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【浄土真宗の言葉】#54 衆生あつて、かの国に生れんとするものは、みなことごとく正定の聚に住す

衆生あつて、かの国に生れんとするものは、みなことごとく正定の聚に住す
 
 
 
【解説】
 
今回は「阿弥陀仏の極楽浄土に生れようとする者は、この世で正定聚に入る」という内容です。
 
正定聚とは、極楽へ往生することが正しく定まり、仏の悟りを開くことが確定している衆生のこと。
 
 
上記の文章は『一念多念証文』のものですが、もともとは『大無量寿経』の次の文章があって、それを親鸞聖人が読み替えられたものです。
 
大無量寿経では
 
「それ衆生ありてかの国に生るるものは、みなことごとく正定の聚に住す。ゆゑはいかん。かの仏国のなかにはもろもろの邪聚および不定聚なければなり」
 
となっています。
 
極楽浄土に生まれる衆生はすべて、正定聚に入るのである。なぜかというと、極楽浄土には邪定聚や不定聚の衆生がいないからだ」ということです。
 
 
この正定聚という言葉はもともと、聖道門において仏道修行をする行者が到達する41番目の階位のことで、歓喜地とも呼ばれます。この階位に至れば退転することがなくなり、必ず仏に成ることが定まるので、歓喜が生まれるからです。
 
 
ですが親鸞聖人は、聖道の修行をしない凡夫であっても他力信心を獲得した念仏者は正定聚である、と表現されました。修行をして高い階位に至ったわけではないのですが、「必ず仏に成ることが定まっている」という点において正定聚だといえるからです。
 
これについては『正信偈』に、
 
「憶念弥陀仏本願 自然即時入必定」
(阿弥陀仏の本願を疑い無く信ずれば、おのずと正定聚に入る)
 
また『御消息』に、
 
「信心をえたるひとは、かならず正定聚の位に住するがゆゑに等正覚の位と申すなり」
(獲信者はこの世を終えれば仏に成ることが定まっている。これは、次生にて仏に成ることが定まっている弥勒菩薩と同じ位=等正覚にあるといえる)
 
と説いてあります。
 
他にも、現生十益(獲信者が与えられる十種の利益)でも、正定聚に入る益といって、これを挙げておられます。
 
 
この表現は親鸞聖人独特のもの。
 
たとえば七高僧は、基本的にはこのような表現をしておられません。七高僧は「正定聚=極楽浄土に往生した後に与えられる利益」という表現でした。
 
これは阿弥陀仏の本願の第11願に「わたしが仏と成って、もしも極楽浄土の衆生が正定聚に入って悟りを得られないならば、正覚を取らない(仏と成らない)」と誓ってあることに依ります。
 
それを親鸞聖人は、生きている間から正定聚に入る(現生正定聚)、と教えられたわけです。
 
今回の『一念多念証文』でも、「かの国に生れんとするものは」という読み替えをすることで、現生正定聚を表現しておられます。
 
 
獲信した衆生は、その時からすでに、極楽浄土に生まれて仏に成ることが決定されます。そして真実の他力信心が死ぬまで崩れないのは、阿弥陀仏の摂取不捨の光(念仏者を摂め取る光明)の中に入らせていただくからだ、ということです。
つまり、いつ死んでも、どのような死に方でも、極楽浄土に生まれて仏に成ることには変わりないというわけです。
 
 
この親鸞聖人の表現によって、凡夫が仏に成るということ、そして臨終の死に様を問わない救いが明確にされたのです。 
 
 
 
原文
http://labo.wikidharma.org/index.php/一念多念証文#P--680
 
 
参考としてこちらもご覧ください。
 
かの国に生れんとするものは WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/かの国に生れんとするものは
 
 
正定聚について WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/補註6
 
 
親鸞聖人御消息 (上) WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/親鸞聖人御消息_(上)
 
