2020/07/05

 今日の始まりは心地よい目覚めからだった。朝10時に起きたのだが、一度、8時に意識朦朧のまま起きて、ソファーに座って、そこでまた寝たのだ。母が僕の耳元でテニスに行くことを囁いたことだけは覚えている。そこからまた寝入ってしまった。

 朝10時に起きて、とりあえず自分のと父の分のコーヒーを入れて、父に渡した。父も先ほど起きたようで、寝間着姿だった。、、、父がそこにいるということ。それは不思議な気分だった。つまり、僕が寝ていた10時までの時間に、父は起きて、歯を磨き、顔を洗い、そこに座ったのだ!僕の意識の外側というのが確かにあって、僕が寝ているのか起きているのかに関係なく進行するということが意識させられた。

 さて、僕はコーヒーを飲み、昨日やり切った物理化学のレポートの清書をし、途中でいったんやめて、英文の勉強をし、また物理化学の清書をした。思いのほかこのレポートには時間を使った。というのは清書しているといろいろと間違いが見つかり、結局またやり直しということが起きたのだ。今日の5時までが期限であと少しでおわるというところで、買い物から帰ってきた母から都知事選挙に行こうといわれた。急いで選挙を終わらせた。僕にとって選挙より期限の迫る物理化学のレポートのほうが大事なのだ。急いでたせいで、飲みかけのコーヒーもこぼしてしまった。

 とにかく選挙を終わらせ、5時10分前に無事提出できた。(オンラインで)このレポートで出てくるエントロピーやらギブスエネルギーのことをひたすら考えた。なかなか楽しかったが、さてこれが何の役に立つことやら。

 ようやく課題から解放されたので小論文の原稿をもっていつもの本屋に行った。ガブリエルなんたらの新実存主義をよんだり、小論文を添削したりした。この本には哲学によく出てくる「経験」だの「理性」だの「現象」だのと次々と出てきて、辟易したが、いや確かに面白いことを言ってるのはそうなのだ。

 半分も理解しないまま本を閉じたが、なにやら人間には精神があるのかどうかを論じていた。唯物論という言葉が頻繁に出てきた。筆者は反唯物論者らしい。

 唯物論というのは、この世界に存在するあらゆる事象は物理法則で記述されるという立場らしい。だから人間の自我というのは結局、神経ニューロンの電気的信号やホルモンによるというのが唯物論者の主張らしい。これは僕が高校の時に考えていたことじゃないか!

ところで、筆者は違う意見を示していた。なにやら言語学的な例を示していたが、よくわからなかった。しかし、たしかに神経ニューロンの発火やホルモンの分泌によって何かの感覚、考えが想起されるが、これらを指示している主体について考えたとき、僕たちについて、完全に唯物論的に説明できない。いわゆる精神(ガイスト)というものを前提しないといけないかもしれない。
 
 たしかに生物というのは何かしらの情報の客観的なインプットに対する反応(アウトプット)に過ぎないのかもしれない。これは最近僕も考えたことだ。これより先の考えはまだない、この本を読み進めていくことによってわかるかもしれない。

 、、、家に帰る道すがら、その本のことが頭から離れなかった。たしかに帰り道に目にしたことや聞いたことや感じたことは経験という言葉によって包含されるし、それらの素材は現象という言葉によって表現される。現象という言葉の厳密な意味について後で調べてみよう。それから言語活動というのは思っているより大事なのかもしれない。この言語によって僕というガイストが逆説的に定義されるのかもしれない。

 SNSでは相手側に自分の書いた文字しか映らない。動画であれば、一定時間内の自分の過去の姿しか映らない。これはなかなか哲学的ではないか。自分という存在が、インターネット上に、文字形態にしろ動画、写真という形態にしろ、切り離されて存在しているのだ。これも一コの現象なのだろうか。とにかくこの言葉の意味を調べてみなくてはわからない。

 家に帰ると、アイスを食べながら高校の美術の教科書を開いてみた。レオナルド、ラファエロ、マティス、マネ、モネ。
 ゾラのマネに対する本を先日読んだ。人間が見る世界は光であり、その光をマッスとして描くこと。中世のルネサンス期は、細部まで細かく描かれていることが美であり、ルネサンスの意義は、これまでのキリスト教が表現する神性から離れ、人間らしい自然な表情を描いていることだとか。

 ジョルジュスーラの有名な点描も印象派なのは驚きだったな。それからモネの言葉も興味深かった。数分数秒で描いている光が変わってしまう。彼はそのため、同じ主題を、キャンバスを変えて何度も書いたのだ。

 ゾラやマネは自然主義だと自認しているが、ガブリエルの本に出てくる自然主義という言葉の意味とどうも違うかもしれない。この部分も研究したいと思う。

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