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なぜ組織は変われないのか

全ての都道府県で緊急事態宣言が解除されてから1週間。 
 

新型コロナウイルスは現在進行形で私達の経済、生活、働き方…あらゆるものに大打撃を与えています。

仕事柄、世界中の新型コロナウイルスに関連する情報が逐一共有されてきます。そのメールを見る度にどれほど現場が過酷か、そしてどれだけの苦悩を抱えているのかを感じずにはいられません。

だからこそ、何よりも自分が感染しない、無意識に人に移さないよう最大限注意することの大切さを痛感しています。

それでも尚、日本で生活していると「緊急事態宣言も解除されたし、もう大丈夫かな」と気が緩んでしまっているのでは?と思わざるを得ない行動や発言を耳にします。 
 

そういった振る舞いを責め立てたいわけではないのですが、私たちの生活を一変させるくらいの出来事が起こったにも関わらず、それでも「人ってこんなにも変われないものか…」と改めて思うのです。 

まあすぐ変われたら苦労しませんが…笑

一人間ですら変わることはとても難しいくらいなので、組織となるともう大変です笑 

組織も結局は個の集合体なので、基本は個の変革からスタートします。ただ、組織は生き物です。

振り子のように、左右に触れても元取りの安定したポジションに戻ろうとする力が働きます。しかもこの力は無意識に働くという点がやっかいです。 

特に最近コロナの影響を踏まえ、自社含め他の多くの企業の方とお話していると「組織変革が必要だ」とか「我が社は変わらなければならない」という話をよく聞きます。

ですが実際に言葉通りに変革を遂げる企業は一握りです。 
   

なぜこんなにも組織は変われないのでしょうか。


裏側で組織を牛耳るものの正体


私はその原因が、組織の中にはびこる「暗黙の了解」だと考えています。 
 

組織変革は手段であり目的ではないので、通常は事業戦略の変更に伴い、その戦術を実行するために既存の組織のままでは難しいから組織を変えていこう、という流れになる思います。

そこで話される多くのことは組織図や組織体制、人材要件、評価制度等だったり…。いずれも目に見える部分です。

ただ、私は今、実際に新たな組織創りをする中で、これらの要素だけで組織変革を遂げることは極めて難しいと感じています。

 
目に見えるものを変えれば変革した気にもなるし、話題性もあってニュースリリースも出せる。変わった気になれます。それって実は楽なんです。

 
でも残念ながら、それでは組織は変わらないし、きっと制度に魂がこもりません。

なぜなら、組織の中で日々無意識になされるコミュニケーションのあり方がその組織の「暗黙の了解」を作り出しているからです。

歴史が長い企業ほど、根強いものになります。

こんな行動は推奨される/されない、こんな場でこういう発言をするのは良い/悪い、普通こうだろ、そんなイメージでしょうか。

これが会社のカルチャーを創り出しています。なので「暗黙の了解」が一概に悪いとは思いません。

ただ、組織を変革したい時は足かせになる可能性があります。 

制度や組織構造などの表面的なシステムだけでなく、日々組織の中でどのようなコミュニケーションがなされているか、どんな「暗黙の了解」が存在しているのか、一歩引いて議論する必要があります。

具体的な事例を考えてみます。

例えば緊急事態宣言解除を受け、通常の勤務形態に戻すとします。
この是非は別として、その決断までにどのような議論がなされるべきか、慎重に考える必要があると思います。

まず、その会社にはどんな「暗黙の了解」があるでしょうか。

・通常の勤務形態に戻るのが一番だ
・仕事は出社して会社でやるものだ
・出社する姿勢こそ取引先に対する誠意だ
・取締役会の場ではCEOの発言に反対すべきでない

などなど…いろいろあるかもしれませんよね。
言い換えれば「そうに決まってるだろ」というその会社が持つ「前提」とも言えるかもしれません。

これらの「暗黙の了解」を取り上げ見つめ直さない限り、組織が変わることはありません。
必ず振り子のような、より戻しにあいます。

組織の中にある前提が変わらないのですから。

その前提は正しいのか、本当にそうなのか? 
今世の中からは何を求められていて、自社のポリシーを踏まえるとどうあるべきなのか。

戦略実現のための戦術策定に時間を割くのではなく、普段意識すらしない、どんな「暗黙の了解」があるのかにフォーカスして議論する。議論を通じて新たな捉え方に対する目線合わせをする。

そんな流れを通じて組織の前提を変えることで、物事の捉え方が変わり、コミュニケーションも変わっていく。

加えてそれを促すハード面としての組織構造や制度も整える。 

この両輪が回って初めて、組織は新しい形に生まれ変わっていくのではないでしょうか。

世の中が激変するこんな時だからこそ、何事もなかっ
たかのように「元通り」に戻るのではなく、

「組織の『暗黙の了解』を疑い、再定義せよ」

そう強く感じる今日この頃です。


今すぐは別として、中長期的な目線で、医療従事者の方などコロナによって大きな負担を強いられている方々を本当の意味で応援するのなら、今こそ「当たり前」や「常識」を見直し、また同じことが起こってもダメージを最小化できるような体制にするための変革を行うことが私たちの使命なんじゃないか。

あまり無責任なことは言えませんが、それでも自分にできることは何かを考えると、そんな風に思えてきます。

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