年末

2018年くらいから数えてないけどまた年が進むらしい。クリスマスっていいね。心象風景に暗い森がある。雪が降っているけどここは針葉樹ばかりだから俺の体はいつまで経っても雪に埋まらない。俺は雪の上に天使を作ろうと大の字になって倒れたまま何のやる気も無くなってずっと灰色の空を眺めている。視界の端が藍色を帯びているけれどちゃんと手紙を書いておいたから怖く無い。俺はすごく冷たくて気持ちが良くて雪を溶かさなくてもいいくらい優しい。雪はどこまでも広がっていて暖かい。眠剤を飲んでいないのにすごく眠くて、白くて邪魔な息が見えなくなってからずっと視界がクリアになった。ゲーム、portalとかで死んだ後にずっと倒れた視界を見続けるやつとか、撮影者が殺されて床に転がったカメラに写り続けた映像とか、そういう感じ。体はもう一ミリも動かせないけど眼球に雪が触れるのが楽しくて、いつの間にか星が雲の間から見えて、一番大きな星をクリスマスツリーの上に飾ろう。みんなで大きな鳥を焼いて、暖炉の側を譲ってもらえて、プラムプディングが楽しみで、そういうのは一人だとできないから俺はここにいるのだった。サンタクロースが通りかからない遠い森であったかくなって眠くなっている。次にもし目が覚めたら家を建てて、ここに住もう。クッキーを焼いて、チョコレートでつなげたヘクセンハウスに住もう。壁にたくさんのM&M'sを貼り付けてうんと賑やかにしよう。余った生地でジンジャーマンクッキーを焼いて、一人一人丁寧に暖炉に放り込む。炎のダンスを眺めて過ごす。そうやって0時を飛び越えて来年に進もう。きっと次は楽しい1年になる。だからもう、おやすみ。

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