オリンピックバーチャルシリーズ予選を韓国で戦い抜いた感想

1.はじめに

2021年5月24日~30日にかけて、eBASEBALLパワフルプロ野球2021でオリンピックバーチャルシリーズ予選大会が開催されました。
使用チームは11ヶ国からランダムで割り当てられるのですが、私は韓国チームを使用することになりました。
当然チーム毎の能力には違いがあるのですが、韓国が厳しい戦いを強いられた理由と、チーム格差の是非について記事を残しておきたいと思います。

今大会の予選については1ヵ月半ほど前から告知されており、5月21日に各チームの選手能力が公開されました。この時点で韓国はぶっちぎりで能力が低いと話題になり、多くのプレイヤーが本当にこのまま開催されてしまうのかと心配する事態でした。

私は現在32歳でごくごく一般の会社員です。オリンピックにeスポーツで出場できるとすれば、年齢的にも最初で最後のチャンスかもしれません。そう思い、会社で年に1度取得を推奨されている3日連続の有給休暇をこの予選のために取得しました。
11分の1の確率で夢が断たれるかもしれないチーム確定の瞬間。…嫌な予感はしていましたが、まさか的中するとは。

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皆さん、「チームのせいにしないで実力で勝てよ」と思うでしょう。私もそう思っていました。
このゲームは選手能力が絶対ではありません。プレイヤーの腕次第でどんなチームでも勝つことはできます。
ですが、予選突破にはSP(セレクションポイント)というポイントを多く獲得する必要があります。戦力的に劣るチームではこのSPを稼ぐのが非常に難しいのです。

SPを多く獲得する方法をざっくり説明すると、
・連勝し続ける
・たくさん点を取る
・相手に点を与えない
この3つが重要です。

韓国のチーム能力はとても低いですが、上手いプレイヤーが操る強いチームにももちろん勝てる可能性はあります。
実際に私もeBASEBALLプロリーグ所属経験のあるプレイヤーとたくさんマッチングして、体感ですが4~5試合に1試合程度は勝利を収めていました。
しかし、先述のSPを多く稼ぐ条件を満たすのはかなり厳しいです。

打力が低いので大量得点は難しく、守備に難があるため無失点で試合を終えるのもこれまた難しい。
連勝というのも引き分けを挟んではいけないので、一発攻勢を仕掛けにくい韓国では特に難しい条件になります。
せっかく勝っても、たまにジャイアントキリングするだけではポイントは稼げないのです。

2.韓国チームの紹介

選手の個人能力の前に、チーム全体としての能力値を他チームと比較してみました。
投手能力は単純に比較しても球種の有用性等で優劣をつけにくいため割愛して、野手登録されている13人のそれぞれのパラメータの平均値を算出してみました(小数第2位を四捨五入)。
アメリカ・メキシコと比較すると以下の通りとなります。この2チームを選んだのはパスワードが公開されたときの並び順でアジアを除いて一番上だったからで、特に強いから選んだとかそういう理由ではありません。あくまでも参考程度なので。

◆アメリカ
弾道 3.2 ミート 57.8(D) パワー 78.7(B) 走力 61.6(C) 肩力 80.2(A) 守備力 67.6(C) 捕球 46.4(E)
◆メキシコ
弾道 3.3 ミート 55.1(D) パワー 73.1(B) 走力 66.2(C) 肩力 76.7(B) 守備力 63.7(C) 捕球 53.0(D)
◆韓国
弾道 2.9 ミート 45.3(E) パワー 57.4(D) 走力 56.5(D) 肩力 59.7(D) 守備力 47.2(E) 捕球 40.3(E)


明らかにDH向きの能力の選手がいるうえに特殊能力を考慮していないので平均値で比較するのもナンセンスですが、DBCACEDDDEではだいぶ差がありますね。
韓国は平均値をもってして、この後紹介する片選手と同等という衝撃の事実でした。

では、ここからは選手能力を紹介しながら韓国チームが何故弱いのかを見ていきます。
※隣の芝生は青く見えるものなので、私は韓国の選手能力が低いと思って意見を述べています。あくまでも主観ですのでご了承ください。


