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お城のトビラ

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日本各地のお城を収録。現存天守から復元・復興天守に大名庭園といろいろ。
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#ミュージアム

阿波おどりの殿さま 徳島城博物館&表御殿庭園 徳島県徳島市

四国はお城に恵まれた地域です。 江戸時代からの天守が残る現存12天守のうち、丸亀城(香川県丸亀市)、松山城(愛媛県松山市)、宇和島城(愛媛県宇和島市)、高知城(高知県高知市)の4城(すべて重要文化財)。加えて木造の復元天守を持つ大洲城(愛媛県大洲市:現存櫓も残る)もあります。 そして歴史好き目線で見てみると四国の県庁所在地は、かつての織豊大名が町の基礎を築いた町。四国の人々には東海地方からやって来た進駐軍。 高松の生駒氏、松山の加藤氏、高知の山内氏、そして徳島の蜂須賀氏。 い

島津四兄弟 末弟の居城 佐土原歴史資料館と天昌寺跡 宮崎県宮崎市

超有名な観光地でもなく、SNS映えする写真スポットという訳でもないと言えばやや失礼かもしれません。田舎へ行くと「人がやさしい」というフレーズがフツーに使われますが、それは旅行者に対してであって住んでみると地域独特のルール等ややこしいコトもあります。 一方、相手で区別しない子供とのやり取りや、きれいに掃除された路地や公共スペースから受ける印象は、その地域をそのまま表現しています。 小さな城下町の良いトコロは、ヨソモノがその濃さや気風に気が付きやすい点でしょう。 島津家は九州最大

龍造寺から鍋島35万石へ 佐賀城 高伝寺 徴古館 佐賀県佐賀市

江戸時代の九州には国主クラスの大名が数家ありましたが、九州の地生えは薩摩島津と肥前鍋島の2家。どちらも明治維新の主要キャストです。共通するのは交易を通して海外の知見をいち早く取り入れていた点。現代では福岡あたりがアジアの玄関口をアピール(博多は古くからの大陸系の窓口)。 またキリスト教伝来は九州が起点ですが、受け入れた大名家たち(豊後大友や肥前大村や有馬)とは違って、島津と鍋島(龍造寺)はキリスト教には消極的だった点も同じです。 今回は主家から権力移譲され大名化した珍しい成り

伊達から上杉へ 米沢城跡と上杉神社【伊東忠太1】 山形県米沢市

長いこと西日本をベースにしていた自分にとって、文字通り未開の地だった東北。ちょっと昔の話になりますが、初めてその地に踏み入ったのが山形県の米沢。翌日は福島まで戻って仙台へ。戦国時代に興味を持つ人にとっては、避けて通るコトのできない鉄板エリア(多分)。 あちこちでよく分からない呪文のような言葉をかけられ、お土産屋に貼られた方言番付で呪文「おしょうしな」の意味を知った米沢。鉄道車両はボタンを押してドアの開閉をするコトを知ったのも米沢(雪国では常識?)。 おしょうしな米沢。 以降

黒田家と松永耳庵と現代アート 福岡市美術館【前川國男3】 福岡市中央区

そういえばあそこにあるなと気付いていても、なかなか行かないことが多いのが公立の美術館。一方、博物館や資料館はとりあえず行ってみようかなとなります。興味の対象とオーバーラップする部分はあるものの、ややズレがあるからでしょうか。 ところが時間が空いたのでちょっと寄ってみたりすると、急に視界が開けたりします。福岡でのコト。   福岡市は人口が1,645,000人と九州最大の都市です。古くからアジアへの玄関口として機能し、権力者にとっては貿易の権限をめぐり、重要拠点だった博多は争奪

西の伊達 宇和島城・伊達博物館・天赦園【伊達家のトビラ2】 愛媛県宇和島市

土佐山内家・高知編で、古来土佐へのアクセスの難易度に触れました。加えて四国の西側もまたアクセスがあまり良いとは言えない地域(ネガティブな話ではありません)。ですが愛媛から高知を繋ぐ国道56号線沿いには大洲、宇和島、宿毛、四万十と雰囲気の良い町がズラリと並びます。いずれも長い歴史を実感できるトコロです。 その中で伊予の国(愛媛県)、宇和島のかつてのお殿様は伊達家。「伊達家って東北・仙台じゃないの?」と思う人は少なくないでしょう(色々あったんです)。おまけに天守閣がなかった本家・

妹島和世さんと小笠原家書院・資料館 【SANAA】 長野県飯田市

なんでこんな所に?という不便な場所にあるカッコいい建築(器の役割を果たしてないモノはちょっと違うけど)。 例えば建築家のキャリア初期の作品(依頼主をあまり選り好みできない?)で、後に建築家の知名度が上がるケース。 もしくは予算充分の変わった依頼主が、どうしてもその土地に建てたくて著名建築家に依頼するケース。 ココ小笠原資料館は後にビッグネームとなる建築家の手による建物ですが、その土地にとって必然性のある要素を選択した結果です。   信濃の国(長野県)は室町時代に小笠原氏が守

土佐山内家巡礼 高知城・県立歴史博物館・山内家宝物資料館 高知県高知市

「遠流の地 土佐」。佐渡や隠岐といった離島と同じく、重罪の流刑地のことです。京都から遠く離れた地へといういわゆる島流し。死罪に次ぐ重い刑です。知ったのは高知県立歴史民俗資料館での特別展(現地には行けなかったので後日図録を入手)。ちなみに律令制では東日本の常陸、安房、伊豆(現在の茨城、千葉、静岡)も遠流の対象地域でした(源頼朝の配流地といえば伊豆)。過去にはそんなネガティブな土地だった高知。 一般道を使って高知を目指すと、どのルートも気持ちいいワインディングが続き楽しめます。た

石州瓦の100年ミュージアム? その2 越智松平家 浜田城資料館 島根県浜田市

前回の益田市・れきしーなに続き、同じ石見地方の浜田市にあるミュージアムの記録です。こちらも100年を超える築年数。島根でぶらぶら見て回っている時に、どこかでパンフレット手に入れたのがきっかけ。そもそも「浜田ってどこ?」という人は少なくないと思われますが、関西から九州へ自走するなら山陽道や中国道パターンだけでなく、広島あたりから北西に日本海側を抜けて行く選択も楽しい(時間に余裕がある人向け)。寄り道にはだいたい面白い発見があります。 浜田市は石見地方の中心で人口49,500人