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イベントレポート:『吃音 伝えられないもどかしさ』筆者 近藤雄生先生との交流会@BOOK CAFE Co-Necco 名古屋市

2024年2月3日(土)、名古屋市昭和区八事にあるブックカフェこねっこにて『吃音 伝えられないもどかしさ』筆者である近藤雄生先生との交流会が行われました。
この記事では私が参加してきたこのイベントについてレポートしたいと思います。


『吃音 伝えられないもどかしさ』近藤雄生 著 新潮社 2019

➊【どうして、名古屋のブックカフェでイベントが?:開催の経緯】


まず、そもそもなぜこのようなイベントが開かれたか?という経緯から話す必要があります。
近藤先生は複数のノンフィクション作品を出されている筆者さんです。
主な執筆分野は科学。
いわゆるサイエンスライターです。

しかし、なぜサイエンスライターが吃音に関する本を書いたのか?と思われたかもしれません。
その理由は筆者自身が吃音に悩まされ続てきたからです。
その経験が吃音に関する書籍の執筆に向かわせます。
そういった取材の中でこの本の主役ともいえる方と出会います。
そして、その方の行きつけのお店が名古屋市天白区にあるブックカフェこねっこだったわけです。

実は私自身このイベントの告知を2月1日に初めて見ました。
以前から、そのようなイベントをする予定とは聞いていたのですが、まさか告知が2日前とは驚きですww
しかし、ふたを開けてみると小さなカフェの中参加者11名という盛況ぶり。
とても2日前に告知しただけとは到底思えない集まりでした。


BOOK Cafe Co-Necco

❷【会の様子】


申込をした際、個人的には講演会に行くつもりでしたが、実際にはかなりフランクな会となりました。テーブルで囲み、お酒とつまみ(節分の豆が多かったのが印象的)などを飲食しながらの会で、和やかでありつつ、真剣な話が交わされました。

参加者もそれぞれ。
多くはコネッコの常連客なんですが、吃音がある方、他の障害を持つ方、シャンソン歌手の方、図書館で働く方、中には旅人まで。
それぞれ様々な経歴を持ち、様々な経緯でそこに居合わせた人たちでした。
一通り交流した後、最後はシャンソンで会はお開きになりました。
お開き後はもちろん近藤先生のサイン会ですww

❸【感想】


この会を通じて、個人的には2つの事で目から鱗が落ちました。

【吃音の症状はかなり多様で個人差も大きく一括りにしにくいもの】


まず、私たちは吃音と聞くと特定の障害だと考えがちですが、実際にはそうとは言い切れない面があるようです。
症状の度合いはもちろん、吃音になってしまう理由も身体的なものであったり、精神的なものであったりそれぞれでひとまとめに吃音という言葉でくくれないものと考えるべきでしょう。

実際、近藤先生のようにあるきっかけでほとんど吃音の症状がなくなる人もいれば、どれだけ訓練を頑張っても変わらない人もいます。
自身の吃音を気にする度合いもかなり個人差があると感じました。

【吃音(言いたいことをうまく言えない事)は自己評価を著しく下げる】


もう一つは吃音の方はそうでない方が思っている以上にうまく言いたいことが言えない事に対してネガティブなイメージを持っている事です。
吃音ではない私としてはこのことは意外な事実でした。

個人的な考えを言えば、吃音の方がなんとか自分の考えを伝えようとしている場合、それを聴くのが面倒という感覚は特になく、
「吃音みたいだから、しっかり聴こう」と思う程度です。
それは、日本語が不慣れな外国の方や、言葉を覚えたばかりの幼児と話すときなどと同じ感覚です。
もちろん、外国の方や幼児と話すときうまくしゃべれないからと言ってさげすむ気持ちはありません。

しかし、吃音の当事者からしてみると、「相手が不快に思っていないだろうか?」と常に不安に感じて話しているそうです。
つまり、吃音者とそうでない人との間には吃音に関する認識に大きなズレがあるという事です。

【吃音を「障害」にしているのは「空気感」から生じる双方の認識のスレ】


私自身、このズレこそが吃音を持っている方の生きずらさに直結しているように思えます。
言い換えれば、このズレを埋めることが吃音によって生きずらさを感じることのない社会の実現への道だとも言えます。

そしてこのズレを埋めるためには吃音で話す事をためらわなくてもいいと思える環境を作ることが非常に重要だと感じました。
つまり、吃音を持たない多くの方々から「吃音を特に気にしていない」という明確なメッセージを伝えることが大切なんです。

そういったメッセージをこれまではっきりと発してこなかったことによる双方の誤解が吃音を持つ人を苦しめる「空気感」を作ったわけですから。

ですが、幸いなことに近年では少しずつですがそのような「空気感」も変わってきているように思えます。
最近、話題になっている「注文に時間のかかるカフェ」などがそうです。

このカフェは全国で開催されているイベント型のカフェで、特徴は吃音の方が接客する事です。
接客の方が吃音なので注文を取る場合、そうでない方に比べれば時間がかかります。
だから、「注文に時間のかかるカフェ」なわけです。


以上、2024年2月3日に名古屋市のブックカフェコネッコで行われた「『吃音 伝えられないもどかしさ』筆者 近藤雄生先生との交流会」の体験レポート&感じた事でした
今回のブックカフェこねっこでの交流会や「注文に時間がかかるカフェ」など吃音を持つ人とそうでない人が交流し合う機会が今後も増えていく事を切に願います。


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