが今が一番忙しい時期(のはず)です。進路とか進路とか進路とかで先生が口うるさくなってくる今頃、私は何をしていたのか。

ずばり、小論文を書いていました。

「先生、この間言ってた小論文書いてきたので添削お願いします。」
「じゃあここで読ませてもらうよ。」

そう言って何枚かの紙切れを受け取り、眼鏡をかけ直して真剣に文字を追う先生。
その背後に覗き込むようにして立つのは原稿用紙五枚分の超大作が書けたと自信しかない私。これは絶対褒められるぞー!そう思っていたのに。

「……あのねぇ。」

私の期待とは裏腹に、重い空気を吐いた先生が顔を上げると私はビクッと大袈裟に身構えた。やばい、何がダメだったんだろう。この「はあ」ってため息の後は絶対批判的な意見が飛んでくるに違いないじゃないか。「は、はい」と答える私の声が響く。先生は私の顔を見て、しかめっ面でこう言った。

「小論文にしては文章が上手すぎる」


………はあ?

絶対批判的な意見が飛んでくると思っていたので、私は思わず拍子抜けしてしまった。

え?何?「文章が上手すぎる?」
一体どういう事なのか経緯を説明しましょう。

私日本のどこかに住む映像を専攻している美術系学生と名乗っているのですが、この小論文のテーマが「映像の倍速視聴は悪と言えるか否か」というものでした。
私としては、制作に関わる側として普通に許せないが、まあ気持ちは分かるという意味で「悪だと思うが、コンテンツによってはそういう視聴方法を想定した映像も存在するのでは無いか」というのを意見としました。

以下には一部抜粋した文章を記載しています。

現代の若者は「タイパの良さ」を重要視している。タイパ、というのは「タイムパフォーマンス」の略で短い時間でどれだけ良く効率的に時間を使えるかという意味だ。
では何故タイパを重要視するようになったのか。なぜなら、今の日本は24時間では時間が足りない設計になっているからだ。夜遅くまでの残業、付き合いでの飲み会、上司の接待、仕事の持ち帰り… これらは全て「タイパが悪い」方にあたる。見たい映画やアニメがあっても、圧倒的に時間が足りない。そんな世の中のつくりに耐えかねて、現代の若者は「タイパ」を重視するようになった。つまり、「短い時間で得ることが出来る情報」を現代の若者は倍速再生という機能で取捨選択している。
そして、かく言う私も倍速視聴をしていたことがある。私が一時期非常に熱中していた「produce 101」という公開型アイドルオーディション番組があったのだが、その番組を見る時、私は倍速視聴で内容を追っていた。番組内では様々な女の子たちが仲間と共に成長していく姿が流れているのだが、私は自分の推しが無事審査を通過したか否かしか興味がなかったため、ここだけの話、推し以外のシーンは倍速での視聴をしていた。
この傾向は当然避難されるべきだ。制作者側に関わったことがある身として、自分の作品が倍速視聴をされていたら心から悲しくなる。しかし、倍速視聴をする側の気持ちもわからないわけではない。

……

こうして私が倍速再生で視聴をしていたのは全て、エンターテインメントを情報として消化しているからだ。そして、現代の若者も同じように説明できる。忙しい現代を生きる彼らは残った少ない時間で映像の世界の結末を知るために敢えて倍速再生をしているのであって、決して映像作品をつくる側である私たちに飽きている訳では無い。エンターテインメントを情報として消化するか、そのままエンタメとして消化するかで再生速度が大きく異なるのであって、「タイパ」を重視することは普通の速度で視聴することとあまり変わりはないのかもしれない。

まとめてしまうと「エンタメとして映像を消化するか、情報として消化するかで視聴方法が変わってくるよね〜」という話でした。そうして提出したものがまさか「小論文にしては文章が上手すぎる」という理由で突き返されるとは思ってもみなかったですね。

先生の言い分をざっくり解釈すると、どうやら私は「上手いことを言おうとしすぎて結論までスパッと行けるはずなのに遠回りしている」らしいです。
論述とは奥が深くていいですね、他の方の思想強めnoteを見るの私とっても好きです。アウトプットをするにはまずインプットが大切なと言いますので、これから色々なnoteを読み漁ろうかなと思いました。

こんな「文章が上手すぎる」私ですが今後ともどうかお付き合いください。(冗談です。いつもこんな拙い文章をお読み頂き誠にありがとうございます。)では、最後までありがとうございました

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