■二塁手 片(ぴょん)選手

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言わずもがな。公開された瞬間から話題になっていました。
野手で弾道1は今大会この選手のみですし、なんならNPB12球団でも稀です。クラウンスタジアムで弾道1はホームランを打つのが不可能に近いレベルで難しいというのに、チャンスFまで搭載されているのはひどい。

しかし打力以上に問題なのが守備です。走力54守備力48は本当に動きません。ダイビングキャッチを試みても、打球が速いとその場で倒れこむ程度です。捕球22というのもあまりにも低すぎます。普通ならアウトになる打球を数十本…いや、235試合も戦ったのでもしかしたら数百本ヒットにされています

当然ですが野手で全ての能力がD以下なのはこの選手のみです。せめてひとつでも突出した能力があれば面白かったのですが。
ぶっちぎりで最弱選手ですが、先述の通りまさか野手全員の平均能力値がこの選手の能力と同程度だったのには驚愕です。


■一塁手 孫(そん)選手

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この選手は弱くはありません。チームで最強のバッターです。
何故紹介したのかというと、この選手は弾道4パワーAの代償なのか、打撃以外の能力がめちゃくちゃ低く設定されています。ファーストしか守れないのに守備力19ではどこも守れないのと一緒です。

他のチーム(タイペイ除く)ではこの選手と同等の打力を持っていても、他の能力も軒並みC程度はあるのですが…。なぜ韓国だけこんな調整になっているのか不思議です。
一応、弾道4パワーAでプルヒッターと悪球打ちを所持しているのは全チームで唯一の存在なのですが、だからどうしたという程度。個人的にはむしろ悪球打ちは扱うのが難しいので嬉しくありません。


■外野手 柳(ゆ)選手

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この選手も強いです。弱点らしい弱点もなく全体的に能力が高いです。
この選手を紹介する理由は、チームで最強の能力値だからです。

…そうです。これで最強なのです。アジアのチームを除けばほぼオールAのような選手が2人ずつくらいは存在しているのですが、平均オールC程度のこの選手がチーム内で最も能力が高いです。しかも左投手が多い環境なので対左投手Fが発動しやすく、パワーBで打てる場面はあまり多くありません。


■遊撃手 劉(ゆ)選手

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この選手は孫選手とは逆に、守備力が高い(といってもショートとしては最低限)代わりに打力がとても低く設定されています。

ミートカーソル45でチャンスAのためミート打ちはそこそこ安定するのですが、今大会で多くのチームに登録されている威圧感持ちの投手を相手にすると、この選手はパワーが13まで低下することになります。もはや投手程度の打撃能力しかありません。絶不調だとパワー0です。

他のチームの選手は威圧感を出されても基本パワー値が高いので、若干ホームランが狙いにくくなる程度ですが、この選手はあまりにも打力が低すぎます。


■投手 宋(そん)選手

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チームのエース格です。
韓国を使用したプレイヤーの多くは崔(ちぇ)選手かこの宋選手をメインに使っていたと思います。抑え投手が頼りないこともあり、登板するのはこの2人だけという展開も少なくありません。
私はスライダーとシュートの逆方向の組合せが好みだったので宋選手をエースにしていました。

この投手は私が韓国で戦い続ける支えとなってくれた存在でした。
私が操作するこの投手を苦手だと感じたプレイヤーも多かったと思います。ほぼ全ての試合に登板し、プロプレイヤー含む多くの猛者を抑えてくれました。

ただし、それは私が宋選手の能力を最大限活かせるようピッチングを練習したのであって、決して能力に頼ったピッチングではないということは声を大にして言いたいです。

他のチームも先発投手に絶対的エースはいない印象ですが、この選手が仮に他のチームにいたとして、皆さんはスタミナ限界まで登板させるのでしょうか?させないと思います。球速が速かったり球持ち〇や威圧感を持っている中継ぎ投手に早めに継投するでしょう。

ストレートの最高球速が144km/hのため決して強くはありません。ミスピッチをすると海外選手には簡単にホームランを打たれます。
上手く使えば面白い投手だとは思いますが、韓国というチームはこの程度の能力値がエースになる戦力なのだということです。


■チーム全体の能力値

とにかく足が遅い選手が多く、相手チームの守備範囲・肩が強いのと相まって進塁するのが非常に難しいです。
フェンス直撃の打球でも基本シングルヒットですし、パワーが低い選手は外野前進や俊足警戒の守備シフトを敷かれるため上手く打ってもライトゴロやセンターゴロが多発します。

