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ラピッド・スピード・ストーリーズ

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ハイテンポな痛快娯楽パルプ小説集。派手なアクションが多め。メインコンテンツ。
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2024年2月の記事一覧

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ 2

【3】  ンンロとは酔っ払いであふれ喧騒にまみれた場末の酒場で出会った。  HELL地獄に落ちたての多くの者がやるように、強制労働で得たなけなしの賃金を全て消費する勢いで酒を浴びるように飲んでいた時のことだ。  付近の酔っぱらいに絡まれたり絡んだり、どこかで起きるケンカを眺めたり囃していると、突然、後頭部に衝撃が走り僕は勢いよく額をテーブルにぶつけた。その様子に気づいた酔っ払いは大爆笑していた。 「いっ…………なにぃ?」  目を白黒させて何が起きたのか酔っぱらい達に尋

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ 1

【1】  相手の銃口が爆発したと思った瞬間、僕は頭に強い衝撃を受けて死んだ。  そして生き返った。  吹き飛ばされた頭は元通りになっている。痛みもない。ただ、左腕に刻まれた三つの髑髏タトゥーのうち一つにペケ印が追加されていた。 「おーい、早く隠れなよ。ぼやぼやしてっとバリア切れてまた死ぬよ」  少し離れたところ、横倒しになっているスチールデスクの陰にいる赤い革ジャンの少女──ンンロが言った。 その言葉を裏付けるかのように、バリア越しに身体のあちこちに軽い衝撃を感じ

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ SideMenu:ジョブ・デビュー 4/4

前回 【5】 「兄貴が黙ってろって言っただろ!」  スタチャーが過剰ともいえる反応を返した。先ほどコケにされたことが響いているのだろう。よくない兆候だ。 「ただ教えてあげただけじゃんね」と女。 「それはどうも。おい、ずらかるぞ」  スタチャーは返事をしなかった。  頭に血がのぼり俺の声が聞こえていない。  女は拳銃を向けられているにもかかわらず、笑みを大きくした。 「ふーん、そんな細い腕で撃てるの? 安全装置は外した? そんな怖い顔してないで、帰ってママのおっぱいで

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ SideMenu:ジョブ・デビュー 3/4

前回 【4】  席に戻るとすでにカレーが3人分用意されていて、スタチャーがよい表情でかきこんでいた。 「兄貴、このカレー超美味いよ!」 「そうか。せっかくだから味わって食べろよ」  1口食べると、まず野菜の複雑な甘みを感じ続いてトマトの酸味がアタックしてきた。肉は牛筋らしいが、口の中で溶けるほど軟らかくなるまで煮こまれていた。どんどん食べ進めていくと、突如凶悪な辛みが牙をむいてきた。途端に汗が吹き出してくる。備え付けの福神漬けも歯ごたえがよく程よい酸味がアクセントにな

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ SideMenu:ジョブ・デビュー 2/4

前回 【3】  車を盗まれないように通りの角に隠すように止めて、徒歩でカレー屋へ向かう。  飯時を避けたこともあり、通りはひとけも少なく仕事におあつらえ向きな状況だった。 「スタチャー、段取りを言ってみろ」 「えっと、まずは客として入る。次に周りをさりげなく観察する。ヒーローになりたがるやつがいたらマークしておく。で、普通に飯を食べる。最後に責任者を脅して素早くレジから金を奪って一目散に車に乗ってずらかる。だよな?」 「ああ。それと、俺の指示には絶対従うんだ。余計なこと

HELL地獄BAN(G)ディッツ‼ SideMenu1:ジョブ・デビュー 1/4

【1】  俺はユニダート。どこにでもいる地獄人だ。  暴力は中の中、射撃の腕は中の下。  平凡でとにかく頭数が欲しい状況でないと呼ばれない。その程度の男だ。  ただ危険を察知する力が人よりもほんのわずか秀でているようで、今日まで三死(スリーアウト)は免れている。  そんな俺は今、珍しく買い物以外の目的でヘルバイスに足を運んでいた。  HELL地獄の中でもロストエンジェルス、新欲苦躯(ニューヨーククク)などに匹敵する危険な街だ。    俺は数回しかこの街で仕事をしたことが