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お城のトビラ

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日本各地のお城を収録。現存天守から復元・復興天守に大名庭園といろいろ
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#日本100名城

常陸からやって来た河内源氏の超名門 久保田城・佐竹史料館・如斯亭 秋田県秋田市

戦国時代の東北地方には、鎌倉以来の古い家(安東氏、南部氏、伊達氏、蘆名氏、葛西氏、相馬氏など)や室町幕府から送り込まれた足利系の家(大崎氏、最上氏、畠山氏)が割拠し、かつ複雑な婚姻関係により地域バランスを保っていました。 伊達政宗(1567-1636)の出現により南奥羽のパワーバランスは変化しますが、豊臣秀吉(1537-1598)による奥州仕置によって各大名・国人衆の領地はほぼ確定します。 一部中央から封じられた豊臣大名もいましたが、旧領安堵された大名は多く、彼らは改易された

阿波おどりの殿さま 徳島城博物館&表御殿庭園 徳島県徳島市

四国はお城に恵まれた地域です。 江戸時代からの天守が残る現存12天守のうち、丸亀城(香川県丸亀市)、松山城(愛媛県松山市)、宇和島城(愛媛県宇和島市)、高知城(高知県高知市)の4城(すべて重要文化財)。加えて木造の復元天守を持つ大洲城(愛媛県大洲市:現存櫓も残る)もあります。 そして歴史好き目線で見てみると四国の県庁所在地は、かつての織豊大名が町の基礎を築いた町。四国の人々には東海地方からやって来た進駐軍。 高松の生駒氏、松山の加藤氏、高知の山内氏、そして徳島の蜂須賀氏。 い

龍造寺から鍋島35万石へ 佐賀城 高伝寺 徴古館 佐賀県佐賀市

江戸時代の九州には国主クラスの大名が数家ありましたが、九州の地生えは薩摩島津と肥前鍋島の2家。どちらも明治維新の主要キャストです。共通するのは交易を通して海外の知見をいち早く取り入れていた点。現代では福岡あたりがアジアの玄関口をアピール(博多は古くからの大陸系の窓口)。 またキリスト教伝来は九州が起点ですが、受け入れた大名家たち(豊後大友や肥前大村や有馬)とは違って、島津と鍋島(龍造寺)はキリスト教には消極的だった点も同じです。 今回は主家から権力移譲され大名化した珍しい成り

ソフトパワーで城主の座についたさんじゅーろー 備中松山城 頼久寺 岡山県高梁市

日本の各地にある多くのお城。なかでも現存天守と呼ばれる江戸期以前に建てられた天守を擁するお城は全国に12城、いずれも国宝か重要文化財指定です。お城好きが最初に目指すべき分かりやすい目標。 国宝の姫路、松本、松江、彦根、犬山の5城(市の人口数順)は知名度も充分でしょう。そして重要文化財は松山、高知、弘前、丸亀、丸岡、宇和島、備中松山の7城。丸岡と備中松山は、城名と所在地の市名が違うので知名度にはややキビシイかもしれません(ドコそれ的な)。ちなみに丸岡城は福井県坂井市にあるお仙泣

黒田家と松永耳庵と現代アート 福岡市美術館【前川國男3】 福岡市中央区

そういえばあそこにあるなと気付いていても、なかなか行かないことが多いのが公立の美術館。一方、博物館や資料館はとりあえず行ってみようかなとなります。興味の対象とオーバーラップする部分はあるものの、ややズレがあるからでしょうか。 ところが時間が空いたのでちょっと寄ってみたりすると、急に視界が開けたりします。福岡でのコト。   福岡市は人口が1,645,000人と九州最大の都市です。古くからアジアへの玄関口として機能し、権力者にとっては貿易の権限をめぐり、重要拠点だった博多は争奪

西の伊達 宇和島城・伊達博物館・天赦園【伊達家のトビラ2】 愛媛県宇和島市

土佐山内家・高知編で、古来土佐へのアクセスの難易度に触れました。加えて四国の西側もまたアクセスがあまり良いとは言えない地域(ネガティブな話ではありません)。ですが愛媛から高知を繋ぐ国道56号線沿いには大洲、宇和島、宿毛、四万十と雰囲気の良い町がズラリと並びます。いずれも長い歴史を実感できるトコロです。 その中で伊予の国(愛媛県)、宇和島のかつてのお殿様は伊達家。「伊達家って東北・仙台じゃないの?」と思う人は少なくないでしょう(色々あったんです)。おまけに天守閣がなかった本家・

蒲生氏郷と千利休そして龍造寺 茶室麟閣・興徳寺 福島県会津若松市

東北は冬だと自走派には行きにくい場所。天気が良ければ可能かもしれませんが、防寒フル装備の長距離はいろいろ疲れます。雨ならそれほど問題にしませんが(気分は多少下がる)。 東北にはかつて大藩が幾つかあり、幕末まで存続した地域には独自の文化が根付いています。今回の会津編ではあまりメジャーとは言えない人物を中心に。(ただし夏の話)   福島県の旧国名は陸奥。ざっくりしすぎか広すぎたのか、現在は青森、岩手、宮城、福島の4県に分かれています。そして福島は浜通り・中通り・会津と3つの地方

山内家土佐入り 前章 【掛川城・油山寺】 静岡県掛川市・袋井市

日本各地に残るお城。地域のおすすめ観光地として各メディアで取り上げられています。江戸時代(以前のモノもあり)に築かれた現存天守のあるお城は12城。お城好きにとっては別格扱いのお城で、国宝か重要文化財指定されています。だいたいハシゴのような階段を上るコトになります。 明治以降に多くの天守が取り壊されますが、太平洋戦争で焼失してしまった残念なお城(名古屋、和歌山、岡山、広島等)もあります。 そして戦後に地域のシンボルを再び的なカンジでコンクリート造りのお城が量産されました(資料館

土佐山内家巡礼 高知城・県立歴史博物館・山内家宝物資料館 高知県高知市

「遠流の地 土佐」。佐渡や隠岐といった離島と同じく、重罪の流刑地のことです。京都から遠く離れた地へといういわゆる島流し。死罪に次ぐ重い刑です。知ったのは高知県立歴史民俗資料館での特別展(現地には行けなかったので後日図録を入手)。ちなみに律令制では東日本の常陸、安房、伊豆(現在の茨城、千葉、静岡)も遠流の対象地域でした(源頼朝の配流地といえば伊豆)。過去にはそんなネガティブな土地だった高知。 一般道を使って高知を目指すと、どのルートも気持ちいいワインディングが続き楽しめます。た