ホームラン以外のベースランニングはほとんど各駅停車となるため、1点取るにはヒットを4本打つ必要があると思った方が良いです。ちなみにランナーの足が遅い場面が多く、送りバントもかなり繊細に決めなければ先行ランナーが刺されることは珍しくありません。

守備範囲についてはサード・ショート・センターは及第点ですが他のポジションはかなり狭いです。一二塁間は絶望的に動きません。外野手はNPB12球団と比較するとそこまでひどくもないのですが、他チームの外野手が走肩守ほぼAのため、比較するととてもストレスが溜まります。

捕球のパラメータが低い選手もかなり多いです。能力値が低いなりに必死に相手に食らいついているのに、エラー絡みで追いつかれたり逆転されたりすることが多いのは精神的にかなりしんどいです。

投手は最高球速が150km/h以上の選手が2人しかおらず、全体的に球速が控えめです。更にその2人はとても対人戦向きの能力ではないため滅多に登板させることはありません。


■選手起用

代打がとても出しにくいです。
どのチームにもキャッチャーが3人登録されており、他のチームは基本的にはそこに代打を出していく作戦になるかと思います。というか代打を出す必要もないかもしれません。
しかし韓国はよりにもよってキャッチャーの打力はチーム内でもかなり優秀なので、代打を送るわけにはいきません。

打力が異常に低いのが個別に紹介した片選手と劉選手なのですが、この2人は守備の要なため、代打を送ると守備力が大幅ダウンします。
劉選手に代打を送ると控えの魚(お)選手がいますがショートの守備はE(44)です。片選手に代打を送ると魚選手がショートで劉選手がサブポジのセカンドに入ることになり、二遊間どちらも守備E(44)ということになります。

ちなみに二遊間を守れるのはこの3人しかいないため、片選手と劉選手の両方に代打を送るのはかなりリスクがあります。
「どうせ動かないなら代打出しちゃえばいいじゃん」という意見もあるようですが、二遊間に適正の無い選手を配置するのは流石にヤバイので早いイニングでは勝負に出にくいです。

また、控え選手の能力も極めて低いため代打・代走とも投手が抜擢されることもよくあります。他のチームではまず有り得ない選手起用です。

3.今後の大会に望むこと

まず、全プレイヤーが平等な条件で挑戦できることは必須ですよね。
仮に何かしらハンデがあったとしても、プロプレイヤー経験者は一律で若干不利な条件になるとかであれば理解はできます。

冒頭で説明したとおり、私は人生で唯一のチャンスかと思い今大会に臨んだのにも関わらず、ただ運だけで有り得ないレベルのハンデマッチを強制させることとなりました。非常に悔しく、虚しい気持ちです。

それでも私は日頃からパワプロをもっと上手くなりたいと思っているので韓国でも頑張る気概がありましたが、多くのプレイヤーはアジアチームを引いてしまったことによりオリンピック予選自体をドロップアウトしてしまったかと思います。

せっかく盛り上げる大会かと思いきや、弱いチームを強制的に使用させられ強いチームにボロ負けしてしまう。せっかくのお祭り的イベントでこれでは初~中級者はパワプロのネット対戦から離れてしまうと思います。
大会期間中、特に終盤はアジアチームとほとんどマッチングしなかったというプレイヤーも多かったのではないでしょうか。
本当に残念でなりません。

個人的には、この大会は決勝トーナメントはエンターテインメントとして捉えているのでチームに格差があっても良いとは思っています(韓国が極端に弱いのはよく分かりませんが)。
しかし、公式配信されているわけでもない(個人配信でもしなければ誰の目にも触れることのない)予選で何故このような事態になってしまったのか理解に苦しみます。

今回私は韓国だったので極端な話になりましたが、多かれ少なかれ強制的にチームが選ばれている以上どのプレイヤーも不満があると思います。
先述の通り普通は誰も見ていない試合ですから、全員同じチームでもよかったのではないでしょうか。

プロテスト予選なんかはとてもバランスを考慮してチーム編成されていますし、他の大会にもそういった調整のノウハウが横展開されると嬉しいです。
長くなってしまいましたが、せっかくの大会で二度とこのようなことが起こらないことを切に願います。