「ラメ入りの紅茶飲んで僕達はゴージャス」

ブロッコリーに茹でたレバーを百グラムほど、チーズをふた切れ。ほぼ食材のままの簡単な食事。最近はこれらばかりだ。
本はどれも読みさしで枕元、床、半分開き放した箪笥の中(立ち読みしながら着替えた際の遺物だ)など、あちらこちらに置いてあり、気の向いたものから再び手に取る。だらしのない読み方だが四月に入ってから四冊読み終えた。
また頭痛だ。このところ毎日のように痛む。目が覚めるとまず痛み止めを飲むようになった。再び眠るまでに三回ほど飲み直す。
とにかく疎かになっている。人に連絡をしなくなり、暫くすれば来なくなった。何にも大事にされていないような気がするし、何も大事でないような気もする。そしてそれがそんなに、どころか全く以って悪くないという事にも、気付いてしまったのだった。

恋人がよく聴いていた歌を流す。
《「愛には形がないよ」とか言うけど触れられなければ淋しいもんだよね》…
それから。恋人が言ったことを思い出した。
「前にさ、犬猫相手みたいな顔中にべたべたするキスはやめろって言ったけど、本当は好きだったよ。」
そうだね、あなたのまなざしが、においもきちんと、わたしを好きだと言っていた、知っている、きみの名前を、知っている。

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