 
親鸞聖人御消息 (下) WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/親鸞聖人御消息_(下)
 
 
 
衆生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/衆生
 
 
正定の聚に住す WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/正定の聚に住す
 
 
あみだぶつ 阿弥陀仏 弥陀 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あみだぶつ
 
 
極楽 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/極楽
 
 
浄土 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土
 
 
正定聚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/正定聚
 
 
おうじょう 往生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/おうじょう
 
 
仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏
 
 
さとり 悟り WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/さとり
 
 
一念多念証文 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/一念多念証文
 
 
仏説 無量寿経 (巻上) 大無量寿経 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏説_無量寿経_(巻上)
 
 
親鸞 親鸞聖人 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/親鸞
 
 
邪聚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/邪聚
 
 
邪定聚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/邪定聚
 
 
不定聚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/不定聚
 
 
聖道門 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/聖道門
 
 
歓喜地 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/歓喜地
 
 
凡夫 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/凡夫
 
 
他力 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/他力
 
 
信心 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/信心
 
 
獲得 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/獲得
 
 
念仏者 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/念仏者
 
 
正信念仏偈 正信偈 Wikisource
https://ja.wikisource.org/wiki/正信念仏偈
 
 
おくねん 憶念 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/おくねん
 
 
親鸞聖人御消息 御消息 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/親鸞聖人御消息
 
 
等正覚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/等正覚
 
 
弥勒菩薩 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/弥勒菩薩
 
 
現生十益 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/現生十益
 
 
七高僧 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/七高僧
 
 
本願 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/本願
 
 
第十一願 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/第十一願
 
 
現生正定聚 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/現生正定聚
 
 
摂取不捨 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/摂取不捨
 
 
臨終 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/臨終
 
 
浄土真宗聖典目次 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/WikiArc:浄土真宗聖典目次
 
 
 
【今回の読み仮名】
 
衆生‐しゅじょう
正定の聚‐しょうじょうのじゅ
住す‐じゅうす
阿弥陀仏‐あみだぶつ
極楽浄土‐ごくらくじょうど
正定聚‐しょうじょうじゅ
往生‐おうじょう
仏‐ほとけ、ぶつ
悟り‐さとり
一念多念証文‐いちねんたねんしょうもん
大無量寿経‐だいむりょうじゅきょう
親鸞聖人‐しんらんしょうにん
仏国‐ぶっこく
邪聚‐じゃじゅ
邪定聚‐じゃじょうじゅ
不定聚‐ふじょうじゅ
聖道門‐しょうどうもん
歓喜地‐かんぎじ
凡夫‐ぼんぶ
他力信心‐たりきしんじん
獲得‐ぎゃくとく
念仏者‐ねんぶつしゃ
正信偈‐しょうしんげ
憶念弥陀仏本願‐おくねんみだぶつほんがん
自然即時入必定‐じねんそくじにゅうひつじょう
御消息‐ごしょうそく
等正覚‐とうしょうがく
獲信者‐ぎゃくしんしゃ
弥勒菩薩‐みろくぼさつ
現生十益‐げんしょうじゅうやく
七高僧‐しちこうそう
本願‐ほんがん
現生正定聚‐げんしょうしょうじょうじゅ
摂取不捨‐せっしゅふしゃ
臨終‐りんじゅう
 
 
 
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・2対1 (iPhone11/11Pro/11Pro Max, iPhone XS/XS MAXなど)
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色はウェブサイトでよく使われる12種類。
こちらでダウンロードできます。
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・安心論題の話
http://labo.wikidharma.org/index.php/安心論題の話
 
 
・光雲な毎日(立読みページ)
http://koun18book1.blogspot.com/
 
 
・note『信心獲得したい方へ(浄土真宗の救い)』
信心に悩んでいる方は、こちらのページがおすすめです。
https://note.com/koun18/n/ndbc737a85fa4
 
 
 
南無阿弥陀仏

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