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#4  MBOとは

 わたしの大学のゼミ合宿で、学生25名と浜松にあるRoland D.G.社の本社に来ています。同社の田部社長とは、今年の初めに出会い、意気投合して個人的なお付き合いをさせて頂いている方です。本社に訪問した日は、偶然に、同社が東京証券取引所からの上場を廃止した日でした。上場廃止というと、企業の業績が悪化して市場から退場するというネガティブなイメージがあると思いますが、しかし、今回の上場廃止は、経営者自身が選択した経営行動で、MBO(Management Buy Out)という経営手法が用いられました。この手法は、経営者が自ら資金調達をして集めた資金で、自社の株式を一定のプレミアムを付けて購入し、発行済み株式の大多数を保有することで、上場を廃止して、新たな株主募集をやめる方法を言います。これは、経営のドラスティックでスピーディな改革をすることを目的にして、新たな大胆な投資やリストラをする際に、多くの株主の了解をとるプロセスを簡略化する手法を意味します。
 ローランドD.G.社は、年間売上高が500億円レベルのプリンター関連事業を展開しているグローバル・カンパニーです。優良な会社ですが、大手プリンター会社と比較してみると、会社の規模では1/10程度で、常に大手からの市場支配や買収圧力にさらされているのが、現状です。今回も、大手メーカーからTOB(Take Over Bit)という形で、市場からプレミアムを付けた価格でローランドD.G.社の株式の大半を購入することで、同社を買収しよう提案がなされ、その危機と闘い続けた半年だったようです。
 大手の傘下に入いって安定を求めるか、独自の立場を貫きリスクをとりながら成長を模索するのか、経営者にとっては、本当に重大な決断だったようです。今回は、MBOにより、独自の立場を貫く選択をしたということです。従業員の大多数は、今回のMBOには賛成だったようです。今まで以上に、経営者と従業員が一体となり、より強固な会社になるためのスタート日に、わたしのゼミ合宿で、訪問させて頂いたということです。
上場を廃止したからと言ってMBOが、本当の意味で成功したとは言えません。その成功は、今後の大胆かつスピーディな経営改革を行って、真の意味で大手企業と対抗できる経営体力と独自性を見いだせてはじめて、そのMBOは成功したいと言えます。
 これからが、Roland D.G.社の真価が問われます。大変だとは思いますが、影ながらその成功を強く願っています。

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