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#3 日本人の学力は低下している?

 大学の教育現場にかかわる身として、日本人の学力は昔に比べて低下しているのではないかということを良く耳にしています。大学の受験者数が200万人レベルから70万人水準まで低下したことにより、優秀な人々の絶対数が減っていることが一つの要因だと思います。しかし、ひとり一人の単位でも、残念ならが、学力が低下しているというのは、わたしも日々感じているところです。
 教育システムも昔に比べたら格段に進歩している、とくに教育DXの発展により、自主的に学ぶシステムが充実してきている、また、ひとり一人は、昔に比べて、格段に真面目になっているのに、なぜ、若い人の学力が低下しているという実感につながっているのでしょうか。
大学の入試にかかわっていると、英語の4技能の能力は、この数年で格段に上がっていると感じます。とくに、HearingやSpeakingの能力の進歩は眼を見張るものがあります。日本人は外国人の前では、緊張してコミュニケーションがとれないという話は、若い人達には通用しない話だと思います。
 しかし、問題なのでは、日本語なのです。ITの格段の進歩によって、必要な情報は簡単にスマホで入手できる時代になってきました。新聞を読む代わりに、Yahoo Newsをみれば、簡単に世の中の情勢は理解できます。また、YouTubeを使えば、本の要約情報も簡単に入手できるようになっています。しかし、その代償として、文章を正確かつスピーディに読むことができなくなってきているのです。その結果、会議での資料を正確に把握できない、そのために適切な意思決定ができないということにつながっているのです。その結果、自分で考える力が非常に衰えており、それが総じて、日本人の学力は低下しているということにつながっているような気がしてなりません。
 情報は、簡単にスマホを利用して入手でき、AIに指示すれば、過去の膨大な情報から適切な情報を抽出することができるようになりました。そのような時代、人間に求められる能力とはどのようなものなのでしょうか。わたしは、考える力、個性が非常に重要になってくると思います。考える力は、過去の偉人達が残した書物をしっかりと読んで理解し、そこから自分の考え方を構築しているプロセスがもっと有用であると感じています。
読書こそ、次の時代を切り拓く、重要なキーワードのような気がします。

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