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ラピッド・スピード・ストーリーズ

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ハイテンポな痛快娯楽パルプ小説集。派手なアクションが多め。メインコンテンツ。
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2020年7月の記事一覧

なんでも屋は燃え尽きない 三日目前半1

「──ちゃん、──ちゃん!」 誰かが俺の名を呼んでいた。 俺はどこかのモールの中にある安っぽい素材の白いベンチに座っていて、隣には黒く塗りつぶされた顔を持つ女が座っていた。 「……だからちゃん付けは止めろって」 「どこか上の空って感じだったけど、なに考えたの?」 俺は女から顔を背け、なにを考えていたのかを思い出そうとした。 モールはそこそこ賑わっているようで、あちらこちらで買い物客がショーケースを眺めたり店に出入りしている。 俺の記憶はどす黒い拒絶感で塗りつぶされてい

ぴ~すふる その10

前回のあらすじ 二回目の作戦会議が終わりました。 名付けて『人を助けて生の感情を集め、変換したピースで世界を救っちゃおう大作戦!』始まります。 次に行っちゃう 初めから =>[イナカノシティ]  ここはイナカノシティ。面倒くさがりが考えたような……いや、何も考えずに作ったような、等間隔で十字路が設置されている小綺麗な道路がひかれている小さな町。 イナカノとは「大して取り立ててところのない平和だけど刺激の足りない、バターもジャムもチーズもついていないトーストのような場所

ホコリの中のクソ野郎 リー(Mother fxxker in Dust, Lee)

※R-15程度の残虐な表現があります グシャ……グシャ……。 カラスも鳴かぬ丑三つ時、薄暗い裏路地で重いサウンドが鳴り響く。 引き締まった上半身に黒いイバラのタトゥーを入れた禿頭の男が、倍は体重がある巨漢相手にマウントポジションを取っている。 執拗に食らわすパウンド。十カウントを取る者はこの場にはいない。 巨漢の顔面はさながら潰れたトマト。光の消えた目が映すは走馬灯か。 殴ることに飽きたかマウントを解除。屍とかしつつある男の側頭に止めのサッカーボールキック。壁に激突しバウ