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#6 地方高校の単一性

 仕事の業務して、全国の高校を訪問する機会が非常に多くあります。その際、各地方では、必ず、現地の偏差値トップの県立・公立高校を訪問することにしています。そこで、感じることは、非常に内向きで単一な価値観を優先する風土が強いなということです。
 首都圏のトップ高は、近年は、外向き志向が強くなり、世界的に通じる人材育成を視野に入れた魅力ある教育をしている高校が多い印象があります。しかし、地方のトップ高は、従来から地元の国公立大学や医学部に何名の合格者を出したのかという目標に邁進する風土が強く残っているとともに、主に保護者の経済的負担の影響で、首都圏の大学への進学は希望せず、内向き志向が強くなっている点に共通した特徴があるような気がします。そのような高校の進路指導の先生に、上智大学のグローバル人材の育成の現状について話をしても、あまり反応がないというのが多くのケースです。
 ただ、そのような地方の現状は、本当に日本全体の将来にとっては、良いことなのかなと強い危機感を感じます。皆が単一の価値観を持ち同じ方向のみを見ている視点は、その地方の真の活性化につながるのだろうか、そしてそのような人々は、本当に将来、幸せになれるのだろうかという疑問がわいてきます。
 地方経済は、残念ながら人口減とともに衰退の一途をたどっているのが現状です。そのような状況では、就職先も公務員、地方銀行、地方メディアなど限られた就職先を地元の国公立大学の卒業生が争い合う現状をみてみても、同じ価値観のもとでは、新たな地方活性化のイノベーションが起きにくく、今後の明るい地方経済の見通し持てないのではないかと強く感じます。
世界が新たなIT技術などでドラスティックに変化している中では、内向き志向で保守的な考え方ではなく、より外向き志向で積極的にリスクをとる姿勢こそが、今後の世界を生き抜く最も重要なマインドであるような気がいます。優秀な生徒さんであるならば、チャレンジするマインドさえあれば、必ず新たな時代を生き抜く力を持つことはできると思います。できれば、内向きで単一な価値観のみを認めるのではなく、多様性を認め、チャレンジするマインドを持てるような教育指導を、地方の優秀な高校の先生方に持ってもらいたいなと強く感じます。

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